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メンターは成長を助けてくれる強い味方

元・外資系人事部長、現グローバル人材育成家の鈴木美加子です。皆さんにメンターはいますでしょうか?  本日のテーマは「メンターを持つ」です。

まずは「メンターとは何か」から始めましょう。メンターとはアドバイザーもしくは相談相手です。職場の正式な上下関係を離れ、自分より経験・スキルが高い人生の先輩に、何かあったら相談してアドバイスを受けるというものです。報酬は伴わず、話す頻度はせいぜい月に一回くらいです。状況のアップデートから、具体的な悩み相談まで内容は自由で、常にキャリアアップのことを話さなくても大丈夫です。

コロナ前、アメリカ商工会議所が主催したWomen in Business Summitで、”積極的に昇進の機会をつかむ”をテーマにワークショップを行いました。上昇志向の強い英語もできる方が多い集まりでしたが、少し気になったことがありました。

それは、”昇進するための準備にどんなことが考えられるか” と尋ねた時のことです。“部署をまたいだプロジェクトに参加する“ ”短期のアサインメントに挑戦する“ ”ボランティアをする“ ”プレゼンテーションを頼まれたら、積極的に行う”など、様々なアイディアが挙がるなか、”メンターを持つこと” はアイディアとして出てきませんでした。日本ではまだメンター制度が根付いていない証かもしれません。

試しに「メンターがいらっしゃる方、手を挙げてくださいますか?」に対し、手を挙げてくださった方は2人しかいませんでした。

私のキャリアのスタートであるGEにはメンター制度があり、有難いことに私にはメンターとお呼び出来る方が3人いらっしゃいます。2人は人事畑の大先輩、つまりは私の専門分野でのメンターです。自分のポジションが上がったり、責任範囲が大きくなったり、大きなリストラをしないといけないなど初めての経験に直面した時、相談に乗っていただき、具体的なアドバイスや経験談をシェアしていただきました。経験が浅い自分では思いつかないことや、具体的な乗り越え方がわかり大変助かりました。人事分野のメンターに助けていただいたのは、「具体的に目の前のチャレンジをどう上手に解決するか」でした。

最後のお一人は、出会った時は部門長で、現在は超一流の経営者です。人事の専門家ではないので、人事のアドバイスをいただくことはできませんが、会社全体を見渡すマクロな立場からアドバイスをいただき、目から鱗だったことは何回もあります。彼にメンターとして助けていただいたのは、「視座を高く持つこと」です。

メンターと同じ会社に勤めている必要はありませんが、社内にメンターがいると、自分を引き上げてもらえるというギフトもあります。

ある米系企業に勤めていた時、部署AのGM(General Manager)で39歳の田中さん(仮称)が、部署BのGMで、本社から来ていた実力者のEXPAT(駐在員)にメンターになってもらっていると聞いた時は、さすがだなぁと思いました。アメリカ人駐在員は、優秀な上に人柄も素晴らしく、本社に戻ったら更に大きなポストに就くこと間違いない人材で、その人のメンティになっておくことで定期的に彼とコミュニケーションを取り、いざというときに引き上げてもらうつもりだなと読みました。お見事です。

もちろん利害だけでメンターを選ぶ必要はありません。自分の目的が純粋に人材としての自分の価値を高めたいのか、それとも社内で引き上げてくれる人を探したいのかによって、誰をメンターにお願いすれば良いのかは多少変わってきます。

相手が忙しいからとお願いすることをためらう方も多いですが、「メンターになっていただきたい」と言ってもらえることは”人“として嬉しいことです。皆さんが「あの人にメンターになってもらえたら」と思うような方はお人柄に優れているはずなので、必ず引き受けていただけます。勇気を出して頼んでみましょう。メンターにとっても自分の経験の引き出しを整理し、マネジメント・スキルを磨ける機会を得ることは、一方的なボランティアではないので大丈夫です。

どんな人をメンターにしたらよいかですが、

a)  経験・スキルだけでなく、人間的にも尊敬できそうな方

b)   面倒見がよさそうな方
自分より経験がない未熟な人材の成長を助けるタスクにドライな方、自分のことで手一杯な方は向きません。

会社に正式にメンター制度がなくても、ご自分からお願いできないかなと思える人を考えてみましょう。あとは「私のメンターになっていただけないでしょうか? お時間が許せば1か月に1度くらい、ミーティングをさせていただけたら有り難いです 。」と、お願いするだけです。

皆さんのキャリアが、メンターのサポートを得て、さらに花開きますように。

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鈴木美加子

グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師

NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)

株式会社AT Globe

強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。

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