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有元美津世のGet Global!

啓蒙するにも語学力2018.02.13


 今週16日の春節を前に中国人(+韓国人)の大移動が始まっています。一番人気の旅行先は、相変わらずタイと日本のようですが、ここベトナムでも、先週から中国人観光客が急増しています。私は、毎年、ビーチタウンのニャチャンに2ヵ月滞在するのですが、ここ3年で中国人観光客が急増し、昨年ついにロシア人観光客を抜き、トップに立ちました。

 そのため、去年と比べても、街には中国語の表記が一挙に増え、地元民向けだった店が、次々に中国人観光客向けみやげ屋に変貌しました。北京語を話す店員も増えています。

 今や、どの国に行っても中国人観光客が溢れていますが(一部の国を除き)、中国の観光局によると、2017年、海外旅行に出かけた大陸の中国人は、計1億2900万人に達したとのこと。(人口がそれだけある国は、日本を含めて世界に11ヵ国しかない!)

 それも海外での消費額は、中国人がダントツ一位で2610億米ドル(2016年)。二位のアメリカ人(1220億米ドル)の倍以上です。(世界観光機関[UNWTO]調べ。)

 ベトナムのように嫌中感情の強い国でも、背に腹は代えられないようで、東洋人は皆、「爆買いしてくれる中国人」と見なされ、「ニーハオ」と挨拶されることが多くなりました。**(ベトナム語で”Xin Chào”と挨拶すべき。)

 「東洋人=中国人」との思い込みは、100歩譲って、東洋人を区別できないアジア圏外の人たちは仕方がないとしても、ベトナムを含む東南アジアでも蔓延しているというのは嘆かわしい...(ベトナム人も、一歩ベトナムを出れば中国人と間違えられることが多いだろうし、中国人と間違えられると火がついたように怒るベトナム人も。)

アジアのことを知らなすぎ


 昨年、ダルビッシュ投手に対するキューバ出身のグリエル選手の侮辱行為が問題になりました。同選手は「キューバではアジア人のことを”Chino”と呼ぶんだ。日本人とか中国人とかいう言い方はしないんだ」と弁明しましたが、**  その弁明こそが、アジアには多くの国があり、民族はそれぞれ違い、言語も違うということを知らないし、知ろうともしない無知、意識の低さを示しています。

 世界的に、英語のChineseもスペイン語のChinoも「東洋人」を意味して使われることが多いです。クルーズでも中国人乗客が増えたので、東洋人にはすべて「ニーハオ」と挨拶する乗組員も登場しています。「ニーハオ」というカリブ出身の清掃員に”I’m not Chinese”と言うと、”But you look Chinese”と言い返してきました(!)が、それは「東洋人に見える」という意味なのです。

 世界の大半の人にとって、東洋人は皆、一緒くたであり、日本も韓国も中国の一部だと思っているのですから、いちいち日本人や中国人を区別する意味すらわからないのです。

 アメリカで、中国人や台湾人と英語でしゃべっているとビックリされたことは一度や二度ではありません。「お互いに英語でしゃべるの?」と。(インド人にもビックリされたことあり。)

 昔、アパートの管理人が「このアパートには、日本人、韓国人、カンボジア人、フィリピン人、ベトナム人が住んでいる。でも、彼らはお互いの言葉がわからないみたい」と言うので、「そりゃ、そうですよ。皆、それぞれ違う言語をしゃべる違う国から来てるんですから。ヨーロッパでも、フランス人、イギリス人、ドイツ人と、皆、違う言葉をしゃべるでしょう」と言うと、「そうですね。アメリカにも南部訛りとか、ニューヨーク訛りとかあるから、それと一緒ですね」という返事が返ってきました。それも、アジア系がたくさん住んでいるサンフランシスコ地域で。

 海外に住んでいると、そんな体験はしょっちゅうします(もっと侮辱的な体験も)。そうしたアジアに対する無知や偏見を減らすには(なくすのは無理としても)、その度、相手を啓蒙するしかありません。そのためには、やはり語学力を磨くしかありませんね。

 

* ハノイやホーチミンなどの大都市では、いろいろな国の人がいるので、外国人相手には英語で話しかける人が多いが、ニャチャンのような小都市では、中国人やロシア人のように大量に訪れる観光客が突出してしまう。

** Chino/Chinitoの使い方は中南米の国によって少しずつ違い、元々の意味は「中国人」を意味しないという説もあるが、概ね、アジア系や先住民、アジアっぽい顔(細い目)をしている中南米系に対して使われる。カリブ~南米地域は見たままを口にする人が多く、PC(Political Correctness)は、ほぼナシに近い。なお、アメリカではChinoはアジア系に対する侮辱語と見なされる。

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など多数。

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