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鈴木美加子のグローバル人材塾

外資で必要なアサーティブネス2022.08.09


元・外資系人事部長、現グローバル人材育成家の鈴木美加子です。
アサーティブネスという概念が日本に導入されて20年になりますが、自分の意志を英語で上手に明確に伝えることは得意でしょうか? 本日は英語を母国語とする人と話すのであれば、「アサーティブネス」は必須について実例を交えてご紹介します。また、あまりアサーティブネスは得意でないけれど、外資に転職したい場合はどうしたら良いかについても触れます。

ある大手日系企業で、外国人向けに企業研修をしていた時のことです。私は研修会社のセールスの女性と一緒でした。 英語力はかなり高いのですが、マインド的には「行間を読んでもらいたい」日本人でした。

その日は雨で気温も低く、寒い1日でしたが、セミナーの参加者は欧米育ちの若い男性ばかり。 強くエアコンをかける環境で育っているので、アジアで生まれ育った人達と、皮膚感覚が全く違うようで、「暑い」を連呼する人もいて、かなり冷房がかかっていました。

部屋を寒いと感じていたのは、セールスの女性と講師の私、日本人女性2人だけでした。「いくらなんでも寒すぎませんか?」 と講師の私が言ったので、セールスの女性が参加者に声をかけてくれました。

”We are fine, but isn`t this too cold?”(私たちは大丈夫ですが、さすがに寒すぎませんか?)
”No, this is fine.” (別に問題ないけど)で終わってしまいました。

まず、「私たちは大丈夫だけれど」という出だしは、先方がお客さんだから気を遣ったのかもしれませんが、その配慮は先方に通じない残念な出だしでした。”大丈夫ならOKだね”と思われて話が終わってしまうからです。

”僕たちに気を遣ってくれているのかもしれない、本当は寒いと言いたいのかな?” と、行間を読みには誰も行ってくれません。”ちょっと寒すぎませんか?”も、額面通りの質問に取られて「いいえ思いません」で終わってしまいます。まさか、”本当は寒いの、そこを汲みとってください”だとは夢にも思わないのです。

よく、英語力はかなりあるのに、欧米人とコミュニケーションを取ろうとすると誤解が生じる話を聞きますが、まさに目撃した感じでした。率直さが足りないし、自分がどうしたいのか相手にどうして欲しいのかをもっとストレートに伝えないと、英語では残念ながら通じないのです。

私はかなり寒くて、企業研修が立て込んでいる週に「ここで風邪を引いたら大変」という気持ちが働き、アサーティブネスのボタンを押しました。

”This is too cold for me. I would like to raise room temperature a little for a while. Is that OK with you? If it gets too warm for you, just let me know.” (寒すぎるんだけど、少し部屋の温度を上げてもいい? 暑いと感じたら知らせてね。)

自分がどうしたいのかを、ダイレクトに伝えたのです。

結果は、”Oh, OK. If you feel that way, go ahead.” (あっ、寒いなら温度上げてもらっていいよ。) 想像通り、何の問題もありませんでした。

みなさんが同じ状況にあったら、どのようなやり取りになりそうでしょうか? 何となく気を遣ってしまうでしょうか? このケースから再確認できることは以下の3つです。

・ 日本以外の国でお客様は神様ではないので、気を遣わなくて大丈夫です。
・ 英語人に「察する」「行間を読む」「空気を読む」習慣はありません。期待するとガッカリしてしまいます。
・ 自分が何をしたいのか率直に伝えて大丈夫。「NO」を伝えて問題ありません。もちろん、言い方に工夫は要ります。

外資で必須になる「アサーティブネス」、人前で自分の意見を言うように教育されない日本人にとって、最初はハードルが高いです。性格的には外交的でハッキリしている人の方がすんなり移行できると思います。

では、アサーティブネスが不得意だと外資に転職できないかと言うと、そんなことはありません。企業文化は会社によって異なり、米系>ヨーロッパ系>アジア系の順番でマイルドになっていきます。生まれながらにはっきり意見を言うタイプで、どちらかというと競争を好むなら米系が向いているかもしれません。そこまでダイレクトでない方がいいなぁと感じるのであればヨーロッパ、もしくはアジア系の企業を選ぶとフィット感が高くなります。

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この記事の筆者

鈴木美加子
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEに入社して人事のキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレーなどを経て、日本DHL人事本部長を務める。帰国子女でも海外赴任経験者でもないが、TOEIC960点をマークし外資系企業でキャリアアップした経験を元に、個人のキャリアアップを支援している。2011年から18か月、オーストラリアに居住し、海外勤務・海外からの帰国希望者のキャリア相談にも乗ることができる。
個人向けのキャリア相談の他、企業向けに、リーダーシップ研修、チームビルディング、組織分析、異文化マネジメント、グローバルコミュニケーション研修を行っている。ルミナスパーク、ルミナリーダー公認講師、ホフステード異文化モデル公認講師、STAR面接法・認定講師

株式会社AT Globe http://atglobe.jp/

強みを最大限に活かし、個の力を発揮出来る人材を一人でも増やすことで、母国を元気にすることをミッションとする。ルミナというアセスメント・ツールを使い、個人・法人向けの人材育成事業を行う。

 

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