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有元美津世のGet Global!

ビジネススクール(1) ~ MBAかCPAか2013.10.22

    ビジネススクール(1) ~ MBAかCPAか

    ロースクールの後は、ビジネススクールについて少し書きたいと思います。

     


    ツイッターのフォロワーさんに、「会社を辞めてアメリカへの留学を計画しているが、MBAをとるべきか、米CPA(公認会計士)の資格をとるべきか迷っている」という人がいました。「すでにビジネススクールからは入学許可を得ている」とのことで、名前を聞いたところ、田舎の聞いたこともない大学でした。


    ビジネススクールも、ロースクールと同様、全米でトップ校を出ないと、就職にはあまり役立ちません。


    私がMBAを取得した20年前も、「アメリカでMBAを取得して日本に帰国したが、就職先がない」という話がメディアでも取り上げられていましたが、それはアメリカでも同じです。MBAを取得したからといって、就職や高給が約束されているわけではありません。


    私の同級生の大半は、「エンジニアのままでは昇進も給料も頭打ちなので、経営部門に食い込みたい」という地元のアメリカ人エンジニアでした。ところが、卒業する頃、ちょうどカリフォルニアは大不況となり、卒業時には「MBAをとったおかげで首切りに遭わずにすんだ」という守りの姿勢に変わっていました。MBAを取得後、キャリアアップにつながったという同級生は、ほんの数人でした。MBAの黄金時代といえる1990年前半でも、そんな感じだったのです。  


    採用条件にMBA取得という条件がついている場合もありますが、それは検討してもらうだけの資格を得ただけのことで、採用のスタートラインに立ったに過ぎません。


    私は、社員を雇っていたころ、ビジネスクールの学生や卒業生をインターンとして雇っていましたが、最大の難点は、MBA(または他の修士)を持っているだけで、そうでない人よりも高給がもらえると思い込んでいる人たちがいることでした。下手に(実力の伴わない)プライドだけできてしまうので、雇用側としては使いにくいのです。


    取得学位にかかわらず、企業が知りたいのは「この人は、当社に何を提供できるのか?」「当社に、どう貢献してくれるのか?」なのですが、この視点が欠けている求職者が非常に多いのです。


    「MBAを取得した」というだけでは、(トップ校でない限り)ほぼ価値はありません。MBA取得者で、まったく実務経験がない人と、MBAを持っていなくても、職務に必要な専門知識やスキルをもった人がいれば、ほとんどの企業は後者を雇うでしょう。


    MBAの価値は、受ける教育の内容よりも、アメリカであれば「○○のビジネススクールの卒業生しか採らない」という企業へのアクセス権を得られる点であり、かつ卒業後の人脈作りだと思います。有名校の場合、卒業生が大企業の経営陣となったり、有名起業家になったりしているわけです。

    無名校のMBAよりもCPA

    CPAをとっても、安泰なわけではありません。アメリカの90年代の不況の際、知り合いのアメリカ人CPAは、失業して、量販店の倉庫で肉体労働をしていました。ここ数年の不況でも、在米の大手日系企業に勤めていた日本人CPAがレイオフに遭い、半年以上、失業していました。


    が、長期失業者がたくさんいるアメリカで、半年ほどで米大企業に再就職できたのはCPAの資格があり、実務経験があったからでしょう。今後も、CPAに対するニーズは、コンスタントにあると思います。


    上記の相談者の場合、「卒業後、現地で働きたい」ということでしたが、現地日本企業の監査業務向けに日本人CPAを採用する監査法人に勤務することも可能です。実際に、40前後で、アメリカでCPAの資格をとり、大手監査法人に就職した日本人女性を知っています。(若手弁護士の登竜門である大手法律事務所と同様、監査法人もかなり過酷な労働環境のようですが。)


    私は、ツイッターのフォロワーさんに、上記のような話をし、CPAの取得を勧めました。


    (次回へ続く)

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    この記事の筆者

    有元美津世

    大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
    著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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