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キャリアの方向性をルミナで考える(実例29)

元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日は、キャリアの方向性を考えている方のご相談について、アセスメントツール「ルミナ」を使って解説します。

*この記事は本人の了承の元に書かれています。

本日の相談者は、39歳の男性・栗田さん(仮名)で、日系メーカーでエンジニアをしています。適職についているとは思っていますが、2年前に異動になり、上司がパワハラ傾向にあって職場に行くことが辛くなりました。2020年以降はテレワークなので顔を見なくて済むものの、上司からのメールのトーンは相変わらず不必要に強く、この先どうすべきか悩んでいます。

まずは、栗田さんのマンダラを見てみましょう。見事に左半分で成り立っている青緑さんです。強みは、人間重視・内向的・堅実(データ重視)・規律重視です。現在の仕事はPCに向かっていることが多く、あまり人と関わらなくてすみますし、何よりデータに強く規律(ルール)を守ることが得意な栗田さんにとって、エンジニア職は適職です。

スコアが低いのは、結果重視・外交的・ビジョン重視です。常に人と関わる仕事や、人前でプレゼンをたくさんするような仕事、結果に向かってゴリゴリ他人に配慮なく頑張るタイプの仕事は、彼には向いていません。

こうしてみると、仕事自体は適職に就いており全く問題ないことになります。課題は、上司との人間関係です。外資系であればどの人材も転職する可能性があるので、一年ぐらい待てばもしかしたら上司が転職するかもしれません。ただ栗田さんの場合、上司も新卒から今の会社に勤めており、転職するとは思えないそうです。

社内異動は申し出ることができますと聞いてみたところ、制度は存在するけれど、仕事ができる人は上司が離さないので結局は異動できないのが現実だそうです。栗田さんは謙虚な方なので恥ずかしそうにされていましたが、お話をしていてもお仕事のできる方だと感じるので、上司が離してくれない可能性は高いでしょう。

ここまできて、栗田さんに「英語はできますか」と聞いてみました。聞いて良かったです。なんと彼は帰国男子なのです。小学校時代にアメリカに住んでいたので、今でも日常会話なら全く支障がないとの事でした。

英語ができると言う1点が、解決策の方向性を180度変えることになります。労働市場は需要と供給のバランスで、英語ができる日本人エンジニアは本当にいません。栗田さんは日系企業に勤めていて、ほとんど英語を使う機会もないし、大人になってから必死に勉強して身につけた英語力ではないので、自分の英語力にそんなに価値があると、全く気がついていないようでした。

価値、大いにあります。エンジニアの英語力は、年収を最も大きくアップさせられる鍵になり得ます。

栗田さんの細かいデータを見ると、「慎重・物事に控えめ・思慮深い」のスコアが非常に高いです。 すぐに「転職しよう」と決めるようなタイプの人ではありません。じっくり考えてみる一助として、バイリンガル人材に強い転職エージェント・転職サイトのリストをお渡ししました。よく考えてから、最終決断を下すことでしょう。

自分が適職についているかどうかはルミナですぐわかります。ただ問題の本質は職業への適性ではないこともあるので、いろいろな角度から解決策を模索するようにしています。応援しています。

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鈴木美加子

グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師

NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)

株式会社AT Globe

強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。

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