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有元美津世のGet Global!

お金がもらえたら会社辞めますか?“Pay-to-Quit”制度2014.07.15

    ザッポスといえば、もうひとつユニークな制度を取り入れています。職場に不満足な社員には、お金を払って辞めてもらう、”The Offer”という制度です。 

    同社では、4週間の研修期間を終えた後、新入社員に「今、辞めれば、研修期間の給料とともに2,000ドル支払います」とオファーするのです。 

    なぜ、こうしたことをするのかというと、入社後、お金に目がくらんで(?)辞めるということは、その会社に思い入れがないという証拠だからです(つまり、「踏み絵」。)入社してすぐに「(仕事内容や会社の雰囲気が)予想していたのとは、ちょっと違う」「こんな仕事、自分には合わない」という経験をしたことは、たいていの人があると思います。「しまった、こんな会社に入るんじゃなかった」「B社の方がよかった」と思っても、「入社してしまったから」「B社の方は断ってしまったから」仕方なく、その会社に留まるという人もいるでしょう。 

    ザッポスは、「ザッポスが好きでたまらない」「ザッポスで働けて、なんて幸せなんだ」という社員しかほしくないのです。 

    前々回、書いたように、適格でない人材を雇ってしまった場合のコストは高いですので、新入社員に、これ以上、投資する前に辞めてもらえれば、2,000ドルなど安いものです。(実際に、この制度を利用して辞める人は、全社員の2%以下だそうです。)

    Amazonも導入

    「これはいい制度だ」と思って、同様の制度を取り入れたのが、ザッポスを買収したAmazonです。Amazonでは、今年、流通センター(fulfillment center)勤務の従業員限定で、年に一度、お金をもらって会社を辞めるチャンスを与える“Pay-to-Quit”プログラムを開始しました。最初の年は2,000ドル、その後、毎年1,000ドルずつ増え、最高5,000ドルを支給するそうです。 

    職場に対し文句タラタラでも辞めない人が結構いますが、こうしたネガティブな態度は、周りの士気にも影響します。お金を払ってでも辞めてもらった方が、会社のためになります。(Amazonの流通センターは、近年、各国で過酷な労働環境として話題になっているので、それが、こうした制度を導入する引き金となったのかもしれません。) 

    2012年に、34カ国業界49の192社142万人近くの社員を対象に行われた調査では、やる気のない社員、職場に不満の社員に対して、やる気のある社員、会社に愛着心のある社員の割合が高い企業ほど会社の収益が高いという結果が出ました。 

    アメリカの場合は、不当解雇訴訟も多いので、自主的に辞めてくれれば、訴えられる恐れもなく、5,000ドルなど安いものです。 
    もちろん、社員本人にとっても、不満を抱えてやる気のない仕事を続けるより、さっさと辞める方がいいでしょう。Amazonのような制度は、年に一度、社員らが自分の仕事に対して考えるチャンスとなります。「この会社で働き続けたいのか?」「これは本当に自分がやりたいことなのか?」を社員一人ひとりに自問してもらうのです。つまり、これは、仕事や会社へのコミットメントをチェックする一種の人事考査ともいえます。 

    皆さんの中にも「この会社に留まるべきか」と迷っている人もいるでしょう。こうした制度が、あれば利用しますか?

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    この記事の筆者

    有元美津世

    大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。
    著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など多数。

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