Global Career Guide
元・外資系人事部長、10,000人を面接したグローバル・キャリア・カウンセラーの鈴木美加子です。先週の金曜日はキャリアフェアで講演をしました。Q&Aの時間にいただいたご質問は年齢に関することが多かったので、本日は「外資系転職と年齢について」をテーマにします。
巷に溢れている、転職に関する年齢による縛り、皆さんも信じていますか? 「外資に転職するのだったら35歳まで」などと、まことしやかに話されていますが、実態はどうなのでしょう。都市伝説に振り回されないようにもう一度振り返ってみます。
この年齢は何かと言うと、それまでの転職が多くても、また現職と全く違うキャリアに変更したいと思っていても、願いが叶いやすい上限の年齢です。外資は即戦力を持つ人材を採用したいので、30代になって大きくキャリアの方向性を変えたい、例えば営業からマーケティングに移りたいけれども実績がない人材のポテンシャルに賭けるには限度があります。
なぜなら30代に入ると、同じような年齢で既に会社側が欲しい即戦力をドンピシャで持っている候補者が他に必ずいるからです。2人を比べた時にポテンシャルに賭けてリスクを取って採用するよりも、既に明らかに実績がある候補者の方を採用するに決まっています。
ですから、30代に入ってからキャリアを大きく変更したい場合、特に大企業にお勤めの場合は、社内異動をなんとか活用して希望の部署に異動して、3年ぐらい実績を積んでから外部に転職するのがお勧めです。現職で成果をあげている優秀な人材であれば、会社も辞められるよりはと思って異動させることが多いです。極端な話、転職先を決めて辞表を出したら、希望通りの部署に移ることができたと言う知り合いも数人います。
この年齢は何かと言うと、外資系に「初めて」転職をする際の上限です。人間1つの会社に20年以上勤めると、その会社の企業文化・仕事のやり方に慣れすぎて新しい職場に適応しづらいことが多いため、「初めて」の外資への転職は45歳までだと思ってください。前職への愛社精神を引きずって、新しい職場でつい「前の会社ではこうだった」と言うコメントをしない配慮が大切です。
私自身、そんなに年齢にこだわってもしょうがないだろうと思い、50歳少し手前位の候補者をシニアなポジションで2回採用したことがありますが、結果は失敗でした。前の会社は卒業したのだからいったん横に置いといて欲しいとこちら側は当然思いますが、個人差はあるものの、年齢とともに適応力が下がるのは事実のようです。
くどいようですが、45歳は「初めて」外資系に転職する上限の目安です。30歳までにとか35歳までにというのは、すべて都市伝説なので安心してください。
前にもお伝えしたことがありますが、この年齢を超えると残念ながら転職が難しくなります。
50歳を越えてもほとんど支障なく転職できるのは、大前提としてそれまでの転職回数が2回つまり今回が3回目のジョブホッパーでない人材です。その上で、1) 既に執行役員のレベルに達しているか、2) 非常に高度な専門分野にいる のどちらかで、例外は見事にありません。
20代30代は比較的簡単に転職もできてポンポンと職場を変えがちですが、キャリアは長いので長期的視野に立って、一つ一つの転職を丁寧にしていくのがキャリアの後半で慌てないためのポイントだと思います。
外資系への転職、年齢にまつわる都市伝説に惑わされることなく、転職活動のプランニングができますように。
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グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。