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有元美津世のGet Global!

「郷の掟」を知らせるにも語学力を!2018.02.06

 

 記録更新を続ける訪日観光客数。2017年には沖縄を訪れる観光客数がハワイの観光客数を上回ったそうですが、最近は離島でも海外からの観光客が増えています。とくに世界遺産の屋久島は近場のアジアからだけでなく、欧米からも観光客が訪れます。

 昨年、屋久島を旅行したときのこと。滝の写真を撮るのに、アメリカ人が台のようなものの上に登って写真を撮っていました。そこに日本人女性が現れ、アメリカ人に降りるように手で合図をしました。その女性が写真撮影の用意を始めたので、「ああ、写真撮影用の長椅子だったんですね」と私が言うと、その女性は「人が座るところに土足で乗りますか?!」と吐き捨てるように言いました。*

 国際線で、頭上の棚に荷物を出し入れするのに、外国人が靴のまま座席に立つのを見たことがある人は多いでしょう。これは、室内で靴を履いたまま生活する国の人に限りません。アジアや中近東では屋内では靴を脱ぎますが、電車の中では靴を履いたまま子供を座席に立たせるのは標準のようです。インドの寺院でも、参拝用の絨毯の上を参拝の際は靴を脱ぐのに、参拝前と後は平気で土足で歩いています。(靴を脱ぐのは神を敬うためで、寺院を汚さないためではないからでしょうが。)

 「郷に入れば郷に従え」と言う人は少なくありませんが(やはり日本人向け媒体で日本語で)、海外からの旅行者に日本の習慣に従ってほしければ、「郷の掟」を知らせる必要があります。習慣の違う国の人に「それくらい言わなくても、わかるでしょう」というのは通用しません

 それも、その長椅子は、滝の前の塀の横に吹きさらしで乱雑に放置されていて、私も、その女性が来るまで、それが何なのかわからなかったくらいです。(正直、「え、あの上に座るの?」と思ったくらい。)そんなに土足で上がられるのが嫌であれば、英語と中国語と韓国語で、”Please do NOT stand on the benches”と張り紙しておくべきなのです。

異文化間では「あたり前」はない


 12月に訪れた、やはり世界遺産のルアンパバーンでは、こんなこともありました。ベトナム戦争時に落とされた不発弾の処理活動機関、UXO Luang Prabang Centerでドキュメンタリー映画を観覧中のこと。**  上映中に中国人の団体が入ってきて、映画を見ながら大声で話し始めたのです! 

 ラオス語の映画には英語の字幕が入っていましたが、中国人観光客らは、どちらもわからなかったのでしょう。私の連れのアメリカ人が”Be Quiet!”と注意し、英語は通じないだろうからと、私が口に指を当てて「シー!Shush!」と注意しても、お構いなしで話し続けました。

 憤慨したアメリカ人が外に出て、職員やラオ人ガイドに注意したにもかかわらず、映画終了後、次の映画の前に、その団体客と入れ替わって、同じ団体の別のグループが入ってきたのですが、今度は、別のラオ人ガイドが中国語で大声で映画の説明を始めたのです!

 これも、やはりセンター側が「上映中には静かに」という中国語の張り紙をし、入場時にはガイドに念を押すべきでしょう。(私は、その旨、TripAdvisorに投稿しました。)

 異文化が接触する際には「そんなことイチイチ言わなくても、あたり前」ということはないのです。「郷の掟」を海外の人に説明するにも、外国語の習得が必要です。

 

 

* 屋久島の観光業界では関東からの移住者の就労者が多数、見受けられましたが、その方も屋久島出身の方ではありませんでした。

** ベトナム戦争時、ラオスには米軍によって200万トン以上の爆弾が落とされました。その多くが多数の子弾を内蔵するクラスター爆弾で、ラオス国土の約25%に今も8000万ほどの不発弾が残っており、処理には、あと200年かかると言われています。1994年から2008年の間に2万人以上の人が不発弾によって死傷しています。

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など多数。

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