キャリアの方向性をルミナで考える（実例２４）
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元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日は上司の交代で求められる人材像が変わってついていけなくなり、転職すべきか悩んでいる方のご相談について、アセスメントツール「ルミナ」を使って解説します。 

＊この記事はご本人の了承の元に書かれています。

本日の相談者は、外資系の経理部でマネージャーをしている37歳の女性・加藤さん（仮名）です。加藤さんはメーカー勤務で5年め、昨年マネージャーに昇進しました。最近上司の経理部ディレクターが交代し、新しい上司に求められる理想像と自分自身との間にギャップがあるように感じて悩んでいます。

加藤さんは、経理部の仕事はマネジメント層が正しい決断をできるように数字を正確にまとめることだと思っています。加藤さんの新しい上司は、現時点ではそれでいいかもしれないけれど、将来CFを目指すのであれば、マネジメント層に自ら提案やアドバイスを積極的にできる人材になるべきと考えています。 加藤さんは現在CFOではありませんが、上司は彼女に仕事と向き合う姿勢を少しずつ変えてほしいと考えており、2人の考え方にギャップがあります。

ルミナの結果を見ると、加藤さんの強みは、堅実(データ重視) ・規律重視・人間重視です。データとルールを守ることが得意なので、経理の仕事は適職です（他には秘書・品質管理・SEにも向いています）。自分の強みを生かしているので実績も出ていますし、上司が交代するまでは非常にハッピーに仕事をしていました。人間重視と外交的のスコアが高いことを活かして、社内の他部署との人間関係も良好です。

課題は、黄色にあたるビジョン重視です。上司が求めている「マクロの視点で独創的・革新的なアイディアを出す」のは不得意です。どのくらい苦手なのか、詳しいデータを確認してみましょう。

内在する素の自分、日常（職場）の自分、行きすぎたとき（ストレス下）の自分、全てにおいて、スコアがかなり低いです。数字の見方は、100人が並んだ時にスコアが高いほど自分は前に並んでいることになり、例えば想像力の豊かさにおいて生まれつきの資質は100人中で一番後ろにいることになります。新しいアイディアを思いつくこと、素早く変化することが得意でないことは明確です。現在の上司が求めている、マネジメント層に対して数字を元に新たな提案をしていくのは難しいタイプだと確認できます。　

人の資質には先天的に持っていないと伸ばすのは難しいものと、後天的に何とかできるものがあります。創造性は残念ながら先天的に持っている資質かどうかに左右されます。加藤さんがこのエリアで勝負をするのは、無理があり、結果はある程度見えています。ちなみに後天的に補える資質の具体例に論理思考があります。法廷で争う弁護士になることは難しいかもしれませんが、トレーニングすればロジカルにプレゼンし、意見を言えるようにはなれます。

この先のアクションは、加藤さんがどのようなキャリアを築いていきたいかで変わります。

１．出世欲が強くなく、あまり無理をしたくない
時代の流れは、管理部門の責任者にもビジネスセンスと提案力を求めていますが、これは前述の通り向き不向きがあります。自分には向いていないと思ったら、CFOを目指さない選択肢もあるでしょう。無理をしないことでワークライフバランスも取れて、長期的に充実したキャリアを送ることが可能です。

２．将来CFOになりたい
この場合は、上司・転職先を選ぶ必要があります。全ての企業のCFOが独創性・提案力を発揮しているわけではないので、求められるCFO像を面接のプロセスでよく確認して、加藤さんの場合であれば着実に数字を積み重ねることをよしとする社長の元で働けるよう注意しましょう。

加藤さんの場合は、長期的なキャリア戦略の前に目の前の未来をどうするか決める必要があり、野心家で実は事業部に移りたい新しい上司の動きを1年くらい見守ることにしました。自分から転職することも考えられますが、上司の方が先に違うポジションに移る可能性がありそうだからです。1年待って状態が変わらない場合は、転職するプランです。

日本人はバランスが取れて何でもできることを良しとし、弱みがあると何とか改善しようとしがちですが、25年間たくさんの社員を見てきた経験から、「強み」を活かした方が成功すると断言できます。 自分の強みを活かしてキャリア形成できますように。応援しています。

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