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鈴木美加子のグローバル人材塾

外資で成功するために人脈力を磨く2019.10.08


元・外資系人事部長、10,000人を面接したグローバル・キャリア・カウンセラーの鈴木美加子です。
皆さんは、自分の人脈力に自信がありますか?


先週の金曜日、Daijob.comの転職イベント「Daijob Career Fair」が開催されました。今回初めての試みとして、キャリア相談のブースを出展しました。相談者のうち3名の方が50代で、書類選考が通らないと悩んでおられました。20代、30代の読者の場合、50代は遠い将来のことで自分には関係ないように感じるかもしれませんが、時が経つのは早く、あっという間に自分の番も来ます。


日本の外資系労働市場には、残念ながら「50の壁」が存在します。この年齢になっても転職エージェントに仕事を紹介してもらえるのは、執行役員レベルで転職回数が2回までの人です。つまりほとんどの人は、50歳を越えたら仕事を探すことに困るのが現実なわけです。ここでどうするか。起業するつもりがある場合は良いのですが、会社員を続けたい場合、頼るべきは人脈です。昔の同僚・部下・取引先に、声をかけてくれそうな人はいないか真剣に考えるのが早道です。この時、仕事ができない人、気難しいから一緒に仕事したくないと思われていると声はかからないので、これまでの人生が問われることになります。


日本企業に勤めていても終身雇用が保障されない現在、若い頃から将来に備えて人脈構築を少しずつ行う必要があります。例え途中で起業することになったとしても、その時こそ大切なのは人脈なので無駄にはなりません。


次の課題は、どうやって人脈を築くかです。

1. 社外人脈に目を向ける


日本企業に勤めていると、社内で全てが完結するので、人脈というと社内を指すと思いがちです。流動化が進む時代に、例えば会社でM&Aが起こったら、同じ船に乗っている人は全員当事者になるので、他部署の人を助ける余裕はありません。その時、手を差し伸べてくれるのは外部の人です。社内にばかり目を向けない、忙しいことを理由に外に出ていくことを億劫がったり、頻繁に社内の同じメンバーで飲み会に行ったりしないことが肝心です。その場にいない上司や同僚や会社の悪口を言い合って、憂さ晴らしをする時間は勿体ないです。

2. 勉強会に参加する


一番早いのは、自分が関心ある分野の勉強会に参加して、人の輪を広げることです。1回きりのパーティと異なって、勉強会の場合は一緒に何回も学びの場を共有し、討論したり懇親会に出たりするうちに、気が合う人が出てきて長い間のお付き合いになることが多いです。


異業種交流会は、自分の社交術を高める練習場にはなりますが、個人的には、長い間お付き合いできる人を探すのは難しいと思っています。たくさんの人が会場にいて、どうしても多くの人と名刺交換しようとするので、入り口の情報交換が浅くなりその後に続きにくかったり、自分の興味がない分野にいる方が多かったりなど、勉強会と比較すると人脈構築に繋がりにくいです。

3. 同業種コミュニティを主催する


これは社交的で面倒見が良い人にしかお勧めしませんが、自分が幹事になってコミュニティを主催すると、人脈は広がります。例えば私は、外資系人事部長の会の幹事を9年勤めたことがあります。GE出身の上司が忙しくなりすぎて引き継いだのですが、何かあったら相談できる心強い味方がたくさんできました。


ある時、シリコンバレーの本社から「転職エージェントに支払うフィーが日本は高すぎる、紹介%を半分にするよう交渉しなさい」と言われました。他の会社に人材を紹介したら例えば300万円のフィーになるのに、弊社に紹介したら150万円にしかならないとわかっていて、弊社に人材を紹介してくれるヘッドハンターがどこにいるでしょう? 危機感を抱いた私は、コミュニティのメンバーにメールを書きました。 ”URGENT : fee for recruiters” と言うタイトルで40名に転職エージェントに支払っている紹介料のパーセントを聞いたのです。その日のうちに名だたる会社から返信があり、全社同じパーセントであることが確認できたので、エクセルにして本社に送りました。本社は表を見て、日本を例外にせざるを得ませんでした。つまり、転職エージェントに支払う紹介料を半分にしなくて済んだのです。これも人脈に助けられた実例です。

 

4. GIVEの精神が大切


長い間、お互い信頼できる人間関係を築くには、自分から与える気持ちが大切です。他人から何かをしてもらうことしか考えない人もいますが、Win-Winでない関係は続かないのが世の常です。営業の世界に「返報性の法則」があります。情報をもらったり価格を安くしてもらったり、いつも何かされてばかりいると、人間の心理として、お客さんでさえ「ちょっと返さないと悪いな」と思うというものです。これは、人間関係構築にもそのまま当てはまります。まずは誰かのお役に立ち、回り回って自分にも返ってきたら良いな、くらいの気持ちでいると、いずれ必ず返ってくるものです。


人間関係を築くのには時間がかかるので、「50の壁」のちょっと手前で、いきなり始めても手遅れです。
長い職業人生の中で、キャリアを成功させるためや、職場で何かあった時に助けてもらえるように、人脈構築に時間とエネルギーをかけてください。

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この記事の筆者

鈴木美加子
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEに入社して人事のキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレーなどを経て、日本DHL人事本部長を務める。帰国子女でも海外赴任経験者でもないが、TOEIC960点をマークし外資系企業でキャリアアップした経験を元に、個人のキャリアアップを支援している。2011年から18か月、オーストラリアに居住し、海外勤務・海外からの帰国希望者のキャリア相談にも乗ることができる。
個人向けのキャリア相談の他、企業向けに、リーダーシップ研修、チームビルディング、組織分析、異文化マネジメント、グローバルコミュニケーション研修を行っている。ルミナスパーク、ルミナリーダー公認講師、ホフステード異文化モデル公認講師、STAR面接法・認定講師

株式会社AT Globe http://atglobe.jp/

強みを最大限に活かし、個の力を発揮出来る人材を一人でも増やすことで、母国を元気にすることをミッションとする。ルミナというアセスメント・ツールを使い、個人・法人向けの人材育成事業を行う。

 

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