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タカシの外資系物語

“Frictionless Future”に向かって!(その2)2018.12.25

Fintechに慣れると・・・もう戻れない?!


(前回の続き) デジタル技術は“Frictionless”=摩擦・障害のない状態を作り出す! 最近のキーワードの1つである“Frictionless”(フリクションレス)ですが、われわれ日本人にとっては、バラ色の未来とはいかないようでして・・・、以下では、その理由を見てみることにいたしましょう。


前回のコラムでも述べた通り、Friction(フリクション)のある状態を、Frictionless(フリクションレス)にする、ということは、大きなビジネスチャンスを意味します。


例えば、金融とデジタル技術が融合したFinTech(フィンテック)などはその典型でしょう。元来、金融というのは、非常に面倒くさい! つまり、Frictionの塊だといえます。銀行に行けば超待たされた挙句に、超面倒な書類に、同じ事項を延々と記入しないといけません。ならばと、ATMに並んだら、こちらも長蛇の列で、客に処理をお願いしているにもかかわらず、手数料が召し上げられる・・・、もう、なんやねん、これ! って感じ。

 

そもそも、お金=現金って、何とかならないのか! 面倒だし、現金のハンドリング・コストだけでも、相当なもんだと思いませんか?! この状態こそ、まさにFriction状態!! フィンテックによって、キャッシュレス化(紙幣と硬貨を使わない支払い)することを通じて、Frictionlessを実現する。実際、Suicaなどの交通系ICカードによる決済手段を使い慣れてしまうと、現金には戻れなくなりますよね。技術が社会を変える、というのは、こういうことなのです。

650円の買い物をして、1,150円を出すという芸当


FinTechに代表されるデジタル技術を使ったFrictionless化は、日本においても、確実に浸透してきています。しかし、爆発的に拡がっているか・・・? というと、必ずしもそうではない。例えば、キャッシュレス化決済の比率を見ると、日本はまだ2割にとどまっている一方、韓国は9割、中国は6割、米英も5割前後に上っています。政府は2025年までに4割まで高める目標を掲げていますが、実現への道は非常に厳しいと見られています(経済産業省調べ。ここでいう決済は、銀行間の決済を含まない)。

 

日本においてキャッシュレスが進まない理由を「日本人は現金志向が強いから」で片づけてしまう人がいますが、これは違います。何らかの理由=現金を使うことにメリットがあるデメリットを感じないから現金志向が強いのであって、そこを明らかにせずに、単なる好みの話にしてしまうから、話が進まないのです。

 

日本人が現金を使う理由は、現金に関してFrictionを感じていないからです。理由は以下の通り。

 

(1)ATM等、現金の引き出し手段がメチャクチャ整備されている ・・・ アメリカや中国など、国土が広大な国では、現金を引き出すために、車で30分かかる・・・なんてのがザラです。日本の場合、都市部ならばどこにいても、歩いて数分でATMにたどりつけるはずです。また、北欧など寒冷地では、冬季に外出するのは命がけでして、だれも命をかけて現金を引き出しに行こうなどとは思わないわけです

(2)現金を携帯することに対するリスクが低い ・・・ 外を歩いていて、いきなり強盗に襲われたりしない、ということです

(3)日本人は暗算が得意 ・・・ 650円の買い物をして、1,150円を出して、おつりに500円もらう・・・、という芸当ができるのは、日本人だけです。海外でこれをやったら、「お前はアホか?」という顔をされて、1,150円のうち150円返されて、1,000円札だけ取られ、おつりを350円返されます・・・

 

キャッシュレスは便利だけれど、現金でも一向に構わない・・・これが日本なのです。

日本が衰退しないために・・・


日本は単一民族国家であるために、国民間におけるコミュニケーションで、Frictionが発生しません。国の端から端まで、話していることがほぼすべてわかる。また、平均的な教育水準が高く、かつ、揃っている。これは世界中を見渡しても、非常に稀有な国なのです。

 

しかし、Frictionがない、ということは、ビジネスチャンスもないことを意味します。日本以外のFrictionが存在する国は、デジタル技術を使ってFrictionlessを実現することで、爆発的な発展をする可能性を秘めています。一方、日本はすでにFrictionlessが完成し、社会が成熟している。よって、経済発展の伸びしろが極端に少ないと想定されるのです。

 

この状況を脱する処方箋として有効なのは、

 

日本人自らが、Frictionのある場所に飛び込んでいく

 

ということ以外にありません。例えば、外国人をもっと受け入れる、言語を英語に揃えていく、そして、グローバル社会に進出していく・・・

 

中国には、まだまだFrictionが存在します。かつ、人口がハンパなく多い。経済発展の余地は依然として十分です。アメリカも、トランプの政策はFrictionを拒む方向にありますが、国民のDNAがFrictionを作り出して解決する思想を根底に持っているうちは、発展を続けるでしょう。果たして、日本が3つ目の位置にいられるかどうか? それは、Frictionにかかっている! Frictionを恐れずに、立ち向かっていくことが重要! というのが、私の持論です。

 

みなさん、今年も『タカシの外資系物語』をご愛読いただき、ありがとうございました!

Merry Christmas & Enjoy the Holidays

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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