Global Career Guide
留学経験やビジネスレベルの英語力は、より高い年収とキャリアの可能性を手に入れられる業界への転職の強い武器です。英語を使う仕事の需要が高まっている今、英語教育に関連している仕事も重要視されています。
今回は、英語力を活かして幅広いフィールドで活躍するために準備すべきこと、そして転職を成功させるための方法をご紹介します。
効果的な転職活動の進め方英語教育経験を活かしてキャリアの幅を広げよう
留学や英語教育の経験は、新たな業界へ足を踏み入れる際の強みとなります。
ここでは、留学・英語教育の経験者の可能性や、今までに培ってきた経験がどのようなシーンで活かされていくかをみていきます。
現在、日本企業の海外展開の加速や、外資系企業の日本進出増加に伴い、グローバル人材の需要が着実に拡大しています。なかでも、ビジネス英語力と日本文化への深い理解を併せ持つ人材へのニーズが高まっています。
また、リモートワークやオンラインコミュニケーションが活発化したことで、海外企業との関わり合いも増え、英語でのコミュニケーション能力を持つ人材の価値がますます上がっているのが現状です。
これは従来の通訳・翻訳や英語教育分野だけにとどまらず、マーケティング、人事、営業など、外資系企業のさまざまな職種で起こっています。
英語力を活かせる機会は多様化しており、留学経験者や英語力がある方にとって有利な就職市場がつくられているといえるでしょう。
企業が英語のプロフェッショナルに期待しているのは、単に「話せる」スキルを超えた戦略的な役割です。
例えば、グローバルコミュニケーションの橋渡し役として、異文化理解力やファシリテーション能力が重視されています。ファシリテーション能力とは、会議やミーティング、プロジェクトなど、人の集まる場所で議論をスムーズに進めたり、問題解決をサポートしたりする能力のことです。
また、海外拠点とのプロジェクト推進やクライアントとの商談、契約交渉、マーケティング戦略の立案など、企業の中核的な業務において重要な役割を担うことも期待されています。
社内の英語教育プログラムの企画・運営や、グローバル人材の育成支援など、組織全体の国際競争力向上にも貢献が求められる場合も。
さらに、対面だけではなくオンラインでのコミュニケーションスキルも重要視されています。
教育現場での経験が、ほかの業種の企業において評価されるポイントを見ていきましょう。
まず、教育現場で培ってきたコミュニケーションはほかの職種でも役立ちます。物事をわかりやすく伝え相手の理解度を推し量るスキルは、ビジネスシーンでも重要といえます。
次に、カリキュラム開発や教材作成の経験は、プロジェクト管理能力や企画力として評価されます。
また、学生たちの学びの進捗管理や動機付けの経験は、チームマネジメントやリーダーシップスキルにつながるでしょう。
さらに、教育現場での問題解決力や柔軟な対応力は、ビジネスにおける変化への適応力として高く評価される可能性があります。
もしオンライン教育の経験があれば、デジタル時代のコミュニケーションスキルとして注目されるでしょう。
英語を活かしたキャリアの選択肢は、従来の教育分野や通訳・翻訳業務などはもちろん、それ以外にも大きく広がっています。
例えばEdTech企業(※)のプロダクトマネージャーやカスタマー窓口、グローバル企業でのマーケティング担当や海外営業支援、人材業界なども英語力を求められる職種です。
また、フリーランスとしての活動も増加しています。オンライン英語講師やビジネス英語コンサルタント、外国人向けツアーガイドなど、働く時間や場所に左右されない、独立した形で英語に関連した仕事を持つ人も増えています。
さらに、スタートアップ企業やグローバル展開を目指す中小企業においても、英語力を持つ人材への需要が高まっており、より柔軟なキャリア形成につながるでしょう。
※EdTech企業:Education(教育)とTechnology(技術)を組み合わせた造語で、テクノロジーを駆使しながら教育をサポートする仕組みやサービスを行う企業のこと
留学・英語教育経験者には、言語だけでなくさまざまなスキルがあります。
異文化環境での生活経験は、グローバルな視点に触れ、多様な生き方への理解を深める一歩です。また、英語教育現場での経験は、効果的なコミュニケーション方法や、相手の理解度に応じた説明能力が養われます。
