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外資への転職 Q&A Part 3

元・外資系人事部長、10,000人を面接したグローバル・キャリア・カウンセラーの鈴木美加子です。本日は、このごろ質問されることが多い外資の企業文化についてお答えします。

1. 応募先企業の本当の外資度を知るにはどうしたら良いですか?


 「外資系」とひとくくりに言っても、蓋を開けたら「根回しが必要、飲ミュニケーションが多い、割とウェットな人間関係」で、内情は日本企業に近いということもありえます。応募している会社の企業文化を、前もって確認してから入社した方が安全です。

方法1: 一番確実なのは人脈をたどって、現在、その企業に勤めている現役の方に話を聞くことです。もちろん所属部署によって、カルチャーが違うことはありえますが、現在の状態を確認するために一番良い方法です。

方法2 : 日本での歴史、規模および外国人比率を確認する。日本に早くから進出している歴史ある外資は、日本市場にしっかり喰いこむ過程で、マネジメントも日本人が多くなっている可能性が高いです。規模でいうと、1,000人を超えても外資的な企業文化を保てるのはIT企業くらいでしょう。この両方が当てはまる、つまり、日本に40年も現地法人が存在し、1,700人の社員を要する企業が応募先だとすると、次に確認したいのは外国人比率です。10人に1人が外国籍では無いあたりから、だんだん日本度合いが高まると思ってください。

2. 現在の仕事で残業が多く、仕事を辞めてから転職活動をしたいのですがどう思いますか?


もし、残業が多すぎて体を壊しそうというところまで追いつめられているのであれば、健康第一なので仕方ないと思います。まだ少し余裕があるようであれば、なんとか現職を持ちながら転職を決められるといいです。最大の理由は、現職がないとどうしても足元を見られがちになるからです。

優良企業が、相手が失業中だからといって、例えば入社時の給与を下げるようなことはほぼ無いですが、全く無いとは言えませんし、すべての企業が優良では無いのが現実なのでリスクは回避した方が良いです。辞めてすぐは良いのですが、数ヶ月経つと、本人も職が無い状態に引け目を感じるようになり、精神状態が面接に出るようになってしまうので、現職があることは重要と考えます。できれば、現職があるうちに次の就職先を探したいところです。

3. チームワークという言葉をよく聞きますが、外資系でも「チームの和」とか気にするのでしょうか?


 外資系、特に米系企業が「チームワーク」という言葉をよく使うのは、実際には個人主義の人たちが集まって、グループでスムーズに仕事をするのが難しいからだと言われています。「和」より「個」が重んじられることが多く、仕事のやり方に反映される傾向にあります。外資系には、JD(Job Description)と言われるものが存在し、それぞれの個人の仕事の範囲が明確です。

JDから外れた、自分が本来すべきでない仕事をやりたがらないのが、外資系の社員です。日本企業が、草野球と称して仕事が抜け落ちないようにみんなでなんとかフォローし合うのとは、仕事のやり方がだいぶ違います。誰かがやってくれる、誰かに助けてもらえると最初から決めてかかると、「それは私の仕事ではない」とあっさり言われて肩すかしをくってしまいます。自分の責任範囲や仕事の枠が明確であることを望む方に、外資系企業は合っています。冒頭の質問に対しての答えは、“外資系では「チームの和」という概念はあまり存在しない”ということになります。

4. 外資系の方が「ゆるい」ということを聞いたのですが、これはどういう意味ですか?


ホフステードの異文化モデルによると、日本は男性性95で、「秀でること、完璧であること」に対する執着度が平均値でいうと、非常に高いです。つまり高い完成度を求めるので、プロセスを作成する場合、絶対に落ち度がないだろうかという視点で臨み、成果物のクオリティは非常に高いものが出来上がります。その分、柔軟性に欠けるかもしれません。全てがキチキチ、ちゃんと決まっていることが多いからです。プロセスの精度、引き継ぎマニュアルがあるかどうか、職場でものを食べながら仕事をしても良いかどうかなど、多方面に現れます。

外資系企業・日本企業、どちらが良い悪いではなく、自分に合っているのはどちらの文化なのかを客観的に考える工程が、転職活動には必要です。

<外資への転職Q&A>

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鈴木美加子

グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師

NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)

株式会社AT Globe

強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。

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