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有元美津世のGet Global!

自国で母国語が通じない?!2018.10.23


 先に書いたように、アイスランドでは、ヨーロッパ諸国の人たちが多数働いています。アイスランドも、ほぼ完全雇用で人手不足のため、ヨーロッパ諸国から就労者を受け入れている状況です。

 ひとつの職場で、ドイツ、スウェーデン、ポーランド、ハンガリー、モルドバからやって来た人たちが働いている、といった状況も珍しくなく(Daijob本社も、そんな感じ)、彼らの間のコミュニケーションは英語で行われます。 

 海外からの就労者にはアイスランド語が話せない人も多いので、地元の人たちが母国語で接客してもらえないこともあり、不満を抱えている人もいます。中高年以上では英語が話せない人もいますから。

   どこに行っても英語で対応してもらえるのは、海外からの観光客にとっては助かりますが、「自分が生まれた国で自分たちの言葉でサービスを受けられない?!」というのは、怒りたくのは無理ないですね。(日本のコンビニでも「日本語がよく通じない」という状況が増えているようですが。)

 アイスランドでは、とくに観光シーズンの夏場だけ短期で雇う場合も多く、雇用主にすると「数ヵ月のためにアイスランド語の研修なんてやってられない」ということのようです。

エストニアの母国語保護


 最近、母国語保護に乗り出したアイスランドですが、エストニアを参考にしようという人もいます。やはり小国のエストニア(人口130万人)では、1989年に言語法を制定し、エストニア語を公用語とし、小売・サービス業では顧客側が選んだ言語で接客される権利を保証しました。というのは、ソ連時代にロシア人が大量に流入し、ロシア語教育が強制され、エストニア語が少数言語となってしまったからです。現行法では、エストニア語以外は「外国語」と規定されていますが、今も、人口の約4分の1がロシア語を母語としています(エストニア語が少数派の地域がある。)

 2003年にEUに加盟した後は、少数派となったロシア語話者も保護するようEUから勧告を受けています。

 国外からの旅行客が増えた今、飲食店やホテル、小売店で「スタッフは、もっと英語を話せるべき」という苦情が寄せられるようになったそうです。一方、エストニア人にすれば、店でエストニア語が通じないから、英語で話すと、従業員は英語もあまりできない、といった状況にも遭遇するです。(私も、もう10年ほど前に、東京のホテルで日本語も英語も話せないベトナム人客室清掃係に遭遇。)

 こうした苦情を調査するのが、1991年に設けられた言語監督庁(言語警察)で、苦情を受けると、エストニア語が満足に話せない従業員は、接客を要さない職場に転職を余儀なくされる場合もあるそうです。

 中国人とロシア人で溢れかえっているベトナムのニャチャンでも、中国語やロシア語でしか表記のない店が増え、今年に入り、地元観光局が「広告にはベトナム語必須」を命じ、外国語のみの表記が除去されました。

 日本も、観光客が多い地域では中国語の店頭広告しかない店もありますね。「台湾からのクルーズ船寄港で週に二日は島が台湾になってしまう」という石垣では、ドラッグストアが閉店の張り紙を中国語だけで行っていました。日本も母国語を保護しないといけない日が来るのかも...

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など多数。

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