さらに、留学時に遭ったさまざま状況への対応経験によって、問題解決能力が育まれたはずです。
これらの経験は、グローバルビジネスにおいて大切な異文化マネジメント能力やチームビルディングスキルとして評価される可能性があります。
特に、日本と海外の文化や生活習慣の違いを理解し、適切な橋渡しができる人材として、留学・英語教育経験者は高い価値を持っているといえます。
英語力を活かせる転職先にはさまざまなものがあります。
ここでは、転職先の選択肢を、教育関連企業と英語経験を活かせる企業と職種をピックアップしてご紹介します。
英語力を活かせる教育関連の仕事についてご紹介します。
職種 | 主な業務内容 |
教材開発ディレクター | ・英語教材の企画・制作/品質管理 ・カリキュラム制作 ・デジタル教材やアプリの開発 ・市場調査 ・教育トレンドの分析 |
オンライン英語教師 | ・オンラインでの英語レッスン ・学習者のレベルに合わせた教材制作 ・学習者の学習進捗管理・フィードバック |
教育コンサルタント | ・教育機関の指導方法の改善提案 ・教員のための研修プログラムの企画・実施 ・学習効果の分析 ・グローバル向けの教育プログラムの開発サポート |
これらの職種では、教育に関する知見と英語力の両方が求められます。
グローバル企業では国際的なビジネス環境のなかで英語力を発揮できます。
職種 | 主な業務内容 |
グローバルコミュニケーション | 海外拠点とのスムーズな情報共有・協力体制の構築 |
海外営業サポート | 商談や海外市場開拓、通訳や資料作成などのクライアントサポート |
国際広報 | グローバル市場での企業ブランドの向上や海外ステークホルダーの拡大を目的に、企業の情報を適切に海外に発信 |
通訳・翻訳コーディネーター | スムーズな業務遂行や企業の海外進出を目的に、社内の通訳・翻訳に関わるコミュニケーションを管理 |
上記の職種には、英語を話せることはもちろん、相手の文化・背景を尊重しつつも自分の考えを伝えること、意見を理解するスキルが求められます。さらに、現地の文化や市場の特徴、競合他社の状況なども理解している必要があり、海外事業や海外展開をスムーズに進めるうえで重要な役割です。
人材業界では、グローバル人材をサポートする立場で英語力を活かせます。
職種 | 主な業務内容 |
バイリンガルリクルーター | 外国人の日本での就職や転職、日本人の海外での就職や転職をサポート |
キャリアコンサルタント | 語学力を持つ人材のキャリア設計のサポート |
人材トレーナー | 社員の語学力工場を目的に、企業向けの語学研修プログラムを企画・実施 |
就活生や転職希望者との交流を通して、自分のキャリアを見つめ直すこともできる職種です。
EdTech企業では、テクノロジーを活用した教育サービスの開発・提供に携われる場合が多いでしょう。
例えば、教育アプリやサービスの企画・開発をリードしニーズを製品に反映させるプロダクトマネージャーや、オンライン教材の販促戦略を立てて効果的なプロモーションを行うマーケティング担当、学習データを分析し、サービスの改善提案や学習効果の向上につなげるデータアナリストという仕事などもあります。
EdTechに関する職種では、テクノロジーへの理解と教育への経験や知識が強みとなるでしょう。
英語力を活かした仕事でキャリアアップを目指す際、一緒に年収アップも目標にしたいと考える方もいるでしょう。今より高い年収を目指すためには確実なスキルアップも大切です。ここからは、年収アップにつながるスキルアップ戦略について解説します。
まずは、ビジネス英語のスキル強化についてみていきましょう。
TOEICスコアは多くの企業で評価基準として使用されており、役職や給与にもつながる場合があります。ここで、TOIECのスコア別評価と、職種別のTOIECスコアをご紹介します。
スコア | 評価 | 職種 |
500‐595点 | 基礎的な英語力はあるがビジネスでの英語使用には更なる学習が必要 | ITエンジニア・ホテルスタッフ・グランドスタッフなど |
600‐695点 | 基本的なビジネス英語力はあるが、高みを目指すためには更なるスキルアップが必要 | 英文事務・航空管制官・キャビンアテンダントなど |
700‐795点 | 一般的なビジネス英語力を持っている。英文メールのやり取りや簡単な会議への参加が求められる職種で必要とされるレベル | 外資系企業・商社(総合職)・バイリンガルセクレタリーなど |
