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SDGs(持続可能な開発目標)とは

SDGs(Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標)に関しては、前回、簡単に説明しましたが、2005年に、150超の加盟国が参加した「国連持続可能な開発サミット」で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」に基づいたものです。貧困や不平等、気候変動など、世界が直面するグローバルな課題の解決を目指し、より持続可能な未来を築くための道標と位置づけられています。

SDGsは17の目標と、各目標に対して定められた細かいターゲット169から成ります。たとえば、前回のDaijob.com登録者の勤務先の大半が取り組んでいるという「5.ジェンダー平等を実現しよう」には、9つのターゲットがあります。日本では「ジェンダー平等」といえば、労働市場や政治への女性参加を浮かべる人が多いかもしれませんが、ターゲットには下記のようなものもあります。 

5.2 人身売買や性的、その他の種類の搾取など、すべての女性及び女児に対する、公共・私的空間にお   けるあらゆる形態の暴力を排除する。

5.3 未成年者の結婚、早期結婚、強制結婚及び女性器切除など、あらゆる有害な慣行を撤廃する。

パンデミックで後戻り

国連では、2030年までの目標達成を掲げており、残り10年となった2020年1月には、SDGs達成のための「行動の10年(Decade of Action)」を立ち上げました。

しかし、昨年、パンデミックが発生した影響で、世界各地で貧困化が悪化するなど、これまでの進展が逆戻りし、2030年までに目標を達成できないことが明らかになっています。コロナ禍で、先進国と途上国の格差がさらに拡大し、とくに後進国の貧困層はさらなる貧困に陥っています。

コロナのワクチン分配でも、国家間での格差が浮き彫りとなりました。ワクチンの87%以上が富裕国に渡り、貧困国に渡っているのは1%未満と言われています。アメリカでは10代にもワクチン接種が行われている中、アフリカでは医療従事者すら接種していない国もあります。また、(ヨーロッパに次いでコロナ死者の多い)中南米や中東が調達しているワクチンの大半は、有効性が疑問視されている中国製です。
国連では、SDGsの達成努力を続けることこそが、パンデミックからの回復につながると各国に呼び掛けています。

各国のSDGs達成率

下表は、パンデミック発生以前、2015年~2019年の間の196ヵ国の達成率をスコア化したランキングです。(民間団体による算出。)

スコア100が、17のSDGがすべて達成できているということになります。つまり、達成できている国はないということですが、御覧のとおり、スコア80以上はすべてヨーロッパ大陸諸国で(イギリスは13位)、上位は北欧が占めています。15位まではすべてヨーロッパ諸国が占め、ヨーロッパ以外では、ニュージーランドが16位、日本が17位で続きます。*

順位国名スコア
1スウェーデン84.72
デンマーク84.56
フィンランド83.77
フランス81.13
ドイツ80.77
ノルウェー80.76
オーストリア80.70
チェコ80.58
オランダ80.37
10エストニア80.06
 ¦ 
17日本79.17

(Sustainable Development Report)

企業にとってのSDGs

前回、紹介した転職者へのアンケートで企業のSDGsへの取り組みを転職の際に考慮するという人が多数を占めることがわかりましたが、企業にとっては、優秀な人材を引きつけるためにも、SDGsに取り組み、それをPRしていくことが必要となっているということです。消費者や社会に対しても企業イメージアップになることから、大企業では、ほとんどが自社のウエブサイトにSDGsへの取り組みに関して掲載しています。(取り組み内容が、あまり具体的でない企業もあるが。)

「SDGsへの取り組みの評価が高い企業ランキング2020」といったランキングもできています。上位100位に入っているほぼ全社が大企業で、上位の企業は、トヨタなどのグローバル企業です。

日本政府は、SDGs達成に向けた取り組みにおいて、大企業に比べて中小企業における浸透が遅れていることを課題とし、SDGsの達成を加速する上で中小企業における取り組みが欠かせないとしています。

中小企業の間でのSDGs認知度はたしかに低いですが、SDGsへの貢献において、大企業よりも中小企業や新興企業の方が面白い取り組みをしている例があります。次回は、そうした事例を一部紹介したいと思います。



* カナダは21位、アメリカは31位。アメリカは、人口の半分ほどがアンチ国連・国際機関で、SDGsなんて聞いたこともないし、興味もないという人も多数。日本では、「欧米」と一くくりにされるが、ヨーロッパ(とくにヨーロッパ大陸)とアメリカでは、価値観が大きく異なる。

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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