Global Career Guide
元・外資系人事部長、現グローバル人材育成家の鈴木美加子です。本日は、キャリアの方向性を考えている方のご相談について、アセスメントツール「ルミナ」を使って解説します。
*この記事は本人の了承の元に書かれています。
本日の相談者は、プラント建設の日系企業にお勤めの35歳の女性・高田さん(仮名)です。最初の社内異動で調達の仕事をしていました。海外でプラントを建設するにあたり、必要な資材を納期までに調達する仕事で、帰国子女である彼女は、英語力を活かすこともできて仕事は楽しかったそうです。
転機は2回めの社内異動で人事に配属になったことです。自分に合っていない気がするし、仕事もあまり楽しくないとのことで、この先どうしたらよいかというのがご相談内容でした。
まずは4つのカラーを見てみましょう。
細かいことが得意な青のスコアが95%。 100人並んでいる時、自分より青が多い人は前に5人しかいないと言う、圧倒的な強みです。結果重視の赤と人間重視の緑は、それぞれ6割、5割なので、青を補佐する二次的資質といえます。
次に高田さんのマンダラを見てみましょう。
スコアが高い資質(強み)は、「結果重視・規律重視・堅実(細かいことが得意) ・内向的」です。
人間重視のスコアは特別高くは無いけれど、非常に低いと言うわけでもありません。
スコアが低いのは、「直感重視とビジョン重視」です。インスピレーションを元に行動すること、大きな絵を描いて変革を起こしたり、独創的なアイディアを思いつくなどは苦手な領域です。必要とあれば外交性を発揮することもできます。
調達の仕事は、「プロジェクトマネジメント」×「交渉(自分がお客さん側)」と言う仕事なので、赤と青の領域のスコアが非常に高い高田さんにとっての天職だった可能性が高いです。異動になってがっかりしてしまった気持ちはわかります。
ルミナ・スパークでは、内在する自分(素の自分)・日常の自分(職場の自分) ・行き過ぎたときの自分(忙しすぎるなどストレス下の自分)を見ることができます。高田さんは、どんな時においても赤と青の領域にいるとわかりますので、この2つの領域を活かせる仕事に就くことが、成功への近道です。
それでは、現在の人事の仕事に、向いているかどうかを考えてみましょう。
一般論で言うと人事の仕事には人間重視の緑が欲しいところですが、高田さんの緑の詳細データを見ると、特別高いわけではありません。
人事の中にも、青と赤の組み合わせの業務は存在します。それは福利厚生担当です。給与・年金システム・その他の福利厚生など、数字を扱い細かいデータを見る必要があります。制度改革をするのであれば社員の給与に関わることなので、締め切りにコミットして成果物をデリバリーする必要があると言う意味で、結果重視の赤も必要です。
私がたまたま元人事なので、福利厚生の仕事の業務について詳しく説明したところ、あまり興味がないとのことでした。人事の他の業務に必要な資質は「赤 × 青」では無いので、結論として人事から出る策を考えることになりました。
考えられる選択肢は2つです。
a) 人事異動を再び願い出る
b) 外資に転職する(英語できます)
これまでの社内の慣例をみていると、異動して1年経たない社員が再び異動になる事例はひとつもなく、多分無理だろうとのことです。社内異動を再びトライするには、外部に出る覚悟をして物事を進めてからの方が良さそうです。外資系で調達のプロをしている友人をご紹介して、企業風土の違いや求められる人材像について聞き、外資に転職するかどうかを決めることになりました。
せっかく天職とも思える仕事についていたのに、社内異動で適性が疑問視される仕事に就くことになってしまったのは残念でした。これを機に、ご本人の強みを再確認して、再び適職に就いてほしいと願っています。
毎月最後の週に、ルミナスパークを使ったキャリア相談の概要を載せるようになって2年半が過ぎ、本日の投稿が30回めとなりました。皆さんお読みくださり、ありがとうございます。これからも、皆さんが転職するかどうか、どのように転職するかを判断するにあたり、役立つ情報をお届けできるよう精進して参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。
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グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。