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有元美津世のGet Global!

中央アジア(1)-- 治安2023.09.26

 

  週末から杭州でアジア版オリンピックと呼ばれるアジア大会が始まりました。中央アジア5ヵ国も参加しています。中央アジアとは、一般的には、ウズベキスタン、キルギス、カザフスタン、タジキスタン、トルクメニスタンの5ヵ国を指すようですが、ユネスコ(UNESCO)の定義では、ここにアフガニスタンやモンゴルなどの周辺国が入っている場合もあります。

  私は、ジョージアの後、8月の一カ月間で、ウズベキスタン、キルギス、カザフスタンの3ヵ国を訪れました。それぞれの国について語る前に、ここでは、3ヵ国に共通する点をまとめたいと思います。

  まず、3ヵ国とも内陸部にあり(landlocked)、海に面していません。3ヵ国とも湖はたくさんあるので、ビーチはあります。(カザフスタンが面しているカスピ海は塩湖。)

 

ロシア語

 

  中央アジアは、元々、ソ連領だったので、皆、ロシア語を話します。ジョージアを含め東中欧などでは、中高年以上しか話さないようですが、中央アジアでは若い世代もロシア語を話します。英語は、大都市を除いては、ほとんど通じないです。

  中央アジアで外国人といえば「ロシア人」が主のようで、外国人と見なされると、ロシア語で話しかけられ、飲食店ではロシア語のメニューが出てきます。(英語のメニューを置いてあるところは稀)東アジア系の顔をしたロシア人もたくさんいるので、ロシア語が話せると思われても不思議ではないのですが、カザフスタンでは、他の観光客にロシア語で道を聞かれることも何度かありました。

  そのため、飲食店で注文する際は、Google Lensでメニューを翻訳するしか方法はありませんでした。(Google Lensがなければ注文できなかったし、スーパーで買物も満足にできなかったかも)そのうち、自分が好きな料理は、ロシア語でも判別できるようになりましたが。

  ロシア語で話しかけられているうちに、いくつかロシア語も覚えました。私は3ヵ国とも非常に気に入ったので、今後、毎年、行くつもりなのですが、3ヵ国語を勉強するのは大変なので、共通して使えるロシア語を勉強しようと思っています。

 

イスラム教

 

  3ヵ国とも主な宗教はイスラム教ですが、カザフスタンは、イスラム教徒は人口の69%で、他の二国に比べ(90%以上)、少ないです。キリスト教徒も17%と、結構、多いのですが、他の2国に比べ、ロシア系住民が多いのが一因でしょうか。

  服装も、カザフスタンが一番開放的で、タンクトップにショーツの女性が結構いました。他の国も、ヒジャブ(hijab)やスカーフを着けている女性は少なく、中年以上の女性は長いドレスを着ている人が多いですが、若い人は非イスラム国と変わらない服装をしています。

  キルギスの首都、ビシュケク(Bishkek)では、女性のタクシー運転手にあたったのですが、かなり短い短パンを履いていたので、「イスラム教徒?」と聞いたら、「そう」と答えていました。

  マレーシアのように、早朝から一日中、モスクからお祈りが聞こえてくることもありませんでした。  また、飲酒にも寛容で、バーもありますし、飲食店の大半で酒類を置いています。アルコール抜きのカクテルも多いのですが、下戸の私は「カクテルはアルコールは入ってない(virgin)ですよね?」とウエイターに確認すると、「はい、でもアルコールも入れられますよ」という答えが返ってきました!スーパーなどにも、ビールから各種ウォッカまでズラーっと並んでいます。

 

治安

 

  一部の国境で、ときどき紛争が起きているからか、「中央アジアは危険」と思っている人が多いようですが、3ヵ国とも、欧米や東南アジア、南アジアよりも、ずっと治安がいいです。

  キルギスでは、スマホで話をしながら歩いている地元の人の多いこと。私の治安の尺度として、街中をスマホを手に持って歩けるかどうかなのですが、3ヵ国とも問題なくできます。(ベトナムだとほぼ確実に盗まれるし、アメリカの治安のよい郊外で銃を突きつけられてiPhoneを盗まれた人も知っている。)

  英語のオンラインコミュニティで、これらの国に「女子一人旅するんだけど安全?」と質問している人たちがときどきいるのですが、まったく問題ないです。地元の女性も、一人で地下鉄に乗ったり、外食したりしています。さらに、キルギスやカザフスタンの郊外や田舎では、ちょっと街に出かけるのにヒッチハイクをする地元民が多いのですが、その大半が女性でした。カザフスタンではレンタカーを運転していたのですが、車を止めるために手を挙げる地元民を何度も通り過ぎました。こっちの方が「見知らぬ外国人の車に乗るって危なくない?」と思ったくらいです。

 

街並み

 

  3ヵ国とも、どの都市にも、大きな公園がたくさんあります。とくにカザフスタンのアルマトイ(Almaty)は、世界で一番噴水が多い都市ではないかと思うくらいです。ソ連時代の都市計画の賜物かとも思うのですが、アルマトイの中央公園(Central Park、 元Gorky Park)は19世紀にできているので、ロシア帝国の遺産なのでしょうか。

  公園に加え、どの都市も歩道が完備されていて、非常に歩きやすいです(walkable)。地元の人たちも、よく歩きます。私は、いつも東南アジアの都市で歩くのに苦労しているので、感激です。

  3ヵ国とも、ソ連時代のアパート(日本の団地の汚い版)が立ち並んでいるのですが、3~5階建てでエレベーターがありません。ジョージアを含め、そういうビルの民泊に宿泊したのですが、スーツケースを階段で運ばなければいけないのが大変です。なお、分譲型なので、室内は改装してあります。

 

気候

 

  内陸性気候なので、寒暖差が激しく、夏は40度まで上がり、冬は零下の極寒です。乾燥しているので、夏は日陰に入れば過ごしやすいですが、日没が7~8時なので、5時を過ぎても日が高く日差しは強いです(ジョージアも)。私は、膝から下は露出していることが多かったので、脚が東南アジアにいるときくらい焼けました。キルギスは標高が高いからか隣国に比べ気温は低く(湿度は高いものの)、一番過ごしやすかったです。

  カザフスタンの人曰く、8月末から9月頭にかけてが一番気候がいいとのことです。9月後半になると、気温がグッと落ち、10月には西日本の冬の気温になります。

 

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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