800-895点 | 多くのグローバル企業で十分な英語力として評価され、海外拠点とのやり取りが多いポジションでも対応可能なレベル | 公認会計士(国際部門)・英語教員・英会話学校講師・英語教材の企画開発/編集など |
900点以上 | グローバル企業での管理職や専門職として通訳や翻訳、海外とのビジネス交渉などの高度な英語力が求められる職種で強みとなる | 翻訳/通訳者・各種コンサルタント・英文速記者など |
まずは現在のスコアから50-100点上昇を目指し、計画的に学習を進めていきましょう。
ほかにも、ビジネス英会話のレッスンを受ける、ビジネス文書作成力を向上させる、実践的な環境で学ぶなど、実務で即戦力となる英語力を身につけることで年収アップにつながります。
教育分野でのキャリアを確立するには、専門的な資格があると有利です。
例えば英語教授法の国際資格として高い評価を受けられるTESOLはオンラインで取得可能です。また、英検準1級以上は高い英語力の証明となり、教育関連の仕事での信頼性が高まります。
これらの資格は、教育関連企業でのキャリアアップや、フリーランスとしての活動の幅を広げる際にも有利に働きます。
教育関連の仕事でキャリアアップを目指すなら、EdTechへも対応できる、デジタルスキルを習得しましょう。
具体的には、LMS(学習管理システム)の操作・管理、オンライン教材の作成ツールの使用、データ分析ツールの活用などです。プログラミングの基礎知識(HTML、CSS、JavaScript)もあれば、より効果的なデジタルコンテンツを作成できるでしょう。
また、動画編集やグラフィックデザインのスキルも、オンライン教材の制作において重要さを増しています。
デジタルスキルは、オンライン講座やワークショップでの習得も可能です。ぜひ検討してみましょう。
ビジネススキル向上も、年収アップには大切な要素です。
例えばプロジェクトを管理する力やリーダーシップ、戦略的な思考力などを身につけることは、キャリアアップにつながります。
企画力を高めるために、マーケティングや事業計画の立案についての知識を深めることで企画力も高められるでしょう。
MBAやビジネススクールでの学習、ビジネス系セミナーへの参加などに積極的に参加することでも、ビジネススキルを向上できます。
ご自身が尊敬する人をロールモデルとして、その人の強みを参考にし、ご自身のスキル向上につなげるのもよいでしょう。
英語教育経験は転職でも大きな強みとなります。ここからは、英語を使う仕事に転職する際に、大切なポイントを5つご紹介します。
まずは、就きたい職種で求められる英語力を明確にさせましょう。
企業が求めているTOEICやIELTS(アイエルツ)(※)のスコアなどを確認し、実際の業務で必要とされる英語レベルを把握します。
例えば、日常的な英会話程度なのか、ビジネス文書の作成が必要なのか、専門的な用語の理解が求められるのか、未経験の職種でも英語が使えれば応募できるのかなど、具体的に確認することが必要です。
これにより、ご自身が準備すべき事柄が明確になります。
※IELTS(アイエルツ):International English Launguage Testing Systemの略。英語圏の国に留学や移住、就労を希望する人の英語力を測定する英語試験。
転職を成功させるためには、英語力にプラスしたアピールポイントがあると有利です。
まずご自身が持っている経験やスキルを客観的に評価して、どの部分が希望する職種とマッチングするかを把握します。同時に、どの部分が弱いかも確認しましょう。
強みだけではなく弱みを知っておくことで、具体的な行動計画を立てるなど効率的な準備ができます。
また、チャレンジしたい職種に対して経験不足が懸念される場合でも、英語力の高さでカバーできる可能性もあります。ご自身の可能性を広げるためには欠かせない作業です。
転職を考えるなら、「英語を使う仕事がしたい」という漠然とした目標ではなく、その先にある具体的なキャリアビジョンを描くことが大切です。
なぜ英語を使う仕事に就きたいのか、その仕事を通じて何を実現したいのかを明確にすることで、モチベーションの維持と適切な職種の選択につながります。
また、ご自身が英語教育に携わった背景があるなら、その経験をどのように活かせるかをしっかりと考えることで、目指す仕事が決まるでしょう。
