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先輩に聞く!インドネシア語との付き合い方

先輩に聞く!インドネシア語との付き合い方 その22015.10.13

多少言い間違っても、そのまま受け入れて喜んでくれるインドネシア人

どういう外国語でも、最初は多かれ少なかれ抵抗があるのが普通だろうと思いますが、私の知る多くの日本人駐在員やその奥さんが、インドネシア語はとても入りやすい、という印象を語っています。その理由はいろいろ考えられますが、言葉の使い方が非常にフレキシブルで規則(文法)がおおらかなことと、多少言い間違っても、そのまま受け入れて喜んでくれるインドネシア人の人柄にあるような気がします。文法から外れると返事もしてくれないという国もあるという話が嘘のようです。

時制がないから楽!?

インドネシア語の使い方の特徴となるおおらかさは、まず語順です。「私(saya、サヤ)は魚(ikan、イカン)を食べる(makan、マカン)。」と言う時、Saya makan ikan. が最も普通ですが、Ikan saya makan. と言っても構いません。「彼(dia)は遅れて(terlambat)来た(datang)。」という文章なら、"Dia datang terlambat." が主語・述語・副詞の順に綺麗に並んでいて最もオーソドックスと言えるでしょうが、実はどんな並べ方でも正解です。3つの単語の組み合わせで6種類の文章ができますが、機会があったらインドネシア人の前で6つとも話してみて下さい。簡単な内容だからなんとか通ずるというのではなく、どれもほぼ違和感なく聞いて貰えるはずです。時制がないのも最初は気が楽です。

単語を10個覚えたら直ぐに10個分表現の世界が広がる

そんなおおらかさのせいかも知れませんが、インドネシア語では単語を10個覚えたら直ぐに10個分表現の世界が広がる、20個覚えたらそれだけインドネシア語での交流の機会が増える、と言ってもあながち間違いではないと思います。ある程度の語学レベルに達するまでは、人前で話せないというのとはかなり違います。少し前までは、駐在員の奥様方が赴任して間もないのにお手伝いさんや運転手とあれこれコミュニケーションをとっている光景によく出会いました。それも、インドネシア語の使い勝手の良さが一つの理由でしょう。

そういえば、戦争中にインドネシアに進駐した日本の兵隊さんたちが、「魚はイカン(ikan)、メシは無し(nasi)、死ぬのは待て(mati、マティ)、菓子を食え(kue)」などと語呂合わせで日本語を覚えたそうですが、文法と発音をそれほど気にしなくて良いインドネシア語向きの勉強法かも知れません。今も自己流の語呂合わせを作って語彙を増やしている日本人はたくさんおられます。

友達になろうという気持ちが大切

では、最初にどの言葉を覚えたらいいでしょう。万国共通の「ありがとう」(terima kasih)は別格として、selamat(スラマット)などはどうでしょうか。安全とか、幸せという感じの言葉ですが、その後ろに朝(pagi)、昼(siang)、夕(sore)、夜(malam)、睡眠(tidur)を付ければ、それぞれの時刻の挨拶になるだけでなく、会話の相手と別れる時にも便利です。別れた後、相手が学校に戻って勉強する(belajar)か、会社で仕事をする(bekerja)か、デートをする(pacaran)か、テレビを見る(nonton TV)かで、selamatの後にその単語を付け加えれば、しっかりしたインドネシア語の別れの一言になります。「Selamat bekerja.」なら、仕事を頑張って下さい、といった感じでしょうか。時刻の挨拶と別れの挨拶で最初と最後ができたら、その間に「私は山田です」と名前を入れて自己紹介をして、"Saya Yamada, gunung(山) dan(と) sawah(田)."などと、身振り手振りで説明でもしたら、相手のインドネシア人が打ち解けるのは間違いないでしょう。

とにかく、インドネシア人は外国人がインドネシア語で話すのを喜んでくれる人たちです。話す時に気をつけることがあるとすれば、友達になろうという気持ちです。ちょっと無駄話ですが、昔、まだ社会の至る所で治安秩序回復司令部という軍の組織が強大な権限を握っていた頃、スドモ(Sudomo)という海軍大将が司令官で、親しい人からは「Pak Domo」と呼ばれていました。Pakはbapak(父、男性の敬称、さん)の意味で、名前の省略形(Domo)は親しみを込めた呼び方です。日本からの要人を迎えると、このスドモ将軍はこのように自己紹介していました。「私の名前は日本から来ました。ドーモ、ドーモ。」。

まずは、初歩のインドネシア語をゆったり挑戦

歴史と伝統の長い国の言葉が、単純なはずがないとご指摘を受けるかも知れませんので、先に申し上げると、インドネシア語は奥行きも深いようです。何十年も勉強しているのに、未だに「完璧」と自分で納得できる文章がなかなかできないと言う語学のプロもおられました。そういう面白さにも徐々に入って行けたらいいと思いますが、 まずは、外国人の慣れない言葉でも聞きとってくれる国で、初歩のインドネシア語をゆったり挑戦してみてはいかがでしょうか。Selamat belajar!

*(スラマット・ブラジャール:日本語で「勉強を楽しんでください / 頑張りましょう」の意味)

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この記事の筆者

城田 実

1972年横浜市立大学卒業、1973年外務省入省。74年から2年間インドネシアのジョグジャカルタ、ガジャマダ大学留学。以後、インドネシア大使館、外務省アジア局などインドネシア関係を中心に勤務。インドネシアの3総領事(スラバヤ、メダン、デンパサール)を歴任。2011-2013年まで2年間デンパサール総領事館総領事を就任後、外務省を引退。現在、日本在住。約40年間のインドネシアを知るエキスパート。現在、インドネシア研究会 Santai 代表。

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