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先週、アメリカで行なわれた大統領選討論会(Presidential debate)は、世界を驚愕させました。各国のメディアが”A weak Joe Biden self-destructed in front of the whole world”(弱いバイデンが全世界の前で自滅した)、「リアリティショーのようだ」のように報じました。
ディベートの動画が上がったサイトでは「信じられない!」というコメントがアメリカ国外の視聴者からも寄せられていました。(御年80前後の現大統領、元大統領が、どちらがゴルフがうまいかという言い争いをするなんて! が、あれでも、バイデン大統領には、ちゃんとディベートコーチがついている。)
日頃、民主党にとって都合の悪い事実は報道しない民主党ベッタリの主要メディアですが、今回ばかりはかばい切れないようで、複数がバイデン大統領の出来を”disastrous”のように表現していました。
過去に大統領選に立候補した(やはり80代の)民主党のバーニー・サンダーズ(Bernie Sanders)上院議員も、下記のように言及しました。
I think the president was not terribly articulate, to say the least.
(控えめに言っても、大統領は、あまり明瞭ではなかったと思う。)
その通り、非常に控えめな発言です。バイデン大統領の場合、”articulate”云々どころではなく、”incoherent”(まとまりのない、しどろもどろの)でした。一番的確な描写は、最近、日本語でも使われる”frail”(虚弱な、弱弱しい)でしょうか。(と思った視聴者は多いようで。)
一方、”articulate”を体現していると言えるのが、東京都知事選に立候補している石丸氏です。安芸高田市長の時代から、同氏の切り取り動画がYouTubeで私のところにもよく流れてきていたのですが、初めて視聴した際、「すごくarticulateな人だな」という印象を受けました。
”Articulate”とは、「明瞭にうまく表現できる(話す、書く)」という意味ですが、日本語で一語で対応できる単語がありません。石丸氏のことを「理路整然としている」という人も多いですが、「理路整然」は”logical”に近いものの、”articulate”の訳として有効です。
”Articulate”であることはビジネスの世界で必要なスキルであり、かつビジネスの現場でよく使われる単語ですので、ぜひ使いこなせるようにしてください。
The young candidate is very sharp and articulate.
(その若い候補者は、とても頭が切れ、理路整然としている。)
Being articulate is an essential leadership skill.
(明瞭に話ができる能力は、リーダーには不可欠なスキルだ。)
Slowing down your speech is one of the techniques you can use to be more articulate.
(ゆっくり話すことは、より明瞭に表現できるようになるためのテクニックのひとつだ。)
She spoke articulately on the subject and seemed a good fit for the role.
(彼女は、そのテーマについて明瞭に述べ、その役職に適格のようだった。)
The manager articulately outlined the company’s AI plans.
(マネジャーは、AI計画の要点を明確に説明した。)
He was not able to answer the questions articulately.
(彼は、質問に明確に答えることができなかった。)
”Articulate”は、「明瞭に話す・書く、説明する」という意味で、動詞としても使われます。
The President struggled to articulate his points.
(大統領は、論点を明確に述べるのに苦戦した。)
The former President won the debate though he couldn’t articulate himself very well.
(元大統領はディベートに勝ったものの、自分の主張をうまく述べることはできなかった。)
During interviews, you need to be able to articulate why you’re an asset to the company.
(面接時には、その会社にとって自分がどうプラスになるのかを説明できなければならない。)
”Articulate”に似た言葉に”eloquent”があります。日本語の「雄弁な」という形容詞は、”articulate”よりも”eloquent”が相当すると思います。”Articulate”に比べ、”eloquent”の方が「よどみなく、説得力をもって」という感じです。
She is known to be an articulate and eloquent speaker.
(彼女は、理路整然とした雄弁家として知られている。)
He spoke eloquently about his experience in front of the audience.
(彼は、聴衆の前で、自分の体験について雄弁に語った。)
The team member eloquently described the issues the team was facing.
(チームメンバーは、チームが直面している問題を雄弁に説明した。)
大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。