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有元美津世のGet Global!

戦争について海外の視点に触れる2019.08.20


   毎年8月になると、日本では原爆の日、終戦記念日を迎え、太平洋戦争に関する報道が続きますが、実際に戦争を体験した世代は、もうほとんど残っていません。私の母は、高等女学校在学中に戦争を体験しており、私が子供の頃には、実家が空襲で焼かれ、田舎に疎開した話、食べ物がなくひもじい思いをした話などを聞きました。

 メディアの報道もそうですが、日本国内では、同戦争に関して、戦中・戦後に日本国民がいかに苦労したかという話ばかりです。戦中に、日本が他国に対して行ったことに触れるメディアは、(とくに最近は)ほぼありません。

 海外からの「被害者ヅラするな」という批判も無理もないでしょう。原爆投下を非難する人たちは世界にも多数いますが、太平洋戦争において日本を”被害者”と見る国はありません。世界的には、日本は”加害者”として刻まれています。

 いつもは、「日本が、海外にどう見られているか」を異様に気にする日本のメディアも、太平洋戦争に関しては、そういう報道の仕方はしないようです。

 

国外の生の声に触れる

 自分たちが他国に対してやったことは覚えておらず、被害にあったことは覚えている、自らの行いを正当化しようというのは、日本だけではなく、日本を非難する国も含め、どこの国も似たりよったりです。(アメリカの若い世代はベトナム戦争のことも知りません。)

 「日本の学校では、太平洋大戦の史実を教えない」と国内外で批判する向きもありますが、学ぼうとすれば、書籍などいくらでもありますし、今ではネットで情報があふれています ― 右派左派両者の視点のものが。「学校で教えてもらっていないから、知らない」は、前回の「教えてもらっていないから、できない」と同様、言い訳にしか聞こえません。

 ただし、いくら本などで読んでも、実際に、他国に行って、そうした視点に触れたときの衝撃とは、比べものになりません。とくにアジアの国々では、普通の会話の中で、ポロっとそうした話が出てくることは、いくらでもあります。若い世代でも、上の世代から言い聞かされているのです。

 最近では、アメリカの韓国系ウズベク人やロシア人と日露戦争の話になり、彼らが日露戦争は「ロシアが勝った」と思っているのを知って、仰天しました。

 海外に住んでいれば、必ず、このような経験はします。異文化間体験というのは、楽しいことばかりではないし、きれいごとではすみません。しかし、戦争の話も含め、多様な視点に触れ、それまで考えたこともなかったことを考えるようになり、思考が深まります。 

「どの戦争のこと?」

 日本では「戦争」というと、たいてい太平洋戦争のことを指しますが、その後も、数々の戦争に関与したアメリカでは、”the war”では、どの戦争のことを指しているのかわかりません。ふた昔前であれば、「ベトナム戦争」のことを指しましたが、その後も湾岸戦争、イラク戦争など数々あり、”During the war...”などと言おうものなら、”Which war?”と言われます。

 これは、アメリカに限ったことではありません。中東では戦争が続いていますし、カンボジアの戦争博物館に行けば、片足を失った20代のガイドが案内をしてくれ、内戦が90年代初頭まで続いていたことを知りました。

 「戦争」と言えば70年前の戦争のことを指すというのは、それだけ日本が平和だったということであり、異文化体験を通じ、それはあたり前のことではなく、どれだけありがたいことかも、実感するでしょう。

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など多数。

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