Global Career Guide
元・外資系人事部長、10,000人を面接した鈴木美加子です。本日のテーマは、“外資系企業の組織がますますフラットになっていることが、社員にどんな影響を与えるか”です。
皆さんの職場には、階層がたくさん存在しますか? 外資系では、組織のフラット化が進み、一人のリーダーに多くの社員がレポートするようになりました。昔なら、2階層は存在したと思われる上司と社員の間に、誰もいない状況が生まれています。私の友人はIT企業でディレクターですが、120人の部下が完全に並列で彼女の下にいるのです。
フラットな組織の社員にとっての、メリットは以下の3点です。
メリットを享受するために、社員はどうしたら良いかですが、まず、1の「会社の大きな方向性など、情報が早く伝達される」については、まずは正しく情報を受け取ることです。その上で自分でも咀嚼(そしゃく)して必要なら質問し、自分の目の前の仕事にどう影響するかを考え、変更する必要があるのであれば、アクションを起こすことが求められます。
2の「管理される度合いが低くなり、自由度が高まる」については、自律心が大切になります。前出の友人も、「部下の数が多くて、正直、一人一人の状態を把握できないわね。部下を信じて任せる覚悟がないと、気になってマイクロ・マネジメントになりそう」と言っています。
ある意味、「在宅勤務」を問題なくできるかと、似ているところがあるように思います。自分をしっかり見てくれる人がいなくても、生産性高く仕事できるかが鍵で、個人次第です。家ではなく職場にいたとしても、なんとなくダラダラとタイム・マネジメントができないまま仕事をすると、成果が上がりません。ゴールを目指して生産性を上げる「自律心」が重要になります。日本人には一般論で言うと勤勉な人が多いですが、「自由」である状態をあまり得意としない方もいるので、自分はどういうタイプか振り返ることが大事です。
3の「上下関係をあまり気にしなくてもいい」については、上位の役職者に対する露出度が上がるわけなので、自分の仕事についてPRできるチャンスが以前より多いことになります。このような環境では、「アサーティブネス」が欠かせません。それでなくても、一人の上司にレポートしている社員の数は、前より増えているのですから、おとなしくしていたら目にとまらない可能性すらあります。上司が外国人でも日本人でも、自己PR力を発揮したいところです。
もともと英語が飛び交う職場は、謙遜を美徳としないのです。自分の成果について、さりげなくアピールしたり、上司とおしゃべりする機会を伺ったりする努力は必要です。「媚びている」のとは違いますので、どちらかと言うと控えめな方は、アサーティブネスを身につけましょう。専門の研修をしているところも、検索すれば出てきます。性格によるところもありますが、スキルの一つでもあります。
フラット化する外資系企業で、実りある成果を出すポイントは、情報処理を早く正確にすること、自律心を持って仕事をすること、アサーティブネスを磨くことです。
Good Luck!
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グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。