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英文履歴書作成で気をつけたいこと : 採用担当の視点

元・外資系人事部長、現グローバル人材育成家の鈴木美加子です。
今回のテーマは、英文履歴書を作成するときの注意点です。実際にクライアントの方と英文履歴書を完成させる上で、ブラッシュアップさせるために、もっとこうしたら良いのになという共通点を解説します。

1. 最も重要なのは読みやすいかどうか

「一番大事なのは中身じゃないの?」と感じた方もいらっしゃるでしょう。確かにその通りなのですが、それは面接官が全ての履歴書を隅から隅までよく読んでいる場合の話です。

残念ながら、採用担当には全ての英文履歴書を端から端まで読む時間はないのが現実です。例えば社員500名のIT企業を750人にしたい時、250人のIT関連人材を採用するために必要な英文履歴書は、その10倍の2500枚になります。もちろん手分けして読むわけですが、2500枚の英文履歴書を隅から隅まで読むことは物理的に可能かというと、現実には残念ながらそこまで丁寧には読めないことになります。

採用担当になるべく詳しく深く読んでもらうためには、自分の好みはさておき、読み手が読みやすいレイアウトにする必要があります。

例えば、1番上にくる個人情報は日本では中央揃えにするのが定番です。私も履歴書が目の前に差し出されると、1番上の真ん中を条件反射的に見てしまいます。デザイナーなど、レイアウトの美しさが関係する一部の特殊な職業を除いて、スタンダードのレイアウトから外れる事は、候補者にとってメリットがありません。

Mikako Suzuki
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あとは、履歴書にメリハリをつけましょう。Summary, Strengths, Work Experiences, Education, Qualifications, Languagesなどの見出しを太字にして、下線を引くなど工夫することで履歴書はより読みやすくなります。

余白についてですが、ワードの余白部分をカスタマイズして、文字をぎっちり詰め込んでいる英文履歴書は読みにくいです。時々印刷すると印刷範囲を超えている場合もあり、採用する側が印刷するかもしれないことを考えてないことがわかります。規定の余白部分をいじらないで、残ったスペースに収まる位の文字の量にするのがお勧めです。

フォントの大きさについても配慮してください。一次面接官は30代半ば位までが多いですが、二次面接官から40代半ば以降になる可能性は大いにあります。つまりは老眼組で、小さい文字が読みにくい年代です。たまにフォントサイズ9の英文履歴書を見かけますが、文字が小さすぎて拡大作業が必要になります。お勧めは、氏名はフォント14、それ以外の個人情報と各見出し(Summaryなど)がフォント12、それ以外の本文はフォント11です。

2. Summaryにインパクトが欲しい

個人情報の次に出てくる最初のパートで、まず目が行くところなのでここはとても重要です。どういう人材なのかわかりやすく書いてあるかどうかと、英語力が一目でわかります。このパートを戦略的に使っていない方が非常に多くて、もったいないなぁと思うことが多いです。

実例を挙げます。

Have 15-year experience in supply chain management at a Japanese consumer goods company.  Currently in charge of an Asia Pacific US$1M SCM project.  Combination of project management skills, ability to work with uncertainty and leadership in a diverse team would bring huge benefit to your company’s SCM team.

どのような業界で何の仕事を何年している人材なのかが一目でわかります。直近で実績に繋がる仕事をしている場合は、そこに軽く触れて、あとは自分の強みを列挙しています。ここは強みの欄ではないので、いろいろ書きたい気持ちはわかりますが、3つくらいにしましょう。たくさん書いても流し読みされてしまうからです。

3. 応募するたびに英文履歴書を微調整する

英文履歴書が出来上がると、ホッとしてどの会社にも同じ書類を送ってしまいがちです。お勧めしたいのは、応募するポジションによって英文履歴書を少し調整してから提出することです。

例えばマーケティングの仕事をしていると仮定します。BtoB (法人向け)もBtoC(一般消費者向け)も両方経験があります。今回の転職でどちらにしたいのか方向性がまだ決まっておらず、とりあえずBtoBのポジションにもBtoCのポジションにも応募しているとします。

BtoBのポジションに応募するなら、法人向けのマーケティング施策で成功した実例を膨らませて熱く書く必要があります。BtoCのところはほとんど箇条書きで良い位です。逆にBtoCのポジションに応募するのに、法人相手の実績ばかりをたくさん並べて書いても、採用担当に「この人は、一般消費者向けのマーケティングの経験があまりない」と誤解されて、書類選考に通らない可能性があります。

私が英文履歴書の添削をさせていただく時に必ずする質問は、「この英文履歴書をとりあえず一般的に使えるものにすれば良いですか? 既に応募したい企業はありますか?」です。応募先がある場合は具体的なポジションのJD職務記述書を送っていただき、まずそちらをよく眺めて、必須条件を頭に入れて送っていただいた英文履歴書の改善に入ります。

皆さんが英文履歴書を作成する場合も、例えば営業企画をやっていて、営業に応募したい場合は営業活動のところを膨らませて書き、マーケティングに応募する場合は自分のマーケティング施策が成功した例を厚めに書いた方が効果的です。ポジションごとに英文履歴書を微調整されている方はほとんどいないので、ぜひぜひ試してください。書類選考合格率が上がります。

今回は英文履歴書作成にあたり、元人事の目線で気になっている項目について解説しました。次回は、英語での面接についての注意点・改善点をお届けします。

転職活動頑張ってください!

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鈴木美加子

グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEに入社して人事のキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレーなどを経て、日本DHL人事本部長を務める。帰国子女でも海外赴任経験者でもないが、TOEIC960点をマークし外資系企業でキャリアアップした経験を元に、個人のキャリアアップを支援している。2011年から18か月、オーストラリアに居住し、海外勤務・海外からの帰国希望者のキャリア相談にも乗ることができる。
個人向けのキャリア相談の他、企業向けに、リーダーシップ研修、チームビルディング、組織分析、異文化マネジメント、グローバルコミュニケーション研修を行っている。ルミナスパーク、ルミナリーダー公認講師、ホフステード異文化モデル公認講師、STAR面接法・認定講師

株式会社AT Globe

強みを最大限に活かし、個の力を発揮出来る人材を一人でも増やすことで、母国を元気にすることをミッションとする。ルミナというアセスメント・ツールを使い、個人・法人向けの人材育成事業を行う。

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