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「スペイン語を活かした働き方に興味がある」「どんな職業でスペイン語を使えるのだろう」日常的にスペイン語を使いたい場合、このように思う方もいるかもしれません。スペイン語を活かせる職業はさまざまありますが、ビジネスで通用するのはCEFR「B2」レベルからとされています。
この記事では、スペイン語の将来性や資格、レベル別の活かせる職業について解説しています。転職を成功させるポイントについても解説していますので、スペイン語を使った仕事への転職を考える方はぜひ参考にしてください。
スペイン語は、グローバルビジネスにおいて将来性のある言語です。特に経済発展が著しい中南米・ラテンアメリカ地域では、母語として多くの人々に使用されています。その話者数は今後も増加すると予測されています。
そのためスペイン語の習得は、転職活動やビジネスシーンでの活躍に大きな可能性をもたらすでしょう。例えばスペイン語圏の国々とのビジネスチャンスの創出や、スペイン語を公用語とする世界的企業との取引で、そのスキルは大きなアドバンテージとなることが期待できます。また、グローバル化が進む現代社会において、スペイン語スキルはキャリアの選択肢を広げ、競争力を高める重要な要素となります。
このように、経済的な成長性と実用的な価値の両面から、スペイン語は将来性の高い言語といえるでしょう。
国際SILによると、スペイン語話者数は約5.6億人で世界第4位の多さです。公用語としている21ヵ国は以下の通りです。
<ヨーロッパ>
<南米>
<中央アメリカ>
<カリブ海>
<アフリカ>
スペイン語習得者は、さまざまな国の人たちとのコミュニケーションが可能になります。
習得したスペイン語を仕事に活かしたいと思う方もいるでしょう。ここでは、具体的にどの程度のレベルがあればスペイン語でビジネスができるのかについて解説します。
まず、前提としてCEFRについて理解しておきましょう。CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)は、外国語の学習・教授・評価のための国際的な基準です。
スペイン語能力を含む外国語の言語運用能力を、6段階(A1、A2、B1、B2、C1、C2)で評価するものです。
一般的に、仕事で使えるとされる最低限のレベルはB2以上といわれています。ただし、専門性の高い職種や上級管理職では、C1やC2レベルのスキルが求められる場合もあります。
例えば、法律や医療の通訳、国際交渉の場、高度な学術論文の執筆などでは、さらに高い言語能力が必要でしょう。英語の場合、英検では準1級、TOEICスコアでは785以上がB2レベルに相当するとされています。
語学力を可視化できる検定を受検すれば、転職の際にアピール材料となるでしょう。
ここでは、代表的な資格を2つを取得のメリットや試験概要とあわせてご紹介します。
DELEスペイン語検定は、スペイン教育・職業訓練省の管轄下で、インスティトゥト・セルバンテス東京が実施する国際的なスペイン語能力認定試験です。入門レベルのA1から最上級のC2まで、グレードが6段階あります。
「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能を総合的に評価して、実践的なスペイン語によるコミュニケーション能力を測定します。年4回開催され、応募資格は特にありません。
一度取得すれば有効期限がなく、生涯にわたってスペイン語能力の証明として活用できるのがメリットの一つです。また、国際的に認められた試験なので、国内外の企業で資格要件として認められている点も魅力でしょう。
特にスペイン語圏での就職では応募条件として求められることも多いため、取得しておくとアピールポイントになります。
レベル別の試験内容は以下の通りです。
全体で100分以上の試験時間です。
スペイン語技能検定(通称:西検)は、1973年からスタートした「公益財団法人日本スペイン協会」が主催する民間資格試験です。文部科学省が後援しています。
年2回開催(1級は冬季1回のみ)で、応募資格は特にありません。2023年には100回目を迎え、長年にわたり日本でのスペイン語能力評価の中心的な役割を果たしてきました。
英検と同様、国内でのみ有効な資格です。
スペイン語技能検定の取得メリットは、3つあります。
1つ目は、就職・転職活動の際に履歴書に記載できる点です。文部科学省認定の検定試験であるため、国内でのスペイン語力の公式な証明として広く認められています。
2つ目は、実践的な能力証明となる点です。日本語とスペイン語双方向の翻訳能力も評価されるため、通訳や翻訳の専門職を目指す方に特に向いています。
3つ目は、1級合格者には全国通訳案内士試験のスペイン語実力試験が免除されるなどの特典がある点です。
資格に有効期限がないことも大きな特徴です。一度取得すれば、永続的にそのレベルのスペイン語能力を証明することができます。
レベル別の試験内容は、以下の通りです。
レベルが上がるにつれて試験時間が長くなります。また、2~6級の合格基準は70%なのに対し、1級は80%と難易度も格段に上がっています。
