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鈴木美加子のグローバル人材塾

外資系で必要な”Can do”の姿勢2020.03.10


元・外資系人事部長、10,000人を面接したグローバル・キャリア・カウンセラーの鈴木美加子です。本日のテーマは、外資系で必要な”Can do”(できます)の姿勢についてです。


キャリア相談をしていると、外資系の企業文化について質問されることが多くあります。評価制度・昇進など仕組みについての他、外資系ではどんな人が求められているのかを尋ねられることがあります。確かに、候補者にとっては知りたいポイントなのかもしれません。


私がアジア・パシフィックの仕事をしていたときのことです。アジアの人事責任者(私の上司)・ITと経理の責任者が、アメリカにある本社とテレコンをする予定でした。私の上司は急な出張で参加できなくなり、「人事は特に発言する事はないだろうから、代理で出席してください」と言われ、私が代わりにテレコンに参加することになりました。


テレコンが始まるまで、アジアのITと経理の責任者は、「このごろ本社から、アジア・パシフィックで新しいプロジェクトを次々に導入してくれと言われて、人員が足りなくて疲弊してきた」と話していました。ところがどうでしょう。テレコンが始ると、また新しいプロジェクトをアジア・パシフィックに

roll outして欲しいと言う内容なのです。私は、彼らがどう対応するのかに興味がありました。すると、なんと彼らの第一声は、”That`s great!” だったのです。私は本当に驚いて、「この人たちは嘘つきなのだろうか」と思ってしまいました。


未熟だった私は、気持ちが顔に出てしまったのでしょう。テレコンが終わると、経理の責任者が私に向かって言いました。「ミッキー、本社が一度やると決めた事はやることになるんだよ。責任者である僕たちの仕事は、そのroll outのためにかかる人数・費用・時間を正確に素早く判断して、必要な資源を確保できるように交渉することだ。確保できないと踏んだら、プロジェクトの導入準備期間を引き延ばさなければならない。本社が‐特にアメリカの会社が求めているのは、”Can do”の姿勢だよ。そんなことでは、君は出世できない。」


あれから時が経ち、似たような状況に2回ほど私自身が遭遇することになりましたが、あの時のことを思い浮かべて、「できません」とは、言いませんでした。


日本人はとても真面目ですし、誠意ある対応を心がけている人が多いので、出来きそうにないことにコミットする事は避けたいかもしれません。その気持ちはよくわかります。それでも資本がどこの国であれ、外資系で働くと言う事は、明確な理由とともに「できません」と説明することではなく、とりあえず「できます」と言うことです。常にポジティブである、ただし「ここぞ」と言う時には率直である人材が、外資系では求められています。


そして、これは面接の時にも当てはまります。例えば、向こうから提示された内容について、「できなかったらどうなるのだろう」と不安がよぎることがあるかもしれません。それでも、「できなかった場合はどうなりますか」と答える事は、面接官をがっかりさせるでしょう。”Can do”の姿勢を持っている候補者ではない、慎重すぎるかもしれない、とネガティブに評価されかねません。外資系は成果主義です。何かを大きく長期間にわたってできなかった場合、その人材がどうなるかの答えは1つしかありません。聞いてみても仕方ないので、面接での印象を良くするために、いつも”Can do”の姿勢で臨んでください。


ただし、自分が100%できないことを、面接で出来るように見せてくださいとお伝えしているのではないので、どうか誤解がありませんように。「まずは一定の成果を出したら、昇進になります」と言われた時に、「成果が出なかったらどうなりますか?」と聞かないで欲しいのです。

 

企業文化の違いに気を配り、自分のコミュニケーション・スタイルを少し変えて、面接に臨んで欲しいですし、日系企業から外資系に初めて転職される方は、大きな違いが存在することを再認識してください。

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この記事の筆者

鈴木美加子
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEに入社して人事のキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレーなどを経て、日本DHL人事本部長を務める。帰国子女でも海外赴任経験者でもないが、TOEIC960点をマークし外資系企業でキャリアアップした経験を元に、個人のキャリアアップを支援している。2011年から18か月、オーストラリアに居住し、海外勤務・海外からの帰国希望者のキャリア相談にも乗ることができる。
個人向けのキャリア相談の他、企業向けに、リーダーシップ研修、チームビルディング、組織分析、異文化マネジメント、グローバルコミュニケーション研修を行っている。ルミナスパーク、ルミナリーダー公認講師、ホフステード異文化モデル公認講師、STAR面接法・認定講師

株式会社AT Globe http://atglobe.jp/

強みを最大限に活かし、個の力を発揮出来る人材を一人でも増やすことで、母国を元気にすることをミッションとする。ルミナというアセスメント・ツールを使い、個人・法人向けの人材育成事業を行う。

 

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