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有元美津世のGet Global!

ビジネススクール(4) - イギリスのビジネススクール2013.11.12

    ビジネススクール(4) - イギリスのビジネススクール

    前回、昔、MBAといえばアメリカだったが、今では多様化していると述べましたが、日本からも、近年、イギリスのビジネススクールに留学する人が増えています。ヨーロッパでは、1年制のMBAプログラムが主流のため、2年制に比べ、費用が半分ですむというのが大きな理由のようです。

     

    また、ヨーロッパのビジネススクールの人種・文化の多様性に魅力を感じる学生も多いようです。ファイナンシャルタイムズ誌で、アメリカ以外のビジネススクールで、1位にランクすることが多いロンドンビジネススクール(LBS)では、学生の9割以上が国外からの留学生です。アメリカでは、留学生の割合は、全米のビジネススクール平均で31%、私立のトップ校でも、それくらいです。(有名校でない方が留学生の割合が高い。)


    これは、ヨーロッパのビジネススクールが、早くから海外にキャンパスや事務所を開設し、留学生の獲得に力を入れた結果といえるでしょう。アメリカのビジネススクールも、私の在学当事、20年前から「国際性、グローバル化」を叫び、国内の応募者が減り始めてからは、有名校でも留学生獲得のために躍起になりましたが、あまり伸びていないようです。


    イギリスのビジネススクールでは、グループプロジェクトで、イギリス人が一人だけだったりするそうですが、アメリカでは外国人が少数派です。アメリカ人学生は、一般に留学生とは組みたがりません。 

    名門校の苦悩

    イギリスの名門校といえば、皆さん、オックスフォードやケンブリッジを思い浮かべるでしょう。しかし、イギリス最古の大学オックスフォードのビジネススクールは、ファイナンシャルタイムズ誌のグローバルMBAランキングでは24位、エコノミスト誌では、ケンブリッジよりも下位の54位です。


    1996年、オックスフォードがビジネススクールを開設する話になったとき、英語学の教授が、「偽の学科」などと発言したり(日本でいえば、東大の国文学の教授にあたるでしょうか)、象牙の塔では、およそ学問とは呼べないような経営や起業などという代物を哲学や文学と同等に位置づけるなどとは許せないという声が大きかったのでした。


    オックスフォードのビジネススクールは、サイードビジネススクールといいますが、名前は、同校設立のために2300ポンドを寄付したシリア生まれの富豪、サイード氏に由来しています。当時、オックスフォードでは、同氏の寄付の申し出を受け入れるのも躊躇し、期限ギリギリに承諾したといいます。


    ビジネススクール設立後も反発は続き、初の学長は、崩せない組織の障壁を理由に、3年未満で辞任したそうです。他校からの遅れを何とかせねばならないと考えた同校は、2011年、同校初の外国人学長ととして、ハーバードビジネススクールの教授を迎え入れました。


    MBA本家のアメリカからやってきた学長は、オックスフォードの他の学部と共同で、たとえば、サイードの一年のMBAプログラムと環境学の修士課程の一年プログラムを組み合わせるといった「1+1」プログラムを考案するなど新たな試みを展開しています。 
    学内では、ビジネススクールの重要性は次第に理解されているようですが、「ビジネススクールなどと提携したくはない」という学部も未だ存在し、またビジネススクールの教授陣の給与が他の学部に比べ高い点も障害となっているようです。


    実は、私も、ビジネススクールやロースクール、メディカルスクールは、学問の場ではなく、「高等技術訓練学校」だと思っています。だから、象牙の塔の人たちの気持ちはわからないでもないです。しかし、イギリスでも、公立大学への国の補助金が大幅に削減され、2015年までに大学の収益のわずか15%となり、過去100年で最低のレベルに下落します


    そこで、高い学費を払ってくれるMBAの学生をコンスタントに確保することが重要なわけですが、イギリスのビジネススクールでは留学生の割合が高いため、世界的な格付けが極めて重要だといえるでしょう。とくにエコノミスト誌のランキングでは、アメリカの他、スペイン、フランス、スイスのビジネススクールも上位につけており、ビジネススクールへの応募者が減少する中、留学生獲得に向けて各国と競い合わなければならないのです。

     

    (次回へ続く)

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    この記事の筆者

    有元美津世

    大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。
    著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など多数。

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