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有元美津世のGet Global!

多様な英語(3) ─ World Englishesの行方①2016.01.26

 

さて、世界各地で話される多様な英語、World Englishesは、今後、どうなるのか?

二つのシナリオが描かれています。シナリオ1は、相互に理解不可能な複数の形、つまり多数の「言語」にバラバラに枝分かれするというもの--英語は各地の言語に合うように改変され(adapt)、英語のルールなんて知ったことか(nonconform)と、各地の言語の影響を受けて言語に進化するというものです。(しかし、そうするとlingua francaは何語に?)

 

シナリオ2は、各地での違いは薄れ、ひとつの形に収束するというもの--英語が各地で取り入れられて(adopt)、同じ(英語ネイティブの?)ルールに従う(conform)というものです。

 

ハリウッド映画、米発インターネットやソーシャルメディアの普及により、イギリス英語圏でも米語による侵食が激しいです。元イギリス領も同様で、たとえば香港では学校ではイギリス英語を教えるものの、将来、アメリカの大学に留学、就職に有利という理由で、アメリカ英語を学びたいという若者が増えているそうです。英語がひとつの形に収束するとすれば、米語を基本にした形でしょうか。

 

ManglishもSinglishも不滅

 

先週、病院に行ったとき、病院でロッカーに私物を入れる際に、もらった書類はロッカーに入れないで持っているべきかと”Should I keep this with me?”と聞くと、看護師が“Keep it”というので、ロッカーから出して手に握っていると、”Keep it!”とロッカーを指します。“Leave it (in the locker)”という意味で”Keep it”を使うようです。

病院の壁には”Please … due to we are …”とスタッフ向けの注意書きがありました。

 

どれも、すでにマレーシアで定着している語法。「Keep itと言うと持っていろという意味」「due to の後に来るのは名詞か動名詞」などと言おうものなら、「これで通じてるんだから問題ナシ!」どころか「ハァ、何をわけのわからないことを?」と言われそうです。

 

病院のどの窓口に行っても、「これを~に持って行って」という意味で“Bring this to…”と言われました。(= “Take this to…”) BringとTakeを逆に使うのは、マレーシア以外にも多くの国で見られるので、そのうち、こちらの用法が標準になるかもしれません。

 

また、”Have a seat first”とも言われたのですが、これも英語ネイティブなら”Have a seat until you’re called”です。この表現、「まず座ってください」の直訳で日本人も使いそうですが、”first”とあるからには、”second”、その次に続くことがあるはずで、ないのなら”first”は使えないのです。

 

たとえば日本の英語学習者の英語表現がおかしいのでググってみると、出てくるのはインドのサイトばかり、ということもあります。非英語ネイティブが使う表現には、国を超えて共通しているものが多々あります。(Hinglishに関しては次回。)

 

以前、香港で有名な飲茶の店に予約なしで行って「入れるかどうか」聞くと、”Yes, if you can return the table by 1:30”と言われました。「テーブルを戻す?」聞き間違えたかと思って、もう一度聞いても、やはり”return the table”。「テーブルをどこかに自分で動かさないといけないのか?」と思いましたが、ちょっと考えて「1時半までに食べ終えれば」(If you can finish with the table by 1:30”ということだと気づきました。広東語の表現を英語に直訳したようですが、この表現はシンガポールでも使われるようです。

 

こうやって、各地の英語では、英語の単語は使われているものの、母語で行われた思考を直訳した表現があふれています。

シンガポール政府も、過去15年、何度も「正しい英語を話そう」キャンペーンをやっていますが、Singlishは衰退していません。

 

ManglishもSinglishもChinglishも不滅ということで。シナリオ1に一票!

 

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など多数。

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