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有元美津世のGet Global!

テレワーク(4)フィンランド、今後はハイブリッド型?2020.07.07


 ツイッターやGAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)などの米IT企業が恒久的または長期的にテレワークを続けると発表していることもあり、テレワークがもっとも普及しているのはアメリカと思われがちですが、実は、もっとも浸透しているのは、ヨーロッパ、とくに北欧なのです。*

 今回も、パンデミック発生後、3月に欧州議会(European Parliament)や欧州委員会(EU Commission)では、基幹業務以外のテレワークを開始しました。

 2017年にEU30カ国の給与取得者を対象とした調査では、デンマークでは23%、オランダでは21%、スウェーデンでは18%が、少なくとも月に数回、在宅勤務を行っていました。

  とくに北欧は、フレックスタイム勤務が多いのが顕著です。2013年の調査では、フレックス勤務が可能な企業は、フィンランドで90%。デンマークでは88%、スウェーデンでは82%に達していました。

フィンランド

 
今回のパンデミック発生後、4月の時点でテレワークに移行した就労者の割合は、EUの平均は37%でしたが、最高はフィンランドで60%近くに達していました。その他、ルクセンブルク、オランダ、ベルギー、デンマークの4カ国で50%を超えていました。(オランダも、パートタイム勤務が多く、働き方が多様であることは、以前、書きました。)

 フィンランドで柔軟な働き方が普及したのは、1996年に法制化された労働時間法によるところが大きいと言えるでしょう。同法によって、就労者は、勤務開始および終了時間を3時間早めたり遅らせたりして、自由に設定することが可能となったのです。

 2011年に39カ国を対象に行われた調査では、フィンランドは、2010年時点で就労者が勤務時間を選択できた企業が全企業の92%を占めており、世界でもっとも柔軟な勤務形態を可能としていました。86%のスゥエーデン、85%のオーストラリアとタイが、それに続いていました。(日本は18%で、39カ国中最低でした。)

 さらに、フィンランドでは、新たな労働時間法が、今年1月より施行されています。これによって、4ヵ月の労働時間平均が週40時間を超えないという条件で、フルタイム就労者の多くは、勤務時間の半分を自宅やカフェなど、どこで勤務できるかを決めることが可能になりました。かつ一日の労働時間を最長4時間増やしたり、短くしたりして勤務の開始や終了時間を決めることができるのです。幼稚園に子供を迎えに行ったり、外が明るいうちに運動したりするために、仕事を朝早く始めて、午後早めに切り上げるということが可能ということです。

 フィンランドでは、元々、ワークライフバランスが重視され、柔軟な勤務形態が根付いていた点がテレワークを広く可能にしたと言えるでしょう。

ハイブリッド型


 フィンラインで行われたアンケート調査でも、回答者の6割以上が「テレワークでも生産性は変わらない、または向上した」と答えています。ただし、7割が「同僚と接することができない」、半数以上が「孤立していると感じる」ということで、マイナス面を挙げる人も少なくありません。

 ヨーロッパでは、経済の再開とともに、職場復帰が始まっており、テレワークの割合は減少傾向にあります。5月に、イギリス、ドイツ、フランス、アメリカ、カナダ5カ国の従業員数500人以上の企業の上級管理職を含むIT意思決定者を対象に行われた調査では、「12~18か月後には社員の8割以上が職場に復帰する予定」という回答が得られました。

 政府主導のヨーロッパとは異なり、概して企業任せのアメリカでも、今後、テレワークと職場勤務を併用したハイブリッドの形が主流になると考えられています。

 日本でも、すでに併用する企業が見られ、意外にも、パンデミックにより日本政府が推進したかった働き方改革が進みそうです。

 

 

 


* アメリカで2019年に行われた調査で、柔軟な勤務形態またはテレワークが許されているのは、民間企業勤務者の7%のみ。調査によって数字がマチマチなのは、調査対象が異なるのが一因。たとえば、この調査はホワイトカラーだけでなく、全職種が対象。

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など多数。

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