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有元美津世のGet Global!

大学を出ても職がない(3)--人材需給のミスマッチ2014.04.01

    前回、大卒を必要とする職の数以上に大卒者がいると書きましたが、企業側からすると「企業が必要な人材がなかなか見つからない、企業のニーズに求職者のスキルがマッチしていない」(Skills Gap)という不満があるようです。


    たとえば、アメリカでは、いまだ失業者が1000万人以上いるにもかかわらず、400万の職が埋まっていないという状況です。アメリカの場合、とくにコンピューター技術、看護、熟練製造などの中間スキル(高卒以上四大卒未満)不足が叫ばれており、今年、オバマ大統領が「米国民が企業の必要とするスキルを取得し、空いている職を埋められるよう研修制度を改革する」と発表しました。


    前回の話と併せると、高卒よりは大卒の方が就職しやすいが、文系の四大に行くよりも、手に何らかの職をつけた方が就職率は高いということでしょう。 
     (なお、就労者や労組側は「過去何年も賃金が上がっておらず、企業が職に見合った賃金、生活しているだけの賃金を払えば、職は埋まる」という考えです。)


    また、「技術はすごいスピードで進んでいるのに、大学で教えていることは昔からあまり変わっていない、大学は今の社会のニーズに応えていない」という批判も相次いでいるのですが、もちろん、大学側は「大学は職業訓練校ではない」と反論しています。企業がいうのは具体的な職業スキルではなく、データ分析、説得力のある議論の展開、思考能力といった基本的なスキルのことで、「大学は文書・口頭コミュニケーション、意思決定、分析・調査スキルを教えていない」というのです。


    アメリカの場合、OECDの成人力調査でも、読解力、数的思考力、ITを活用した問題解決能力すべてにおいてOECD平均を下回り、24カ国中の下位だったのですが、とくに16~25歳の若者層では最下位でした。

    Talent Mismatch

    一方、日本は上記のOECDの調査では1位だったものの、イギリスの人材紹介サービス会社が、毎年、発表している世界各国の人材市場効率、優れた人材の供給能力を評価した指標によると、2013年人材需給のミスマッチ度が30カ国中で一番高いとう結果でした。(二位はアメリカだったのですが、日本が一番高いのは賃上げ圧力で、ミスマッチ度が一番高いのはアメリカ)。


    これは、求職者が企業の求めるスキルを有していないということで、とくに専門性の高い人材の確保が困難だということです。同社の2014年第一四半期の採用動向予測によると、特に金融サービス、営業・マーケティング、サプライチェーン、ITなどの分野での人材不足が目立っているそうです。


    なお、最近の日本国内の企業意識調査でも、企業の4割近くが正社員不足だと答え、とくに建設、人材派遣・紹介、情報サービス、専門サービス分野では6割近くに達しました。


    求められているスキルがあれば仕事はあるわけで(個人事業主として食べていくことも可能)、今後、ますます問われていくのは「大卒かどうか」ということよりも、「どういったスキルを備えているのか?」「何を提供できるのか?」ということでしょう。

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    この記事の筆者

    有元美津世

    大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。
    著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など多数。

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