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有元美津世のGet Global!

大学を出ても職がない(10)--夢と現実のギャップ <留学編>2014.05.27

    マレーシアの知人のお嬢さん(20代後半)がニューヨークに住んでいるのですが、2~3年前に中西部の州立大学を卒業後、ニューヨークの広告業界で就職するために引っ越したそうです。 

    彼女が卒業した大学は、私も今まで聞いたことがなく、「US News & World Report」誌のランキングで見たところ、National Liberal Arts College(学部が中心の文系の大学)* の中でも、200位以内といった感じでした。 

    大学で広報(Public Relations)を勉強した彼女は、どうしてもニューヨークの広告業界で働きたいということで、現地の友人に「住む場所と仕事が来るまで来ないように」と言われたにもかかわらず、ニューヨークに向かってしまったそうです。 

    当初、親から仕送りを受けていたのですが、マレーシアの通貨(生活費)はアメリカや日本の3分の1ですし、アメリカの中でもとくに生活費の高いニューヨークですから、親も仕送りを続けるわけにはいきません。娘さんも、パートタイムの仕事を3つ掛け持ちし、何とか凌いでいたようですが、2年経ってもフルタイム(正社員として)の仕事が見つからないので、今夏、マレーシアに帰国するとのことでした。

    目的は何なのか?

    他州の無名の大学を出て、まったくコネのないニューヨークの広告業界で就職先を見つける、というのは、かなり難しいと思います。在学中から、ニューヨークでインターンでもしていれば別ですが(これも競争率は高いようで、卒業後、就職する方が簡単という声も。)私も、就職先を斡旋できないか、何社かあたってみたのですが、広東語ができる人はアメリカにはいくらでもいますし、マレー語や客家語の需要は少ないので、彼女の語学力は武器にはなりそうにありません。 

    何が目的でアメリカ、ニューヨークにいるのかによって、とるべき道は違ってくると思います。ただただニューヨークに住みたいというのなら、ニューヨークで(結婚相手など)養ってくれる人を見つけた方がいいかもしれませんし、ニューヨークでなくてもいいからアメリカで働きたいというのなら、景気がよく、仕事が豊富にあるところ(たとえばテキサス)に引っ越したらどうかと提案もしてみました。(広告代理店があるのはニューヨークだけではありません。) 

    私は、マレーシアに帰国した方が、将来のキャリアに役立つ仕事に就けると思います。ニューヨークでは、業界経験がないだけでなく、英語ネイティブでないというハンディがありますが、クアラルンプールに戻れば、Manglish(マレー語や中国語の影響を受けたマレーシア英語)でない米語を操り、アメリカで勤務経験がある点を売り込めます。アメリカに進出しているマレーシア企業や、現地アメリカ企業での就職の機会もあるでしょう。マレーシアで業界経験を積んだ後、アメリカに戻って就職するという手もあります。 

    パートタイムの仕事をしながら、このままアメリカにズルズルいて、確固とした職務経験なしに年だけとってしまうと、その後、マレーシアに戻っても就職は難しくなるでしょう。

    ここで話は終わるはずが…

    親が経済的援助を打ち切り、娘さんもマレーシアに帰国する覚悟ができてよかったと思っていたところ、先月、父親から「娘はニューヨークで、もう少しがんばることにしたようだ」との連絡が来ました。親が、また資金援助をしたようです。親は、かわいい娘の懇願を断れないようですが、娘さんのキャリアにとっては、好ましい対応とは思えません。 

    なお、こうした例は、日本人留学生にもよく見られるのですが、留学関連の話は、また後日、書きたいと思います。


    * 同誌のランキングでは、これとは別に”National Universities”というカテゴリーがありますが、これは修士や博士課程もあり、リサーチに重きが置く傾向があります。海外で知られているような大学は、たいていこのカテゴリーに入っています。上位は、プリンストン、ハーバード、イェールなどのアイビーリーグ(Ivy League)校で占められています。

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    この記事の筆者

    有元美津世

    大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。
    著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など多数。

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