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有元美津世のGet Global!

インドの就職事情 ― カオス的世界最大の人事採用(1)2018.05.08


 <ここで紹介するのは(就労ビザを必要としない)現地の人の就職事情であり、現地日本企業での勤務が多い日本人の就職とは事情が異なります。>

 

雇用なき成長


 2017年7月、インドの失業率は3.4%と最低水準だったのですが、その後、徐々に上昇し、今年2月には6%を超え、4月の失業率は6.75%に達する見込みです。今後、新卒者が就職戦線に参加するため、さらに悪化すると予想されています。とくに若者の失業率が高く、OECDによると15~29歳の若い層では30%以上がニート(NEET = Not in employment, education or training)で、世界銀行には「雇用なき成長(Jobless Growth)」とのレッテルも貼られています。

世界最大の人事採用

 雇用が伸び悩む中、今年、インド国有鉄道が4年ぶりに職員を募集したところ、9万人近くの求人に2300万人以上もの応募があったのです! さすが人口世界第二位の国、すべてにおいてケタが違いますが、これは「世界最大の人事採用」と言われています。

 職種は運転士や技術者から保線員やポーターまでさまざまですが、初級レベルでは、民間より公務員の方が職が多く、給料や福利厚生もよく、かつ長年、安定して働けるということで好まれるのだそうです。

 私は、インドのカジュラホ(Khajuraho)に滞在している間に、地元のお金持ちの息子(親のお金でレストランを開業した人等)に数人、出会ったのですが、「彼のお父さんも金持ちだよ。教師だから」という人がいて、「え、教師が金持ちなの?」と聞き返したのですが、「そう、インドでは公務員は給料がよくて金持ちなんだ」ということでした。

 とくにインド国鉄は、インド最大の雇用主であり、裕福な家庭の出身でない人たちの間では一番人気だそうです。「インドで大学出たって、何の知識も身に付かず、仕事なんで見つからないからね」という大卒者も応募するため、競争が激化するのです。

冷やかしや不正行為も


 9万人の求人に対し2300万の応募で倍率0.4%の狭き門、と一見思われますが、2300万人が全員、真剣に就職を希望しているわけではないらしいのです。試験場までの列車の運賃が無料なので、「タダで旅行ができる」ことを目当てに応募する人がかなりいるそうです。そのため、まずは遊び半分の人を見極めることから始まります。(今回から、受験料100ルピーを徴収することになったそうですが、これは受験後に返金されます。)

 3000万人以上がオンラインで応募を始めたものの、応募を完了して受験料を支払ったのは2300万人。次は、その2300万人から、自分が映った写真ではない写真を証明写真として提出する不正者を弾くことになります。動物や建物の写真(!)はコンピューターで識別できるのですが、有名人の写真を使っている場合などは人間が識別しなければならないため、非常に時間がかかるわけです。

 そして、次は筆記試験なのですが…

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など多数。

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