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有元美津世のGet Global!

アメリカの大学は6年制?!2015.01.13

前回、「3年どころか4年で終えられない学生が多いなか、学生が4年で卒業できるよう尽力すべきだ」と大学の3年制課程に反対する大学関係者らがいると書きましたが、アメリカでは、大半の学生が4年で卒業せず、かつ中退する学生も多いことが、最近、問題となっています。

 

アメリカでは、初めて大学に入学するフルタイムの学生が4年制大学を4年で卒業する割合は39%のみで、6年での卒業率は59%です。つまり、41%は卒業しないということです。

 

2012年の大学卒業率はOECD諸国26カ国中19位であったため、「これは大変だ」と騒がれているのです。(なお、1位はアイスランド、2位はポーランド、3位はイギリスで、日本は9位です。)1995年には33 %で1位だったのですが、この16年でアメリカの卒業率が下がったというよりも、他国が上昇したということです。

 

別の調査では、アメリカの公立大学の大半で、4年間で卒業するのはフルタイムの学生の19%で、有名州立大学ですら36%という結果が出ています。コミュニティカレッジでは卒業率はさらに低く、2年以内に卒業したのはフルタイムの学生の5%のみだそうです。

 

私も、つきあいのある大手銀行の行員で働きながら大学に行っている人を知っているのですが、「大学に通い始めてすでに4年」というので、そろそろ四大を卒業かと思ったら、通っているのはコミュニティカレッジとのこと。

大学を卒業して(安月給の行員から)IT業界への転職を目指しているのですが、「学士を取得するのに、あと何年かかるのだろうか」と人事ながら心配しました。年齢はすでに30を超えているので、四大に編入して卒業する頃には40手前になっているかも。それまでに結婚して子供ができれば、挫折してしまう可能性も高いでしょう。

 

4年で卒業しない人が大半なので、教育政策の専門家らは、4年制大学の卒業には6年、コミュニティカレッジの卒業には3年を指標として使うそうです。

 

卒業できない理由

なぜ卒業するのに時間がかかるのかという理由は、

1)卒業に必要な単位を取得していない。学期ごとに取得する単位が少なすぎる。

2)大学側が要求する単位が多すぎる。

3)選択肢が多すぎて卒業に必要のない無駄な単位を取得し、必要以上に単位を取りすぎる。

4)4年制大学学生の6割が転学しており、その半数が単位を移転できない、などです。

 

私自身がそうでしたが、途中で専攻を変更する人も結構おり、そうすると時間がかかります。

とくにパートタイムの学生では、6年で卒業する割合は17%と低い数字になっており、前回も書いたように、やはり働きながら学生をするというのは並大抵のことではないのでしょう。(フルタイムで働き、フルタイムで学生をやっている人もいます。いつ寝てるのか…)

 

また、コミュニティカレッジでは、学生の7割が数学の補修授業に回され、2年間に大学レベルの数学の授業を一切受けていないというデータもあります。大学の授業についていけない学生でも、猫も杓子も「大学に行った方がいい」と進学を勧められるのも一因かと思います。

 

昔、無名の州立大学を6年かけて卒業できず、30過ぎても親の家に住んで親からおこづかいをもらっていたアメリカ人男性の知り合いがいましたが、彼は、結局、カイロプラクタースクールを卒業して、「ドクター」と呼ばれる立場になりました。

カイロプラクターも競争が激しいですし、その後、経営がうまく行ったのかどうか知りませんが、少なくとも手に職をつけたわけです。彼なんかは、元々、勉強が好きでないのに親に言われて進学した口で、初めからカイロプラクタースクールに行っていれば6年無駄にしなくてすんだのかも知れません。

時間とともに増える学費と借金

一年余分に通うごとに、コミュニティカレッジでは1万6000ドル、公立の4年制では2万3000ドルかかると言われています。また、4年で終えない学生は借金が増え、2年余計に通うと借金が7割増えるそうです。何度も大学に挑戦し、挫折しては別の大学に入り直し、その度に学資ローンが増えているという就労学生もいます。

 

こうした現実を見てしまうと、「3年制課程を作るよりも、多くの学生らが4年で卒業できるように工夫すべきだ」という意見に頷けます。

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など多数。

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