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有元美津世のGet Global!

和製英語に気をつけよう(27) ─ 「フライング」「ファイト」2016.10.04

 

前回、「オリンピック和製英語最終編」を宣言してしまいましたが、その後、いくつか思い出したので、もう一本だけ。

フライング

 

  早々と終息宣言をし、フライングをしてしまった私ですが、リオでもフライングがいくつか見られました。「フライング」は英語ではflyingではなく、false startやgun jumping (jumping the gun)といいます。

 陸上競技では、2010年に国際陸上競技連盟が一度でもフライングすると失格、という厳しいルールを設け、オリンピック初出場で失格になってしまう選手も出ました。

 

  The French hurdler was disqualified after a false start.

(そのフランスのハードル選手は、フライングで失格になった。)

 

 False startは、下記のように動詞としても使えます。

 

  He was disqualified when he false-started in the heat.   

(彼は予選でフライングをして失格になった。)

 

 The Spanish swimmer jumped the gun, but allowed to compete.

(そのスペインの水泳選手はフライングしたが、競技を許可された。)

 

 日本語でも「フライング」はスポーツ以外の場面でも使われますが、false startやgun jumpingも「ちゃんと準備が整う前に始めてしまう」「見切り発車する」という意味で使われます。下記のように仕事の場面でも使えます。

 

A false start derailed the project.(見切り発車したため、プロジェクトは脱線してしまった。)

 

Overenthusiasm led the team to jump the gun.

(やる気満々すぎてチームは見切り発車してしまった。)

 

「ファイト」

 

応援するときの「ファイト」。「英語のfightは戦うという意味なのでスポーツでは使わない」と説明している人たちがいますが、英語でもスポーツで使います。

 たとえば、バレーボールなどで試合開始前に選手らがコートで円陣を組んで、皆の手を合わせてかけ声をかけたりしますが、あのとき英語でも”One, two, three, fight!”と言います。元々、英語だったのが、日本でも使われるようになったのでしょう。

 また、チアリーダーは”Fight, fight, fight!” ”Go, fight, win!”といった掛け声もします。アメリカのチアリーダーの声援(cheers)を集めたサイトにはfightも出てきますね。ただし、英語のfightは文字通り「戦え」という意味で、戦う相手がいるスポーツのみに使われ、日本の部活のときなどの掛け声「ファイト!」のような使い方はされません。

 下記もアメリカの声援の例ですが、アメリカの場合、国代表チームの応援には”USA! USA!”という掛け声が多いです。

 

"Go U.S., let's win this game. Go U.S., honor your name. Go get that birdie, then get an eagle. Rock 'em ... Sock 'em. Fight! Fight! Fight! Fight! Go U.S., run up the score, We're going to yell for more. U.S., U.S., U-S-A! Go USA, let's go!" (www.newsmedia.comより引用)

 

  「日本、がんばれ!」「日本、ファイト!」というのであれば、下記のようにさまざまな表現が使えます。

 “Go Japan!” “Let’s go Japan!” “Beat ‘em, Japan!” “Let’s fight, Japan!” “Fight, Japan, fight!”

 

 また、アメリカのアメフトや野球のチームには応援歌がありますが、fight songと呼ばれます。

MISIA’s Super Rainbow was the official fight song for Japan’s ping pong team at the Rio Olympics.

(MISIAのSuper Rainbowが、リオオリンピックで日本卓球代表の公式応援歌だった。)

 

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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