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有元美津世のGet Global!

なぜ、あなたの英語は通じないのか(1)2015.06.02

 

5月末に、新刊「ロジカルイングリッシュ」が出版されました。実は、この企画、ダイヤモンド社さんの方からいただいたのですが、私は、これまで20冊以上、英語関連本を出しているものの、ビジネスパーソンの視点に立った中級者以上向けの例文を中心とした書が主なため、「私に初級者を含めた英語学習者の視点のものが書けるのか?」と当初、戸惑いました。

 

私のモットーは、国際ビジネスの現場で実際に使われている英語表現を紹介することで、私は英語の先生ではありませんし、私自身が英語学習者であったのは、もう30年も前のことだからです。

 

しかし、日ごろから目にしている日本の英語学習者に共通する問題点に触れる機会かと思って、引き受けることにしました。

 

英語学習者に共通する問題点

 

私は、ツイッターで、日本の英語学習者の方々と英語でやりとりするためのアカウントを設けて5年になります(@TweetinEng.  ハッシュタッグ #EngPls)。

 

皆さん、英語学習のために、日々、英語でツイートしている方々です。ツイッターをはじめとするソーシャルメディアは、ネイティブスピーカーの生きた英語にリアルタイムで触れることのできる絶好の英語学習ツールです。実際に、ソーシャルメディアで英語力をぐんぐん伸ばしている方々を何人も見てきました。(ソーシャルメディアの活用法に関しては、また、後日、詳説したいと思います。)

 

一方、日本の英語学習者に共通する間違い、傾向も見えてきました。個人の英語習得度にもよるのですが、

(たとえば、下記の①は初心者に見られ、は上級者に多い)、大きくまとめると下記の4つが挙げられます。

 

① 日本の単語を英語に置き換えているだけの直訳。

② 辞書を信頼しすぎ。(著書では入れていない)

③ 非常に簡単なことをやたら複雑な文で表現。

④ andやbutなどの接続詞で文がつながっているのだが、論理が飛躍していて、2つの文のつながりが不明。

 

単語を置き換えただけ

 

日本語を一語一語英語の単語に置き換えれば、英文になっていると思っている人が実に多いのですが、これは英語初心者にとって最初に克服しなければならない最大の壁でしょう。これでは単語だけが英語で、英文の裏にある考え方は日本語のままであることに気づいていないのです。

 

中学高校では文法を中心に英語を習ってきているので、皆さん、日本語と英語の文法が違うことは理解しています。「日本語と違い、英語はS+V+Oの形になる」といったことを学習し、主語や動詞、目的語の順番を変えて、日本語の単語を英語に置き換えさえすれば伝わると錯覚している人もいるのではないかと思います。

 

ツイッターでも、「○○は英語で何て言うんですか?」とよく聞かれるのですが、日本語の「○○」という単語に対し、英語にも相当する単語があると信じている人たちが大半です。それも何の文脈の説明もなしに聞いてくる人がいるのですが、文脈なしでは答えられません。

 

たとえば、「あの子は若いのに、しっかりしている」という場合の<しっかり>は英語で何というのか」という聞かれたことがあります。「しっかり」に相当する単語、表現があるわけではなく、文脈から"She is young, but has it together"という表現が適切だと答えました。

 

上記は、まだ文脈があったからいいほうで、「汚いはdirty以外にどういう表現が使えるか」という質問もありましたが、これはどういう意味の「汚い」かによって答えは違ってきます。「汚れている」という意味であればfilthyがありますし、「やり方が汚い」という意味ならunderhanded、人に対して使うのであればsly、deceitfulなど程度やニュアンスによっていろいろな表現があります。つまり文脈なしでは、的確な表現は見極められないのです。

 

文脈なしで「○○は英語でどう言えばいいか?」という質問は、英語、日本語にかかわらず、言語というものを本質的に理解していないということの表れだと私は思っています。語学の上達には、まず、これを乗り越える必要があるでしょう。

 

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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