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外資・グローバル転職で役立つ英語表現(53)– Turnout

お祭りのような東京都知事選が終わりましたが、12年ぶりに投票率が60%を超えたということですね。無党派層が押し上げたかと言われていますが(まだ選管が投票率の内訳を出していない)、2012年の猪瀬知事のときの方が少し高かったのは、当時も、都知事選への関心は高かったのでしょうか。ちなみに、一番高かったのは、1971年の美濃部知事の再選時で72%でした。

投票率

「投票率」は、英語では”rate”を使うのかと思う人もいるかもしれませんが、英語では”turnout”と言います。文脈から選挙の話とわかっているのであれば、”turnout”だけでいいですし、そうでなければ”voter turnout” ”election turnout”という言い方ができます。

The French elections had a 67% turnout, the highest in over 40 years.
(フランスの総選挙の投票率は67%で、過去40年超で最高だった)

Tokyo’s gubernatorial election turnout was more than 60%, up from 55% in the 2020 race.
(東京都知事選では、投票率が60%を超え、2020年の選挙時の55%を上回った)

The 2020 presidential election had the highest voter turnout – 67% – of the 21st century.
(2020年の大統領選挙は、21世紀に入り最高の67%に達した)

Global voter turnout has been in decline since the 1960s.
(世界的に、投票率は1960年代から下降を続けている)

「投票率」は、他にも、下記のような表現が使えます。

60% of eligible voters cast ballots on Sunday.
(有権者の6割が、日曜に投票した)

The Tokyo gubernatorial election saw the highest participation – 72.36% – in 1971.
(東京都知事選の投票率は、1971年の72.36%が最高だった)

Turn Out

“Turnout”は、(自)動詞の”turn out”「参加する、繰り出す」という意味から来ています。これは、「投票する」という意味で、下記のように使われます。

Voters turned out at a rate not seen in decades. 
(過去数十年見られなかった割合で投票が行われた。過去数十年見られなかった投票率となった)

More voters turned out than expected for the last election.
(前回の選挙では、予想より多くの投票が行われた。投票率は予想より高かった)

世界的な投票率の低下

日本では、「海外に比べて投票率が低い」と言われていますが、フランスの総選挙の投票率は、2022年に39%、2018年も40%で、日本の総選挙よりかなり低かったのです。アメリカでは、2016年の大統領選は「初の女性大統領なるか」「トランプ対ヒラリー」で盛り上がったのですが、それでも60%でした。それ以前は、1980年代以降、ほぼ50%台です。(今回のような中間選挙では、さらに低い)

私は、10年ほど前に、アメリカで住んでいた都市の市長選で、支援候補の選挙活動を手伝ったのですが、ドブ板活動で戸別訪問をして市民の支援を仰いだことがあります。アメリカでは地方選での投票率は、10~20%というのが平均的で、市長選があることも知らなければ、自分が住んでいる都市の市長が誰か知らない人が大半です。 

実は、過去数十年で、世界的に(とくに先進国の)投票率が低下しているということで、その原因を探った調査があります。3年前に116ヵ国の投票率を総合的に調査したところ、1960年代後半には総選挙や大統領選挙の投票率は77%ほどあったのが、近年、67%に下がっているそうです。

その理由を探るために1400以上の国政選挙、31万人の有権者に対しアンケート調査を行なったところ、第一の理由は経済発展であると結論づけられました。国が一定の豊かさに達すると、国民は権威に従わなくなり、投票が国民の義務であるという観念が薄れるのだそうです。経済発展中に成人し、投票する頻度の高い古い世代が亡くなることで、全体的に投票する人が減ることが、投票率低下の理由の56%を占めるということです。

次に、投票率低下の21%にあたる理由が、選挙が多すぎることだそうです。多ければ多いほど、有権者が選挙疲れを起こしてしまうというのです。ヨーロッパでは、1960年代に比べ、選挙の数が34%増えたということで、フランスのように、年に二回も選挙があると「もう選挙でお腹いっぱい」となるようです。

他の理由として、「入れたい候補者がいない」というのもあるでしょう。過去数回の米大統領選挙では、とくに無党派層にとっては「どちらの候補にも入れたくない」という状態が続きました。今回も、世論調査では、有権者の25%ほどが「どちらにも入れたくない」と回答しているので、投票率は低いのではないかと思われます。

ただし、「投票に行っても何も変わらない」というのは、選挙に行かない言い訳にすぎないと思います。今回の都知事選でも、(現職かつ組織票の壁は鉄壁なので)結果は覆せなかったものの、国民の多くが嫌いな(?)野党を大敗させるという偉業を成し遂げ、組織票がなくても「情報発信の仕方など新しいやり方でも、ある程度、得票できることが証明されたのは大きい」という声に、私も賛同です。

「10代~30代の投票率が100%になっても覆せない。絶望的」なんていうのはナンセンスです(世代間の分断を広げたい?)今回、石丸氏に投票した割合は40代や50代で2割を超えていて、60代でも2割くらいあります。(本人も「当初、支援してくれた人たちは50代以上」と言っていた)「ということは、中高年の支持を増やせば勝てるってことだよね」という”一般人”の方がまともでしょう。(女性票の開拓余地があるし。無党派層でも、4割以上を獲得した小池知事に負けてる)

皆さんも、マスコミや”専門家”の言うことを鵜呑みにせずに、自分の頭で考えましょう

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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