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有元美津世のGet Global!

就活ルール廃止は日本型雇用終焉の始まり?(2)2018.11.13


 就活ルール廃止、通年採用への移行が語られる場合、企業の視点でメリット・デメリットが語られることが多いですね。そもそも、人材採用を通年採用にしたいのも「優秀な人材を外資系やベンチャー系企業に取られたくない」という企業側の都合です。 

 前回、韓国の例で見たように、新卒が特別扱いされず、通年採用でスペック・経験重視となれば、新卒は不利になるでしょう。

   すでに終身雇用が崩れつつある中、「一生、企業が面倒見てくれないのなら、自分の将来を見据え、キャリア構築のために転職を重ねられるよう、労働市場にもっと流動性があった方がいい」というのも、もっともです。

 でも、流動性を上げるためにも、「非正規が生まれる背景には、解雇するのがむずかしい正社員がいるからで、すべての社員を解雇しやすくすべき」というと、今、正社員の人には、「それには反対!」という人、多いですよね?

得する人も損する人も


   私は、雇われる側にとって、どちらがいいかというのは、一概に言えないと思っています。どんな制度、制度改革にも、得する人(勝者)と損する人(敗者)が存在するから。

 前回、「グローバルに繰り広げられている人材争奪戦はすさまじい」と書きましたが、とくにAI(人工知能)やブロックチェーン、サイバーセキュリティ分野の専門技術を持っている人材は、高給で引っ張りだこです。こうした人材なしでは成り立たない日本企業、とくにベンチャー系は、すでに争奪戦に参戦しています。

 企業は、こうした専門的な知識や技能を持っている人材がほしいのです。新卒一括採用で雇える人ではなく… でも、「通年採用、流動性の高い労働市場になったら、あなた、絶対、損するよ」と思う人も、制度改革を切望していたりする…

解雇自由(随時雇用)も楽じゃない *

 

 私は、アメリカで、クビ切り(レイオフ)をしやすいシステムに翻弄されている人たちを何人も見てきたので、そういうシステムの方がいいとは言えません。アメリカの今の30代は、30になるまでに二回くらいレイオフされている人なんてザラにいます。

 私も、初めはアメリカ人はレイオフなんて慣れているだろうと思っていたので、出社した朝、突然「あなた、明日から来なくていい」と言われて同僚が泣きながら机の私物を片づけていたときにはビックリしました。(データなどを持ち出したり、暴れたりしないよう)警備員2人に両脇を抱えられて外に連れ出される人もいるし。**

 そうしたシステムを絶賛している日本の人たちは、かなりのエリートだったり、まだ若かったり。自分の意志で転職をするのと、クビを切られて転職を強いられるのとは違うし。転職を重ねるということは、就活を何度もしなければならないということで、中高年になるとキツイですよ

 日本では、新卒一括採用のために、たまたま就職氷河期に卒業をした人たちが、その後ずっと就職で不利となり、そうした世代を生まないためには通年採用の方がいいとも思います。しかし、通年採用に移行した韓国でも、卒業してすぐに就職できない人たちは、非正規雇用やアルバイトで食いつなぎ、何年も就活を続けても、なかなか就職できない状況です。だから、通年採用になったからといって、そうしたデメリットがなくなるとも言い切れません。

  

 いずれにせよ、新卒一括採用が完全になくなることはなくても、通年採用はじわじわ広がっており、キャリア形成を戦略的に考えていくことが、さらに必要になっていくでしょう。個人的には、雇用制度に振り回されないよう、自営・起業することをお勧めしますが...


* 随時雇用 employment at will

** レイオフというのは、何日も前から通告されるのではなく、出社したその日に「明日から来なくていい」と言われる。「もうすぐレイオフがあるらしい」というのは分かっていたとしても、誰のクビが切られるかは当日でないとわからない。その時点で自分の机を整理し、社員証を返して退社しなければならない。

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など多数。

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