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外資で重要な”Can do”の姿勢

元・外資系人事部長、現グローバル人材育成家の鈴木美加子です。本日のテーマは、英語人(欧米人)と仕事をする時に必要な心の持ちようです。

英語人と仕事をする時には、とりあえず「できます」「やります」 “Can do” の姿勢を示すことが大切です。

日本人は真面目ですし、できるかどうかもわからないことを引き受けて、ちゃんとできなかったらという責任感が先に立ち、「なぜできないかを詳細に説明する」傾向にあります。ホフステードの異文化論で言う不確実性回避度、いわゆる石橋を叩きたい度が非常に高いので、リスクを取りたくない気持ちもあり、適当に「can do」と言うのは嫌なのですね。

これに対して英語人は、ポジティブを良しとします。

米系企業のアジア・パシフィック本部で、仕事をしていた時のことです。私の上司で人事責任者は出張で、本社とのテレコンに出席できなくなってしまいました。経理・IT・人事が集まる会議で人事はメインではないので、とりあえず話の内容を聞いておいて欲しいと頼まれました。アジアからの参加者は、シンガポール人のITトップと香港人のFinanceのトップです。

テレコンがスタートするまで、ITとFinanceのトップは、アメリカ本社から降りて来るプロジェクトが多すぎて、部下達に負荷がかかりすぎているという話をしていました。いざテレコンが始まったら、なんと内容は、新たなプロジェクトをアジア・パシフィックで展開したいという依頼でした。

驚いたのは、同席した二人の反応です。さっきまで、忙し過ぎるとぼやいていたのに、
“That sounds an exciting challenge.” (やりがいがありそうだ)と言っています。

若かった私は驚愕した気持ちを顔に出したらしく、目で「何も言うな」と制されました。テレコンが終り、2人が教えてくれました。

「Micky, 英語人は、ポジティブなのが好きなんだよ。最初から、それはできないとか、できる自信が無いなんて返事は期待されてない。できないと言ってみたところで、本社が決めたら必ずプロジェクトは降りてくる。だから、とりあえずは、Can do の姿勢で受け止めて、必要な予算・時間・人手をどう確保するか即座に考えるのが、外資でマネジメントにいる人間の仕事だ。どうしても無理な時は、最初にNOと言わないで、言うタイミングを見計らう。それができないと君は出世しない。」

なるほどと思いました。それから役職があがって本社と仕事をすることが多くなり、2人に言われたことを理解するようになりました。

その後独立して会社員ではなくなった私は、某企業のカナダ人担当者と話していた時に、とても面倒なリクエストを出されたのですが、

“Oh, that would be a great learning opportunity for me. It sounds challenging!” と答えていて、後から苦笑しましたし、2人を懐かしく思い出しました。

ホフステード異文化論によると、カナダは「達成志向」「目標設定」「勝ち負け」「克服」「キャリア」などをキーワードにする文化圏に入ります。どうやったらできるかを考えたい人達なので、「できそうもない」とか「このような理由で、きっとできない気がします」と言う答えは全く期待されていないのです。

上司・同僚・仕事仲間が外国人(英語人)になったら、Can doの姿勢を見せながら仕事をしましょう。ポジティブでやる気ある人材と評価されるようになります。郷に入っては郷に従えです。

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鈴木美加子

グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師

NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)

株式会社AT Globe

強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。

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