Global Career Guide
私は昔、日本で通訳をしていた頃、南アフリカ出身のインド系ビジネスマンと仕事をしたことがあります。(英植民地時代、多くのインド人がプランテーションで働く奴隷まがいの労働者として英領の南アフリカに渡りました。)また、アメリカでは、(やはり英領だった)タンザニア出身のインド系歯科衛生士にも出会いました(親は今もタンザニア在住)。明治時代からインド人が住み着いている神戸には、関西弁ベラベラのインド系住民がいくらでもいます。
カリブの小さな島にもアクセサリー店などを経営しているインド人たち、また中国系移民もおり、「中国人とインド人は世界各地に移住している」という印象を受けます。
現に、海外に居住するインド人は1560万人以上で、海外(出身国でない国)居住者数では世界一です。(世界移住機関による2015年時点の統計) 居住国では350万人が住むアラブ首長連邦に次いで、200万人のアメリカが多いですが、サウジやクウェートなど中近東が多く、5ヵ国併せて890万人のインド人が住んでいます。
出身国別海外居住者数 | インド出身者の居住国 | |||
インド | 1560万人 | アラブ首長国連邦 | 350万人 | |
メキシコ | 1230万人 | アメリカ | 200万人 | |
ロシア | 1060万人 | サウジアラビア | 190万人 | |
中国(香港を含む) | 1050万人 | クウェート | 100万人 | |
バングラデッシュ | 720万人 | オーマン | 70万人 | |
パキスタン | 590万人 | イギリス | 70万人 | |
ウクライナ | 580万人 | カタール | 60万人 |
インド人(と中国人)は、「なんでこんなに海外に移民するのだろう」と思うのは私だけではないようですが、割合的には人口の1.2%以下で、海外に居住する日本人(133万人)の割合(1%)と、そう変わらないのです。やはり絶対数が多いので、目立つのでしょう。
ついでに、海外移住者が目指す国を見てみると… 世界で海外出身居住者が一番多いのがアメリカというのは、予想通りですが、意外なのが2位のドイツ。1200万人というと、独人口の14 %を占め、割合的にはアメリカと変わりません。なお、2016年には、ドイツの移民数は史上最高の1860万人に達し、人口の22%以上を占めました。2年前、難民受け入れで大騒ぎしたドイツですが、その後、移入難民数は激減し、東欧からの移住者が増えています。
一方、第三位のロシアは移出人口と移入人口がともに多く、かつ同程度という珍しい国です。
海外出身者居住国 | |
アメリカ | 4660万人 |
ドイツ | 1200万人 |
ロシア | 1160万人 |
サウジアラビア | 1000万人 |
イギリス | 850万人 |
アラブ首長国連邦 | 800万人 |
カナダ | 780万人 |
大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。