希望の仕事に就くのがゴールではなく、さらにその先を見据えたキャリアデザインが大切です。
英語力を向上させるだけでなく、希望する職種に関連する専門知識やスキルも併せて習得することが大切です。
例えば、IT知識やマーケティング能力、プロジェクトマネジメントスキルなど、職種に応じた付加価値を持って転職活動を行うことで、より求められる人材になるでしょう。
英語力は確かに強みとなりますが、それだけでは長期的なキャリア形成には十分ではないかもしれません。職種や企業によっては、英語はあくまでも「ツールの一つ」として認識される可能性があります。
そこで、英語を使った転職活動の強みとなるのが、英語にプラスしたスキルの獲得です。必要な場合は資格取得も視野に入れながら転職活動を行いましょう。
まずはご自身の興味や適性に合う専門分野を見つけ、その分野での知識やスキルをさらに深めることで、スムーズな転職活動が行え、さらにその先のキャリアパスも築けるでしょう。
多くの企業は、TOEICのスコアで英語力を判断しています。そのため、スキルアップ・収入アップのために目指したい仕事がTOEICにおいてどのような点数の範囲であるかを知ることは大切です。ここからは、英語を使った仕事をビジネスレベル(TOEIC700以上)に絞ってご紹介します。
外資系企業では日常的に英語が使用される環境に身を置くようになります。
海外本社との戦略会議、外国人同僚との業務、海外クライアントとの商談など、さまざまな場面で実践的な英語力が求められます。
特にメールでのやり取り、テレビ会議での議論、プレゼンテーションなど、ビジネスシーンに特化した英語スキルが必須です。
2ヶ国語以上の言語を使う秘書のことです。経営者や役員のスケジュール管理や海外からの来客対応、国際会議の通訳、各種文書の翻訳など、多岐にわたる業務を担当します。
高度な英語力に加え、ビジネスマナーや異文化理解力が必須です。機密性の高い情報を扱うことも多いため、守秘義務も重要視されます。
通訳・翻訳業務ではビジネス、医療、法務など、専門分野における高度な通訳・翻訳スキルが求められます。単なる言語変換だけでなく、世界の歴史や文化的な背景、業界特有の専門用語の理解も必要です。
クライアントのニーズに応じて、同時通訳や逐次通訳、文書翻訳など、さまざまな形での対応が求められます。
英語教育の現場では実践的なコミュニケーション能力と高い英語運用能力が求められます。
教材開発では、最新の教育トレンドを踏まえたコンテンツ制作や、学習者のニーズに合わせた教材設計能力が必要です。
オンライン教育の普及に伴い、デジタル教材の開発スキルも重要性を増しているため、デジタルスキルを習得していると有利でしょう。
企業が抱える問題とその原因を見つけて解決策を提案する仕事です。グローバルな視点での経営課題の分析や解決策の提案が求められます。国際的な案件に携わる機会が多く、高度な英語力と専門知識の両方が必要になります。
効果的な転職活動を見ていきましょう。
まず自己分析から始めることが大切です。TOEICなどでご自身の英語力を客観的に評価し、実務経験や資格を整理・分析します。
次に、英語力を活かせる職種を調べ、業界の求人動向や必要スキルを把握しましょう。
LinkedInを活用した人脈づくりや、オンラインセミナーへの参加を通じて、業界についての理解を深めることも大切です。
実践的な準備では英文履歴書の作成や面接での英語でのアピール方法を練習し、ビジネス英語力を強化させましょう。
転職活動を開始する際には、Daijob.comなどのグローバル求人サイトや、バイリンガル人材専門の人材紹介会社を活用し、複数の選択肢を並行して検討しながら継続的なスキルアップを行うことで、よりよい条件での転職が実現できます。
特にDaijobは外資系企業や英語を使用する職種の求人が豊富で、英語力を活かしたキャリアチェンジを目指す方に適したサービスです。
転職活動を始めたあとも、継続的なスキルアップは欠かせません。たくさんのスキルを身につけて、よりよい条件での転職を実現させましょう。
英語教育経験者は、従来の教育現場に留まらず、さまざまな分野での活躍が期待されています。
教育現場で培った指導力、コミュニケーション能力、カリキュラム開発経験などは、さまざまな業界で高く評価される強みです。
英語教育経験を活かしたい方はぜひ、こちらからご自身に合ったお仕事を探してください。