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鈴木美加子のグローバル人材塾

外資あるある ~昔の部下が今は上司~2021.07.20

 

元・外資系人事部長、現グローバル人材育成家の鈴木美加子です。

今回のテーマは、外資の世界ではよくある「上下関係が逆転する」ケースについてです。

 

外資系企業での上下関係は?

 

以前、18年前の元部下2人と音声SNS「Clubhouse」に出演しました。懐かしかったです。スマホすら無かった時代に同じ職場で働いた3人が、18年後に音声SNSで共演すると誰が考えたことでしょう。

18年前、私たち3人の職場での上下関係は、 人事責任者の私 → 研修担当マネジャー Aさん → 研修担当スペシャリストのBさんでした。

それぞれに転職して、4年ほど前に、AさんとBさんは違う職場で再会しますが、上下関係が逆転します。元部下で、現在の人事責任者Bさんの会社に、元上司のAさんがコンサルタントとして入社したのです。

元部下・Bさんの職場で期間限定の欠員があり、「どなたかご存じないですか?」と元上司のAさんに相談したところ、ちょうどAさんが仕事をしていなかったので、「もしかして引き受けていただけないでしょうか」と聞いてみたところ、OKしてくれたという経緯です。

昔、上司だったのに部下になることになったAさんは、上下が逆になることを気にしたでしょうか? 答えはNOです。元部下の性格も向上心旺盛なこともよくわかっていたし、彼は新しいモノが好きなので、今まで経験したことがない業界で働けることを魅力的に感じたとのことです。そして、年齢も性別も関係ない外資で、そんなことを気にしていてもしょうがないと言い切っていました。その通りですね。

事実、この企画を私に持ちかけてくれたのは元上司のAさんなのです。androidユーザーの元部下BさんがClubhouseをできるようになったら、3人で出演したいと簡単な企画書まで書いてくれました。自分が嫌だと思っている上下関係だったら、そのような企画を考えるはずはないので、彼が全く気にしていないのは本心です。

出演の当日は、その企画書をPCで開きながらスマホで参加してくれたそうで、私に企画を持ち込んだのは2月15日だと即答できる整理整頓ぶり、昔の彼を思い出しました。

対するBさん、元上司だった人に部下として働いてもらうのは、少し気を遣いそうですが、実態はどうだったのでしょう。彼女もほとんど何も感じなかったそうですが、元上司が入社するまでに周りに対してやっていたことが一つありました。

 

外資系企業で長く活躍する秘訣

 

「元上司だった人を部下として採用する」と聞くと、格落ち人材が入社すると誤解する人が出るかもしれないと懸念したそうです。そこで彼女は、「昔、お世話になった方で、とても仕事ができるし頼りになる方なんです」と周りに言って回りました。彼が嫌な思いをしないで、新しい職場にスムーズに溶け込めるように配慮した優しさと、リーダーとしての賢さ、こちらも昔のままの彼女で、人間の核になる部分は変わらないものなのだなと思いました。

私自身は、元部下が上司になった経験はありませんが、もしそうなったとしても、やはり全く気にしないでしょう。実力主義の外資なので、相手の方のスキル・経験値が私より上で、リスペクトできる状態であって欲しいとは思いますが。

私の最初の職場GE Japanの社長はアメリカ人で当時31歳でした。私は自分自身が23歳だったのでなんとも思いませんでしたが、当時の部門長は、人によっては自分より20歳も年下の人にレポートしていたのです。みんな内心はどう感じていたんだろうとふと思いました。勿論、そんなことを言っているようでは成果主義の外資ではやっていけませんが、文化が違っても20年の年齢の差はかなり大きいですよね。

外資の人材は皆さん転職するし、M&Aがあったりで昔の職場の上司・同僚・部下と再び同じ職場で出くわす可能性はあります。人間、相性はありますが「仕事ができる人という評価を残すこと」・「敵を作らないようにすること」は、狭い外資の世界で長く活躍するコツです。 確かに外資はアサーティブネスをよしとする企業文化ではありますが、ズバズバ言いたいことを言い放っても良いわけではなく、最低限お互いをリスペクトしながら相性が悪い人とも折り合いながら、仕事できるのが社会人のプロです。敵を作ると、現職だけでなく思わぬところで足を引っ張られるので、ほどほどにうまくつき合いましょう。

昔、部下だった人が10年も経ってM&Aで再会したと思ったら、自分の上に立つことになるということは、外資ではあり得ます。現職での人間関係は、極端な良し悪しにならないように気を配りましょう。

 

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この記事の筆者

鈴木美加子
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEに入社して人事のキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレーなどを経て、日本DHL人事本部長を務める。帰国子女でも海外赴任経験者でもないが、TOEIC960点をマークし外資系企業でキャリアアップした経験を元に、個人のキャリアアップを支援している。2011年から18か月、オーストラリアに居住し、海外勤務・海外からの帰国希望者のキャリア相談にも乗ることができる。
個人向けのキャリア相談の他、企業向けに、リーダーシップ研修、チームビルディング、組織分析、異文化マネジメント、グローバルコミュニケーション研修を行っている。ルミナスパーク、ルミナリーダー公認講師、ホフステード異文化モデル公認講師、STAR面接法・認定講師

株式会社AT Globe http://atglobe.jp/

強みを最大限に活かし、個の力を発揮出来る人材を一人でも増やすことで、母国を元気にすることをミッションとする。ルミナというアセスメント・ツールを使い、個人・法人向けの人材育成事業を行う。

 

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