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アメリカ各地では、4月5日、トランプ政権に抗議するデモが行われましたが、その後もデモが続いているところもあります。これはリベラル派の団体が全米で動員(mobilize)したもので、”Hands Off”をスローガンに1400ヵ所以上で、300万人が参加したと言われています。
”Hands off”とは直訳すると「手を放せ」という意味で、「かまうな」「放っておけ」「干渉するな」という意味になります。デモ参加者らは、下記のようなプラカードを掲げていました。
Hands off Massachusetts(マサチューセッツ州に干渉するな)
Hands off (our) free speech (言論の自由を妨げるな)
Hands off (my) social security (私の年金に手を出すな)
トランプ政権は、様々な分野の予算をカットしており、「(老齢)年金はカットはするな」という意味です。
叫んだりするときに“Hands Off!”ということもありますが、文章では”get”や”take”といった動詞とともに使われます。
Get your hands off me.(私に触るな。放せ)
これは、痴漢にあったり、襲われたりした場合に使えます。
“Get”でも”take”でも意味は変わらないのですが、”take”の方が少しソフトで、”get”の方が直接的でキツイので「触るな、放せ」と怒鳴る場合には”get”の方がふさわしいです。
Don’t take your hands off the wheel while driving.
(運転中はハンドルから手を離すな。)
Thousands of people joined the protest to tell Trump to take his hands off various government programs.
(何万人もの人たちが、トランプに対し様々な政府の制度に干渉するなという抗議デモに参加した。)
下記のように”keep”を使っても、getやtakeと同じ意味なのですが、”keep”の方が、その時だけでなく、「触らないままにしておけ」「ずっと触るな、放っておけ」という意味合いになります。
Keep your hands off my car.
(俺の車に触れるな。)
The kids couldn’t keep their hands off the cookies.
(子供たちは、クッキーに手を出さずにはいられなかった。)
“Keep your hands off him/her”というのは、曲の名前や歌詞によく使われます。ビートルズも歌ったことのあるキャロル・キング夫妻が作った歌に”Keep Your Hands Off My Baby”という歌がありますが、「私の好きな男子(女子)には手を出すな」と仲のいい友人に訴える内容の歌です。*
他にも、”Keep your hands off of her”(俺の女に手を出すな)、”Girl, keep your hands off him”(私の男に手を出すな)といった歌詞は英語の歌に非常に多いです。
なお、日本の漫画・アニメ『映像研には手を出すな』の英語のタイトルは”Keep your hands off Eizouken!”です。
“Hands off”は、「干渉しない、口出ししない」という意味で形容詞としても使われます。たとえば、“hands-off approach”といえば「干渉しないやり方」という意味です。 approach以外にも、”hands-off attitude” ”hands-off leadership”などのように使われます。なお、”hands off”の反対は”hands on”です。
The government is taking a hands-off approach to crypto.
(政府は、仮想通貨に対しては介入しない方針だ。)
The manager is known for his hands-off approach.
(そのマネジャーは、口出ししないやり方で知られている。)
Hands-off leadership could hurt workers.
(放任主義的管理手法は、労働者にとっては悪影響を及ぼすこともある。)
Is a hands-off leader better than a hands-on leader?
(口出ししないリーダーは、口出しするリーダーより優れているのか?)
* 元の歌は”boy”版で、ビートルズが歌ったのは”girl”版。”The boy is mine…There’s one thing you don’t touch.”「何でも貸してあげるけど、あの子は私のもの。あの子にだけは手を出さないで」
大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。