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上司が外国人になったら気をつけたいこと

元・外資人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日のテーマは、外国人が上司になった時に気をつけたいことです。

外資系企業において、外国人上司が赴任してくることはよくあることです。彼らと良好な関係を築き業務を進めるためには、いくつかのポイントに注意する必要があります。今回は、外国人上司との最初の接触や日々のコミュニケーションで特に気をつけたいことをまとめました。

1. 1:1ミーティングをリクエスト

まず、上司が赴任してきたら、なるべく早い段階で1:1のミーティングをリクエストしましょう。海外赴任に慣れている上司なら、先方から部署全員に招待がくるかもしれません。ミーティングの目的は、自分の経歴や担当業務、新しい上司が知っておくべき重要な情報を開示することです。例えば、これまでのプロジェクト経験、得意分野、そして今後の目標などを整理して伝えると良いでしょう。

また、業務に関連する情報だけでなく、プライベートな側面も少し開示すると有効です。趣味や家族構成など、人となりを伝えることで、上司との距離を縮めるきっかけになることがあります。特に外国人上司は、業務外のコミュニケーションも大切にする傾向があり、オープンな態度で接することが好印象を与えます。

2. こまめで早めの報告を心がける

次に重要なのは早めの報告です。新しい上司がどのようなスタイルでマネジメントするのか、最初はわからないことが多いです。マイクロマネジメント型なのか、権限を委譲するタイプなのか判断がつくまでは、小さなことでも早めに行うことで安心感を与えます。外国人上司の中には、言葉が通じにくい環境で不安を抱えていることもあるため、相手が信頼を寄せやすいように報告頻度を上げることが大切です。

ただし、報告が過剰になると逆に負担をかけるので、相手の反応を見ながら柔軟に対応することが求められます。上司のフィードバックを受けて、適切な報告頻度を調整していきましょう。

3. 異文化理解を意識する

外国人上司との仕事で最も大切なのは、異文化理解の姿勢です。文化の違いによって期待される行動やコミュニケーションのスタイルが異なることがあります。例えば、時間に対する考え方や報告の仕方、またフィードバックの受け取り方などが違うことは大いにあり得ます。重要なのは、相手の文化的背景を理解し柔軟に対応することです。

もし、何かがうまくいかない場合、相手の文化的な背景や考え方に起因しているかもしれないという視点を持つことが解決の糸口になることもあります。相手のスタイルを無理に変えようとするのではなく、まずは受け入れお互いに適応していく方法を模索しましょう。日本法人とは言え、上司は異なる文化出身なのでこちらがなんとか合わせざるを得ないことも多いです。

4. 結論を先に述べる

外国人上司とのコミュニケーションが英語でなされるのであれば、結論を先に述べることが肝心です。特にアメリカやイギリスの上司は、まず結果や重要なポイントを押さえて、その後に詳細を聞くスタイルを取ることが一般的です。日本のように、背景やプロセスから説明を始めると、焦点がぼやけてしまうし”What is your conclusion?”(結論は何?)と遮られてしまいます。英語のロジックと日本語のロジックが異なることを、しっかり理解して臨みたいです。

5. メモは英語で取る習慣をつける

外国人上司とのコミュニケーションにおいて、言語の壁は避けて通れません。特に日本語と英語の言語脳の切り替えには時間がかかるため、瞬時に反応するのが難しいことがあります。このため、会議や打ち合わせのメモは英語で取るように習慣をつけ、頭の中の「言語脳」を英語のままにしておくことが大切です。

日常的に英語で思考する訓練を積むことで上司とのやり取りがスムーズになり、また誤解を減らすことができます。メモを取る際は、専門用語やキーワードに注意し、上司が使った表現やフレーズをそのまま書き留めると、後での復習にも役立ちます。

外国人が上司になった時、最初の印象やコミュニケーションの取り方がその後の仕事のスムーズさに大きく影響します。1:1ミーティングをリクエストして自己紹介を行い、こまめな報告を心がけ、英語でのメモ習慣をつけるなどの対策を取ることで、良好な関係を築きやすくなります。また、異文化理解の姿勢を持ち柔軟に対応することが、成功へのカギとなるでしょう。上記のポイントを意識しながら、新しい上司との良好な関係構築を楽しんでください。

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鈴木美加子

グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師

NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)

株式会社AT Globe

強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。

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