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有元美津世のGet Global!

和製英語に気をつけよう(8)-「サービス」の英語の意味(後編)2014.09.02

前回の「サービス残業」の「サービス」は無償奉仕というという意味で使われているようですが(私が若い頃にはなかった言葉で、日本でも比較的新しい表現)、「奉仕する」という意味の「サービス」は、他に「サービス精神」「家庭サービス」といった形で使われます。

「サービス精神」は、一言でいうならば”desire to please”、または”hospitality”(おもてなしの精神)と言えるでしょう。しかし、たとえば「サービス業ではサービス精神が大事」は、”Customer service is crucial in the service/hospitality industry”のように”customer service”を使う方が自然な英語になります。

「家庭サービス」という言葉には「休日はノンビリしたいのに、家族に奉仕させられる」仕方なし感が漂っており、「なんで家族と過ごすこと、家族のために何かすることがサービスなのか」という批判も少なくないようです。(この表現は禁句のご家庭もあるようで。)

「家族サービス」を英語で一言で表すことは不可能であり、「この週末は家族サービスだ」”I’m going to spend time with my family this weekend.” 「昨日は家族サービスで動物園に行った」なら、”I went to the zoo with my family yesterday.” ”I took my kids to the zoo yesterday.”など、いずれにせよ、「仕方なし感」は表さない方がいいでしょう。

「週末くらい家族サービスして」は、具体的に何をしてほしいのかを述べることになります。「ゴルフなどに行かないで家にいて」なら、“Can you stay home for the kids?” 「子供たちを遊びに連れていって」なら“Can you take the kids out to do something?”、「(特定の)公園に連れていって」なら、”Can you take the kids to the park?”となります。

なお、英語で”family services”といえば、行政や非営利の家族支援サービスに使われます。

ちなみに、夫がゴルフばっかりして放ったらかしにされる妻に対しては“golf widow”という表現があります。ネット上には、そうした妻らの相互支援のための”The Golf Widow Club”があり、”The Golf Widow Blues” “The Golf Widow’s Revenge”といった書き込みも見られます。

夫の趣味がゴルフ以外のものであれば、”Fishing Widow” “Baseball Widow”など”golf”の部分を入れ替えて表現できます。

「デイサービス」も和製英語

元々、日本で「サービス」という言葉が初めて使われたのは自動車業界で、米発の「サービスステーション」の普及に関連しているとか。当時、アメリカの”(gasoline) service station”といえば、自動車修理工場も備えたガソリンスタンドでした。今では、“gas station” (イギリス英語では”petrol station”)が主流で、”service station”はほとんど使われません。「ガソリンスタンド」も和製英語です。

なお、高速にある「サービスエリア」ですが、イギリス英語では”Motorway Service Area”や”(Motorway) Service Station”と呼ばれるようです。アメリカの場合、高速(freeway)を降りずに寄れるのは”rest area”(休憩エリア)のみであり、トイレやベンチ、自動販売機があるだけで、ガソリンスタンドや店はありません。ガソリンスタンドや店に行くには、高速を降りる必要があります。

また、高齢者向け通所介護サービスの「デイサービス」も和製英語です。英語では、”adult day care” “elderly day care”と言います。通常、”day care”というと(幼児向けの)保育・託児を意味するからです。

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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