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外資系で求められるマナー

本日のテーマは、英語で仕事をする時に気をつけたいマナーです。

例えば日本企業から初めて外資系に転職をする時、働き方や英語力など仕事に直結した項目が気になるはずです。実際にはそれ以外にも、ちょっとしたことがミスコミュニケーションを生みますので、悪気がないのに相手が気分を害さないよう、知っておきたいコツを3つお伝えします。

1.年齢を聞かない

アジア人は年齢を気にしがちです。特に日本人は年齢フリークと言えます。教育システムに飛び級がなく、日本企業に就職年齢に基づく「同期」の感覚があり、上司は部下より年上なのが当たり前だった過去の蓄積かもしれません。また敬語が存在するので、相手に敬語を使うべきなのかを判断するために年齢を知りたいと言うのもあるでしょう。

年齢に関しての考え方は英語圏では一変します。例えば私は、オーストラリアに親しいと言える友人が5人いますが誰の年齢も知りません。おおよその見当止まりで、正しいのかどうかはわかりません。

オーストラリア人の親友に年齢を聞いたとき、”Age is just a number.” ピシッと言われて教えてもらえませんでした。彼女の声のトーンから、親しさに関係なく年齢は聞くものではないんだと理解できました。仕事で知り合ったばかりの相手に、最初から年齢を聞くようなことをしないでください。例外は、両方とも男性で25歳というような場面だけでしょう。

2.Noと言いながら「うなづかない」

日本語でうなずくのは、相手の話を聞いていますと言うサインで、話の内容に同意しているわけではありませんよね。英語でのうなずきは、”I agree.” を意味します。

昔、初めてのアメリカ人上司と研修予算について話していました。彼から少し金額をカットして欲しいと言われたのですが、積み上げでできた予算なので、そんなに簡単に縮小できないと押し戻そうとしていました。

話の途中で、上司がいきなり立ち上がり私の頭を抑えました。呆気に取られていると、お前はさっきから「No. と言いながらうなずいているが、No なのかYesなのかどっちなんだ」と言われたのです。私の当時の英語力、そして振る舞いはグローバル人材からほど遠かったので、何を言われているのかすらよく理解できませんでした。

シニアの日本人に質問したら、「日本人って話をしながらついうなずくけれど、英語でうなづくのは同意しますを意味するのよ。あなたが相手に同意できないと口で言っている時にうなずくと、相手は混乱するから気をつけたほうがいいわよ」と教えてくれました。

英語を聞いている時に、とにかくうなずかない練習をかなりしたことを覚えています。

3.レディーファースト

日本にはない習慣ですが、西洋特に英語圏では絶対の常識なので、いざという時にできるようにしておいた方がいいです。

具体的には、
・エレベーターやエスカレーターの前で女性を先に乗せる。
・レストランでテーブルに案内される時、前を歩くのは女性。
・ドアから外に出る時、女性に先に先に出てもらう     
などが考えられる場面です。

昔ほど女性は弱くないのにそこまでやる必要があるのだろうかと、感じる人もいると思います。ごもっとも。ただ、これは習慣です。お茶碗に盛った白いご飯をスプーンで食べる日本人がいないくらい、当たり前のことなのです。

昔オーストラリアに住んでいた時、有名なビルの上層階に入っている日中合同経営の両替所に行きました。両替が終わりエレベーターを待っていると、1人の男性が扉が開くやいなや私より先に乗り込みました。かなり驚きました。そんなことをする人はメルボルンには彼しかいないはずです。興味が湧いて「どこ出身なの?何年メルボルンに住んでる?」と聞いてみました。上海出身の中国人でなんと3年も住んでいるとわかり、この人あんまり昇進しないかもしれないと思いました。

このボーダレスな時代に、母国の習慣・常識とは別に自分が今いる環境や国の習慣に合わせられるかどうかは、グローバル人材として成功するかどうかを左右します。グローバルなリーダーになりたいのであれば、各国の商習慣・宗教・コミュニケーションスタイルを理解し配慮しようとするマインドセットが必要です。

日本はレディーファーストの国ではないので通常は構いませんが、英語圏からゲストが来る場合はこの記事を思い出してください。ちなみに、外資系の社長だった私のメンターは、久しぶりにお目にかかった時に私が車から降りる際、反対側に回ってドアを開けてくださいました。70代の彼にレディーファーストが今でもできるのは、長い間の習慣だからでしょう。

意図せず誤解を招かないように、英語での仕事において上司・同僚・海外の仲間と楽しく働けるよう、ちょっとした配慮で乗り切りましょう。

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鈴木美加子

グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師

NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)

株式会社AT Globe

強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。

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