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外資で生き残るために必須のYES/NO表現力

元・外資系人事部長、10,000人を面接したグローバル・キャリア・カウンセラーの鈴木美加子です。外資系に転職するかどうかを決めるには、即戦力となるスキル・経験・英語力があるかの確認と、外資系の企業文化が合っているかどうかのチェックが必要です。本日は、外資系企業で不可欠なYES/NO表現力についてお届けします。

日本企業から外資系に転職したい場合、コミュニケーション上で大きく違うのはYES/NOをはっきりするだと思います。比較的あいまいなコミュニケーションを好まれる方は、この点は大きく変えないといけないので、具体例を2つほど挙げます。

ある時、錦糸町のプラットフォームで電車を待っていたら、大きな声で怒った調子で話しているアメリカ人がいました。彼は出張で日本を訪れているらしく、日本支社の日本人社員二人と一緒でした。どうしたんだろうと英語にチューニングしたところ、前日に契約についてのYES/NOが出ず、日本サイドが「前向きに検討します」と伝えたようでした。日本人は、やんわり断ったつもりなのかもしれませんが、この日本流の返答が相手に通じず、相手を怒らせてしまいました。アメリカ人は「検討します」という単語を拾い、翌日のミーティングで何も進展してないことを知り愕然としたわけです。

行間や空気を読んだり、腹芸をしたり漠然とした表現でもお互いに察し合うハイコンテクスト文化の日本人と、言われたことを文字通りに取って理解するローコンテクスト文化のアメリカ人の、残念な典型的なすれ違いです。

英語圏の仕事の流儀からすると、答えがNOならそう率直に言ってもらい、討論してそれでも平行線なのかどうかがわかればいいのですが、日本サイドはNOという返事がしづらいのかもしれません。英語圏は合理的ですし生産性を重んじるので、返事が決まっているのに相手に伝えず、交渉相手にとって中途半端な時間を作るのは双方にとって無駄な作業と考えます。「NO」は言って大丈夫です。むしろ言わないと相手にとっては迷惑になってしまいます。

私の例を挙げますと、ある時コラボのセミナーを開催することになって日程が決まりました。告知や準備の時間を考慮すると、場所や開催時間、内容も詰める必要があります。先方にメールしましたが、お返事がありません。お忙しいのかと少し待ってみましたが、やはりお返事がありません。もう一度リマインダーを出しましたが、お返事がなかったのです。さすがに困ってしまいお電話をしてみました。状況は、忙しくなりすぎて新しいセミナーの企画を入れられない状態で、私にどう断ろうかと悩んでおられたとのことでした。延期して欲しいと言い出せずにおられました。もしかしたら、連絡がないことで私が察すると思ったかもしれません。

お互いの背景が違うことが出ているエピソードだと思います。私は外資出身なので、NOは伝えてもらった方が有難いと思うタイプです。カレンダーのブロックを外し、それでは次にどういうアクションを取るかどうか決められるからです。セミナーがキャンセルになったことは残念ですが、仕事をしていれば起こり得ることで仕方ありません。反対に、状況がわからないことが3週間も続いたことを非常に残念に思いました。連絡が無いイコールNOのお返事であると察するアンテナは、外資系で失くしてしましました。

どちらに良い悪いはなく、文化が違うのだと思います。外資系企業に日本企業から転職する場合は、YES/NO, 意見をはっきり言うコミュニケーション、つまりローコンテクストがスタンダードになると意識できるとスムーズだと思います。性格的にどうしても、物をはっきり言うのは苦手だと感じるようでしたら、外資系にはもしかしたら向いていないかもしれません。

外資系で重要な、YES/NOを伝えられる力の重要性についてお話しました。 

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鈴木美加子

グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師

NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)

株式会社AT Globe

強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。

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