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有元美津世のGet Global!

相変わらず日本語オンリーで内弁慶(3) 2020.03.10


 先週、日本のメディアは一斉に、「コロナウイルス(COVID-19)対策で、アメリカが日本からの入国規制か?」とまた騒いでいましたが、その時点でアメリカでの死者数は日本を超えていましたし、今週、感染者も日本を上回りました。*(フランス、スペインも、感染者数だけでなく、死者数でも、すでに日本を抜いている。)

 というと、また「日本は検査数が少ないから」という人がいるでしょうが、アメリカも同様です。元々、武漢からの帰国者と感染者の濃厚接触者のみ検査するように勧告していました。カリフォルニアのオークランドに着岸したグランド・プリンセス号内でも46人しか検査していないですが、コロナ対策の担当となったペンス副大統領が記者会見で「検査キットが足りない」と発言しています。また、先月、州政府や他国に配布した検査キットの欠陥が発覚しましたし、米初の感染不明の感染ケースでは「検査の依頼を断った」とCDCも批判されています。そういうことは、日本のメディアは伝えない?

 そもそも日本から入国規制される一因は、NHKを含めた日本のメディアが、全員下船後もダイヤモン・ドプリンセス号での感染者を国内感染者に船上での感染者数も加えて報じているからでは?** 煽るのが使命の英タブロイド紙でさえ含めていないのに。日本の大手メディアは、タブロイド紙以下? 国民の不安を煽りたいだけなのか(それで視聴率や販売部数が伸びる?)、自国の状況を不利にしたいのか、いったい何がしたいのか...

入国時の検疫


 先週、ベトナムが入国者全員に健康申告を義務付けると発表したことで、「対応が迅速で素晴らしい」と称賛している人たちがいましたが、*** 先月時点で、(確認感染者ゼロの)ミャンマーも、マレーシアフィリピンも、入国者には全員「健康状態質問票」を義務付けています。私、実際に入国時に記入しましたから。

 ミャンマーでは、過去30日に訪問した国や健康状態、マレーシアやフィリピンでは過去14日の訪問国や健康状態などを自己申告します。各国の航空会社には、チェックイン時に「過去14日の間に湖北に行きましたか?」「中国に行きましたか」という質問をされましたが、正直に申告しない人も当然いるでしょう。

 クアラルンプールのホテルでは、チェックイン時に記入を求められた用紙には、健康状態以外に、その前の宿泊先、次の宿泊先も含まれていました。なお、フロントデスクのスタッフは(マスクはせず)”I’m fever free”(熱はありません)というバッジをつけていました。コロナは無症状の人も多いので、単に熱がないと言われても…

フィリピンでは


 セブでは、先月末、私が到着した日に、大邱や慶尚北道からの入国者に、到着後14日間、ホテルなどでの検疫を義務付けました。上陸禁止が出る前日に大邱から到着した乗客26人のうち、7人が入国の際に記入した健康状態質問票のホテルに滞在しておらず、地方政府が懸命に探していると報道されていました。それで、「虚偽の申告をした場合には、罰金5000ペソ(約1万円)を課す」ことも検討と。

 しかし、フィリピンに旅行すると島を転々とする人が多く、私もセブに着いたその夜だけ空港の近くに泊まり、その後、3週間で4つの島の7つの宿を転々としています。健康状態質問票の滞在先欄には一行しかないので、最初の宿しか書けない…

 驚いたのは、シキホール島にフェリーで渡った際にも、同島独自の健康状態質問票に記入しなければならず(「過去14日間に訪問したか」という国には、アジア各国、オーストラリア、米国、ドイツ、フランス14ヵ国が列記されていたものの、イタリアとイランは入っておらず)、外国人は全員パスポートのチェックを受けました。他島への上陸時には、体温測定のみでした。(すべて、今週末に比政府が非常宣言事態を発動する前の話。)

入国禁止も迂回可能


 もちろん、健康状態の質問はやらないよりはいいでしょうが、すべて自己申告なので、嘘を書く人なんていくらでもいるでしょう。(現に、先月、解熱剤で熱を下げ、虚偽の申告をしてフランスに入国した中国人観光客が世界的ニュースになったし、先週末もイタリアから中国に帰国の一家が薬で症状を抑え、虚偽の記載をして逮捕されている。)****

 さらに、オーストラリアでは、先月、1500人近くの中国人留学生が、中国から直接飛ぶと入国できないため、タイなどの第三国で14日間を費やし、入国条件を満たしてから入国しましたが(それに対し資金援助をする豪大学も)、入国後、検査で陽性反応の出た学生がおり、問題になっています。お金と時間とやる気さえあれば、入国禁止も迂回できるのです。

 

 

 

* アメリカの専門家も言っているが、アメリカの場合、無保険車が3000万人近く、不法移民が1200万人ほどいると言われ、症状が出ても医者に行かない人口が多く、感染が広まる可能性大。

** CNNでは、相変わらずクルーズ船上の感染者数および死者数を含んだ数字を報道。それも「クルーズ船上感染者を含む」という注釈もなしに。

*** ベトナムは電子版を作ったところが偉い。小さな用紙は係員から係員に渡る間に紛失しそう。

**** パスポートで渡航歴をチェックして、対面で質問する方が効果的かと。

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など多数。

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