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鈴木美加子のグローバル人材塾

キャリア形成に偶然を活かす2022.09.20


元・外資系人事部長、現グローバル人材育成家の鈴木美加子です。本日は、米スタンフォード大学ジョン・D・クランボルツ教授が提唱したキャリア理論 ”Happenstance Learning Theory” をご紹介します。日本語では、計画された偶発性理論と訳されレています。

従来は、キャリアの軸を絞り着実に積み重ねていくことで、キャリア形成がなされました。人生100年時代にシフトし、社会の構造が劇的に変化する昨今、積み上げていくだけでは十分でないと考えられています。

ではどうするか?クランボルツ教授は、個人のキャリア形成は予期せぬ偶発的な出来事に大きく影響されるものであり、その偶然に対して最善を尽くし、より積極的な対応を積み重ねることによってステップアップできると考えます。

偶然のように見える出来事をもっと活かそうという考え方で、そのために必要な要素は以下の5つになります。

    1. Curiosity(好奇心)
    2. Persistence(持続性)
    3. Flexibility (柔軟性)
    4. Optimism(楽観性)
    5. Risk Taking(冒険心)

私のキャリアに重ねて振り返ってみます。私は一度人生が大きくシフトする経験をしています。会社員を辞めたかったわけではないのですが、色々なことが次から次へと起こり最後は起業せざるを得なくなりました。最初は大きな変化が怖かったのですが、最後はこのうねりに身を任せて生きていこうという判断に至りました。

きっかけは、オーストラリアのメルボルンから来日していた夫婦の通訳をしたことでした。共通の友人から声がかかり、彼らをサポートしたことがご縁で私はメルボルンに住むことになり、帰国して起業し人生が大きく変わることになります。

1. 好奇心

友達から頼まれた時、オーストラリアから来る夫婦というアイディアが、私の好奇心をくすぐりました。オーストラリアは、アジア・パシフィックの仕事をしていたときに、3回出張が直前で取りやめになったいわくつきの国で、ただ単純に興味があったのです。あの仕事を引き受けた原動力は好奇心だったと言えます。

好奇心をいつまでも持ち、新しいことにアンテナを立てる、試みたことがないことにトライしてみること、変化の大きい時代だからこそ大切にしたいです。

2. 持続性

直接このプロジェクトには結びつきませんが、一つのことをある程度の期間続けることが持続性だとすると、英語を継続して学んだことが引き寄せてくれたご縁だということになります。

この持続性は、得意な方と不得意な方がおられるでしょう。私も明らかに後者に属していますが、人間不思議なもので「好きなこと」だけは続けられるようです。今、仕事や趣味で「好き」と思えることは大事にして育てることをお勧めします。いつか思いもかけない形でポジティブな形で返ってきます。

3. 柔軟性

適性診断ルミナ・スパークで、私のトップ5の資質とでるのが柔軟性です。性格的なものもあるでしょうが、外資が長く、柔軟に構えざるを得なかったという現実もあります。仕事を引き受けてからの時間が短く、来日してからも想定外が多かった彼らとのやり取りをなんとかこなせました。

特に外資でやっていく場合、想定外のことが多いので柔軟性は大事です。職場において、柔軟性の真逆の発想は「やったことがない」「前例がない」「できないと思う」なので、この種の発言が多い方は、少し考え方を変える努力をした方が良いでしょう。

4. 楽観性

初めてのことにトライする時、非常に大事な資質です。私自身は、楽観的に生まれる→低血圧の病気で超悲観的な10年→楽観的 という変遷を経ています。楽観的に構えられるかどうかは、後天的に変化させられる資質だと信じています。もし現在、悲観的になりがちだと思ったら、付き合う方々を変えるのが一番早いです。人間は習慣の生き物ですし、環境の影響を大きく受けますので、周りにおられる方々が悲観的で自分だけ楽観的に振る舞うのは難しいです。

通訳の仕事に話を戻すと、英語を日本語にするのは問題ないですが、質問タイムの「日英」通訳に自信が持てず正直引き受けるか迷いましたが、面白そうと感じた直感を信じてやってみることにしました。

5. 冒険心

自分がリスクを取るタイプかどうか冷静に考えると、必ずしもそうでもないような気がしますが、当時はすでに仕事を辞めており「リスク」というほどのものが無かったのでしょう。なんでもやってみた方が、やらないよりは良いと思えるタイミングに自分がいたので、自分の得意分野の通訳ではないことから発生するかもしれないリスクを取りました。

リスクは事前にどのスケールのものか、確認した方が良いですが、全て思い通りに事が運ぶことはないので、どこかで「えい!」と思い切ることも大事です。そもそも自分が思っているほど大きなリスクではないことも多いですから。



この仕事が終わって1ヶ月後に、私はメルボルンにいました。偶然とは思えない出来事が数珠玉のように繋がった結果です。起業したのもその延長。人生は不思議で楽しいです。

皆さんがキャリアを考えるときに、これまでのようにゴールを決めて逆算して積み重ねると考えるのは少し無理がある時代になりました。人生に起こる偶発的な事柄を活かし、必要に応じて軌道修正しながら道を切り拓いて行ってください。

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この記事の筆者

鈴木美加子
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEに入社して人事のキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレーなどを経て、日本DHL人事本部長を務める。帰国子女でも海外赴任経験者でもないが、TOEIC960点をマークし外資系企業でキャリアアップした経験を元に、個人のキャリアアップを支援している。2011年から18か月、オーストラリアに居住し、海外勤務・海外からの帰国希望者のキャリア相談にも乗ることができる。
個人向けのキャリア相談の他、企業向けに、リーダーシップ研修、チームビルディング、組織分析、異文化マネジメント、グローバルコミュニケーション研修を行っている。ルミナスパーク、ルミナリーダー公認講師、ホフステード異文化モデル公認講師、STAR面接法・認定講師

株式会社AT Globe http://atglobe.jp/

強みを最大限に活かし、個の力を発揮出来る人材を一人でも増やすことで、母国を元気にすることをミッションとする。ルミナというアセスメント・ツールを使い、個人・法人向けの人材育成事業を行う。

 

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