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有元美津世のGet Global!

アジア人としてのアイデンティティ2018.07.17


W杯での「世界を敵に回した」「世界から非難ごうごう」
は、対ベルギー戦での善戦後「世界が称賛!」に(一部?)変わりましたが、メディアの自国たたきの報道は受け入れるのに「日本のメディアの称賛記事は信用できない」という人もいるようです。* 

  多数の観戦者や解説者が「この試合はすぐに片がつく」「スペイン対ロシア戦、クロアチア対デンマーク戦に続いて、また退屈な試合か」と思っていたところに、「緊張、ドラマチック、サプライズ、そして最後にハラハラの素晴らしい試合だった」と予想外に試合内容がよかったこともありますが、「Samurai Blueは試合には負けたがファンのハートをつかんだ」というのには、勝ち目のないunderdogが優勝候補を相手に奮闘したという感動的なストーリーがあったから。それも、ヨーロッパのチームに対しアジアのチームが。

「アジアの誇り」


 Jリーグから移籍する選手が多いタイでのサッカー人気は、日本でも知られているかと思いますが、シンガポールやマレーシアでもサッカー熱は高く、プレミアリーグのファンが多いです。ベトナムも、あちこちから歓声が聞こえてくるので外を見たら、近くのカフェやレストランで集まってスポーツ観戦しているらしく、テレビをつけたらサッカーの国際試合をやっていたなんてことも。

 東南アジアの人は日本人よりも体が小さいですし、ベルギー戦で「巨漢相手に小さい選手ががんばっている姿はアジアの人に勇気を与えるだろうな」と思っていたのですが、試合後、南アジアの人からの称賛が多かったのは予想外でした。

 インドのサッカー選手やファンが「全アジア人に勇気と誇りを与えた」「日本のおかげでアジアサッカーを誇れる日」「8強に進むべきはベルギーでなく日本」とツイートし、「日本がアジアの心をつかんだ5つの理由(そしてアジアのサッカーを1ランク押し上げた)」といった称賛記事が。とくにインドでは多数。

 バングラデッシュの新聞も「ヨーロッパやアメリカ、アフリカからの世界の強豪を相手に闘うアジアの国は皆そうだが、日本は劣勢だった。身体の大きさ、スタミナ、スキル、経験、サッカー文化において日本は劣っていた。しかし、知性と『やってやる』という2つの面で相手に劣ることはなかった。身体の大きさという点では、日本はダビデでベルギーはゴリアテ。**  空中戦ではゴリアテが有利であるのは言うまでもない。<中略>しかし、日本は、アジアの軽量級の希望の灯りとなった。選手はフェアプレイの勝者として、ファンは模範的な観客として、胸を張って帰国すればいい。Salute to Japan!」

 「アジアのサッカーをもっと強くしたい、盛り上げたい」という気概も感じられますが、

身体的なハンディをアジアのアスリートやファンたちも日ごろから悔しく思っているんです。そして、南アジアの人が同じアジア人として日本の活躍を応援してくれ、誇りに思ってくれている。(でも、日本は欧米ばかり見る?)

 こういうのも、「日本語オンリーの世界」にいると見えないんです。

日本人は紛れもなくアジア人


 「アジアには日本は含まれない」「日本人はアジア人じゃない」とワケのわからないことをいう人もいますが、日本人は、どう転んでもアジア人!

 アジア圏外で生活すると、それは嫌でも思い知らされます。そうした視点を養えるだけでも、海外に出る価値はあるかも。


 

 

* エリートによくありがちな「日本を批判する僕、グローバル視点でかっこいい」ですが、自虐なところが非常に日本的。外国人に褒めてもらって「いや、ポーランド戦で卑怯なことしましたから」とか、そんな超日本的な返しは、全然”グローバル”じゃない。

** 旧約聖書では少年ダビデ(David)が巨人ゴリアテ(Goliath)に立ち向かって勝ったとされており、予想に反し弱小者が巨大な相手を打ち負かすという意味で、キリスト教圏で(イスラム教国でも?)、よく使われる比喩。日本は勝たなかったけど...

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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