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高校教育の改革 ― 理数教育2019.05.14


  政府の教育再生実行会議では高校の改革に向けた審議を行っていますが、今月、提言をまとめ、政府は、それに基づいて基準の改正を行っていくとのことです。

  現在、日本の高校進学率は99%に達していますが、その約70%の生徒が普通科に在籍している状態です。そもそも「普通科」とは、「専門教育」に対する「普通教育」を提供する科で、「普通教育」とは「社会の一員として必要な基礎的・一般的な教育」だそうですが、現実的には 「大学への進学を前提としたコース」と言っていいのではないでしょうか。

  普通科の教育内容が画一的で、 生徒は「学びたいものではなく、成績や内申点で行ける学校を選んでいる」というのは、もっともな指摘ですね。

 この普通科が、戦後の学制改革時から手つかずの「完全に昭和の体制」で、時代のニーズを満たしていないと危機感を募らせる人たちが、早急な見直しを訴えているのです。

 具体策は今から議論されるようですが、たとえば「サイエンスを重視する」「地域人材育成を目指す」「グローバル人材を育成する」「基礎学力を養う」など、目的やニーズに基づいて学科を分け、普通科を細分化するそうです。

世界的なIT人材不足


 私は、2018年の一年間、世界各国のIT人材の需給状況を調べたのですが、ほぼどの国も人材が不足しており(イスラエルですら)、グローバル規模ですさまじい争奪戦が行われている状態です。

 同時に、自国でのIT人材育成にも力を入れている国が多いのですが、多くの国で、人材不足にもかかわらず、理数系(STEM=Science, Technology, Engineering and Mathematics)を専攻する学生が、年々、減っているのです。「教育制度を変えなければ、国内で人材確保ができない」と教育制度を見直したり、女性やマイノリティ、高齢者の活用の施策を講じたり、どこの国も試行錯誤の状態です。

重要な理数・IT教育


  いまだに、ITとは特別なもの、一部の業界のみに関わるもの、と思っている人たちがいますが、今やITは、私たちの生活の隅々まで浸透しており、今後、こうした傾向は、さらに進みます。

  日本でも、来年から小学校でプログラミング教育の必修化が始まりますが、「IT=国語などと同等の必修科目」という位置づけは、当然だと思います。(必修化されるのは「プログラミング的思考」であって「プログラミング言語」ではないですが、プログラミング言語も教えられるべき。)

  今回の高校改革に関し、「そんな早くから進路を専門化しなくてもいい」という批判的な声もありますが、専門化云々ではなく、義務教育から、もっと理数教育がなされるべきで、「普通教育=理数偏重」でもいいくらいだと、私は思っています。文系出身の私ですが、「今の時代、理数なくして、生活も国も成り立たない」と強く思います。

 先の高校改革の議論でも、文系大学に進学する高校生の割合が高く、「受験のために理系教科を早々にあきらめる生徒が多い」という点が問題視されています。高校教育を変えるには、大学入試を変えなければならないということですが、その入試も、2020年度から大きく変わる予定です。  

 次の世代が、今後さらに進化するデジタル時代を生き抜く力を習得できることを祈るばかりです。

  

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など多数。

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