スペイン語を活かしながら働く方法には、国内外問わずさまざまあります。ここでは、4つの国別に具体的な職種などをご紹介します。
日本では、スペイン語を活かす職種に以下の求人が多くあります。
海外拠点のある企業の駐在員や、海外出張を前提とした求人もあります。住み慣れた日本で働けるため、環境を大きく変えずに転職ができる点がメリットです。
主要言語がスペイン語のメキシコ。自動車関連をはじめとする、日系企業の進出数が年々増えています。
過去3年間の日系企業進出数は以下の通りです。
日本人向け求人は、製造業関連や営業職、通訳・翻訳、事務職などさまざまで、スペイン語スキルがあれば比較的求人を見つけやすいでしょう。現地日系企業は人材不足が進んでいるので、需要がある可能性が高いです。
また、メキシコは比較的ビザが取得しやすい点も特徴の一つです。
参照元:外務省「海外進出日系企業拠点数調査」
アメリカは5人に1人がヒスパニック系で、特にニューメキシコ州やテキサス州に多く居住しています。日系企業も西部や南部に多く進出しています。
アメリカで就業する場合、基本は英語によるコミュニケーションが主流なので、まずは英語力が必須です。また、アメリカの就労ビザは種類が多い一方、取得が年々難しくなっています。そのため、アメリカでの就労は少しハードルが高いかもしれません。
参照元:
Pew Research Center「Key facts about U.S. Latinos for National Hispanic Heritage Month」
JETRO「2023年度海外進出日系企業実態調査|北米編」
スペイン現地には、スペイン市場を対象としている日本企業のほか、日本市場を対象としているスペイン企業などがあります。
ただし、日系企業の数は2023年時点で404件と、メキシコに比べるとかなり少ないです。また、スペインの失業率は非常に高いため、日本人向けの求人も少ない傾向にあります。
スペイン語を活かせる仕事を、DELEのレベル別に解説します。ご自身のレベルと照らし合わせながら、参考にしてください。
A1(入門)~A2(初級)レベルで就労できる仕事は以下です。
簡単なスペイン語が理解できるA1~A2レベルは、接客業などの仕事がメインとなります。訪日外国人増加の影響で、スペイン語を話せるホテルスタッフやツアーガイドなどは重宝されるでしょう。
B1になると、以下のようなより幅広い職業に就くことができます。
意思や願望を不自由なく伝えられるレベルなので、補助的な業務や簡単な業務がメインとなるでしょう。
B2はスペイン語のビジネスレベルです。仕事の一例は以下の通りです。
スペイン語を自然な表現で、流暢に話せるレベルです。そのため、業務で積極的にスペイン語が使われる仕事に就けます。
C1~C2の仕事例は以下の通りです。
C1~C2レベルはスペイン語上級~ネイティブ相当となるため、専門的な仕事が可能です。
Daijob.comには、スペイン語を活用できる求人が多数掲載されています。年収は271万円前後からで、ハイクラス求人では600万円以上のものもあります。また、メキシコ現地で働く求人もあるため、国外への転職を考える方にもぴったりの検索サイトです。
スペイン語圏での就職では、仕事の能力だけでなく、その土地での日常生活にうまく順応できるかどうかも重要です。海外就職は職場環境が変わるだけでなく、生活環境の大きな変化をともなうため、新しい文化や習慣に柔軟に対応できる能力が求められることにも注意して、転職先を検討しましょう。
資格取得でスペイン語スキルを可視化するのは転職のアピール材料となりますが、ほかにも転職成功のための方法があります。
ここでは、成功へのポイントを2つご紹介します。
スペイン語を使う仕事を探す際は、スペイン語を学び始めた動機を明確に説明できるのが重要です。
語学力をアピールするだけでなく「特定の分野で活躍したいためスペイン語が必要」や「在日外国人支援のために多言語対応を目指している」など、具体的な目標や将来のビジョンを持っていることを伝えましょう。
明確な目的意識を示せば、向上心のある人材として好印象を与えられます。
スペイン語能力だけでは差別化が難しい場合があるため、+αの強みを持つとよいでしょう。例えば、英語や中国語などの他言語も習得することで、グローバル企業での活躍が期待されます。特に英語は国際共通語として重要です。
また「スペイン語+IT」のように専門分野のスキルを組み合わせたり、留学経験から得た知見を活かしたりできれば、より魅力的な人材と判断されるかもしれません。
スペイン語習得者は英語や中国語の習得者よりも希少価値の存在ですが、競争力を高めるためにも「スペイン語+α」の強みを持つことをおすすめします。
スペイン語圏の経済発展のはやさや話者数の多さから、スペイン語は将来性のある言語といえます。しかし、ビジネスで通用するのは、ビジネスレベルの「B2」以上です。
スペイン語を活かせる職業はさまざまですが、スペイン語+αのスキルがあるとアピール材料になりやすいでしょう。
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