キャリアの方向性をルミナで考える（実例３４）
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元・外資系人事部長、現グローバル人材育成家の鈴木美加子です。本日は、キャリアの方向性を考えている方のご相談について、アセスメント・ツール「ルミナ」を使って解説します。

＊この記事は本人の了承の元に書かれています。

本日の相談者は、日本企業でSEをしている39歳の女性・斉藤さん（仮名）です。大学卒業後、経理部に配属され5年経ったところで、IT部門に社内異動しました。SEが適職なのかどうかを確認したいのと、40歳を目前に転身するならラストチャンスかもしれないと転職すべきかどうかも検討したいというご相談です。英語力は、TOEICスコア780点です。

まず、転職するなら、日本企業・外資系のどちらにするかという判断のために、企業文化との相性と英語力を考える必要があります。

まず企業文化ですが、斉藤さんの現在の悩みが個人の成果が給与に反映されないことであることを考えると、個人主義・実力主義の傾向が高い外資の方が幸福度を得られるでしょう。
次に英語力です。外資は英語がペラペラでないと入社できないと誤解されがちですが、技術部門の英語力は低いのが日本の実情なので、TOEIC780点ならSEとしてなら外資に転職することは可能です。2点を加味して、職種を変えない場合は外資系への転職を考えた方が良いということになりました。

さて、斉藤さんのルミナ・スパークの結果を見てみましょう。

ユング心理学を元に4つのタイプに分けた時、斉藤さんが一番持っている要素は人間重視(緑)であり、斉藤さんより人間重視の人は100人いたら4人しかいないという結果です。突出して高いので、人間関係を大事にできる環境・職種であることは斎藤さんにとっては非常に重要です。

次に斉藤さんのマンダラを見ると、強みは、堅実（細かいことが得意）・内向的・人間重視・直感重視です。内向性よりそんなに劣らない位置に外向性があるので、必要であれば人前でプレゼンをしたり、社交をすることもできます。

斉藤さんの強みである、緑（人間重視）× 青（細かいことが得意）から考えると、これまで従事してきた経理とSEの仕事は、細かいことが得意な堅実と内向性を活かして行ってきた仕事ですが、天職というには、残念ながら「規律重視」（ルール、枠組み・制度を守る）のスコアが低すぎます。経理もSEも十分できる適職ですが、天職と言えるほど合っているかと言えば違うということになります。

細かい仕事が得意で人の役に立ちたいタイプの天職は、技術部であればITのヘルプデスク。社内のたくさんの人のIT機器を直してあげることで「ありがとう」と感謝してもらえる仕事です。人事であれば、福利厚生チームのメンバー。年金制度に始まり細かい数字を扱いながら、社員の福利厚生制度をより良いものにしていくことで貢献できる、堅実 × 人間重視の仕事です。

あとは、斉藤さんにとって、
a) このどちらかの仕事に興味があるかどうか
b) ご年齢を考えたとき転身がどのくらい現実的か を考えます。

斉藤さんの興味ですが、現在のSE職の方がより高度な専門職と思え、どちらの仕事にも魅力を感じないとのことでした。転身の可能性については、39歳というご年齢を考えると実務経験の無い「人事」に移るのは難しく、ITのヘルプデスクの仕事は社員のデスクまで出向いて作業したりと20代向きの仕事かもしれません。

最終的に、現在のSE職を”より人間重視の業界かつ外資”で探すことになりました。現在のIT業界は競争が厳しいため、結果へのコミットメントが求められ斉藤さんの人間重視の特性をうまく活かすのは難しいからです。業界としては、教育・メディカル・環境ビジネスなどを選ぶことになりました。

人それぞれに天職・適職はありますが、状況によって180度の転身が可能でない場合もあります。現実的に可能な、自分らしい働き方を手に入れていただけたらと願います。

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