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有元美津世のGet Global!

ロースクール(1)2013.10.08

    熾烈な競争

    前回、ロースクール(法科大学院)の話が出たので、アメリカのロースクールにも、ちょっと触れておきましょう。日本からアメリカのロースクールに行って、弁護士になろうという人は、あまりいないようなので、余談として。

     

    前回、紹介した、母親の希望に沿ってロースクールに入学した知人のお嬢さんですが、本人とちょっと話しただけで、ロースクールには向いていないと思いました。ロースクールを卒業し、アメリカで弁護士としてやっていくには、それなりのアグレッシブな性格でないと無理だからです。

     

    私が院生だった20年以上前、大学の図書館で「法律事務所に入って、弁護士として働き出したんだが、自分には合わなくて…」と、教師になるために大学院に入り直した男性に出会ったことがあります。彼は軟弱で、優しそうな感じでした。あるクラスで知り合った女性も、「弁護士として働いていたんですが、私は、あんなことやりたくないんです。耐えられませんでした」とキャリアチェンジのために、大学院で社会学系を勉強していました。

     

    私が通っていたビジネススクールでも、自習室のようなところに置かれた宿題の回答集が盗まれるようなことがあったのですが、ビジネススクールからロースクールに転校した学生が、「ロースクールは、競争がもっと熾烈」と言っていました。

     

    つい最近も、30代のアメリカ人夫婦と話をしたのですが、奥さんが20代の頃、ロースクールに1年通った後、退学したそうです。やはり、図書館から授業や宿題に必要な本が盗まれたり、「クラスメートは皆、敵」のようなcutthroatな(相手の喉を切り裂くような容赦なく激しい)競争が自分には向かないと思ったからだそうです。

     

    実は、その大学は、名前も聞いたこともない小さな大学だったのですが(卒業しても就職先あり?)、有名校よりも、無名のロースクールの方が競争が激しいという説もあります。非有名校の方が、卒業後、就職先を見つけるのが難しいので、学生らは、何が何でも成績で上位に立とうとするらしいです。

     

    ネット上にも、ロースクールでの競争がいかに熾烈かという話が満載で、グーグルの検索では、”cutthroat”と入力すれば、予測ワードに”law schools”が出てくるくらいです。

    イメージが悪い弁護士  (アメリカでもっとも嫌われている職業?)

    日本では、弁護士は「正義の見方」、裁判官は大岡越前的な「悪を裁く弱者の見方」のようなイメージを持っている人が多いですが、アメリカの弁護士のイメージはまったく違います。 Ambulance Chaser(事故での損害賠償請求を商売にする弁護士)という表現があるように、「金の亡者」的なイメージが強く、性格が悪くないとできないのではないかと思えるくらいです。アメリカには、数々の弁護士(ブラック)ジョークがありますが、アメリカでもっとも嫌われている職業ではないかと思います。

     

    アメリカで暮らしていくには、とくに事業などを経営するには、弁護士は不可欠の存在であり、私はクライアントとして、日ごろから弁護士と接する機会が多く、弁護士が講師のセミナーにもよく出席しますが、弁護士と極道とは紙一重と思っているのは、私だけではありません。

     

    ブログで「弁護市は法律を使って戦うケンカ代行屋」と書いている日本の人がいましたが、まさに、その通りだと思います。代わりに戦ってもらうには、性格が悪く、どんなことをしてでも勝ってやる、くらいの人の方がいいのです。ただし、成功報酬でない限り、勝とうが負けようが彼らは報酬がもらえるので、残念ながら、どれだけ闘争を長引かせて稼ぐかに専心している弁護士が多いのも事実です。

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    この記事の筆者

    有元美津世

    大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。
    著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など多数。

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