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元・外資系人事部長のグローバル人材塾

完璧主義を緩め、明白に説明できる力2017.06.06


元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。

最近のキャリアカウンセリングで感じた、英語での「説明」力を本日のテーマとします。

 

シンガポール在住の日本人とSKYPEでキャリアカウンセリングをさせていただきました。品質管理のお仕事をされているそうで、アセスメントツールLUMINAの結果でも適職と出ていますし、SKYPEのビデオで拝見したお顔の感じも、きちんとしたお仕事に向いていそうな印象で、お悩みごとは何だろうと不思議に思いました。私から見ると、適職に就かれているように見えるからです。

 

ご本人、マーケティングでもやってみたくなったとおっしゃいますが、マーケティングに必須の革新性・創造性をお持ちでないとデータにはっきり出ています。それに、マーケティング「でも」の二文字はちょっと投げやりな印象ですよね。

 

適性・適職を離れて、昔、人事で社員の方の相談を伺っていた時のように、少しお話を聞いてみることにしました。彼は、アジアに3か所ある工場の品質管理に責任があるのですが、異文化コミュニケーションがうまくできていなくてストレスを溜めているとわかりました。不良品率が限りなくゼロに近いのが当たり前の日本で育った彼は、それができないインド・タイ・ベトナムにほとほと嫌気がさしている状態でした。

 

日本の品質が高いのは、どこまでも高い品質を目指そうとする完璧主義の良い面が出ているからですが、どの国も同じようなスタンダードではないことが、心のどこかでわかっていないのです。

 

私は自分の経験もシェアしました。米系の油圧機器メーカーに勤めていた時に、東京にあったアジアパシフィック本社に勤めていて、品質管理部隊がインド工場を相手に手を焼いていたことをお話したのです。まず、工場を整理整頓してもらって、白い線や黄色い線を床にマーキングして動線を作っても、2週間後に写真を送ってもらうと、きちっと貼ったはずの動線がゆがんでいたり、そもそも工場のフロアーに荷物が散乱していて、たった2週間でどうしてここまで散らかるのか理解できなかったそうです。

 

彼らはどうしたか。二つのことをしました。まず、決して諦めないで2-3週間に一度インドの工場を訪れ、あるスタンダードが守られるまで整頓活動をやめなかったのです。もう一つ大切なことは、「なぜ整理整頓する必要があるのか」「フロアーが綺麗だと、働いている人にどのようなメリットがあるのか」「結果として、製品の品質はどう改善されるのか」を、何度もわかりやすく彼らが納得できるように説明したのです。

 

このような状況で必要なのは、相手の立場に立って、相手が納得できるように説明できる力です。完璧主義の日本人の目線で、「このくらいはわかるのが当たり前だろう」で説明したのでは相手には伝わりません。相手は「なんでそんなに高い精度である必要があるんだ、そんなの無理だろう」が許容される文化で育っているのです。いったんは受け入れて、「どうしてそれではダメか」を、できれば数値を使ったり具体的な失敗例を出して説明できないと事態は好転しません。

 

冒頭のシンガポールでアジア3カ国の品質の低さに手を焼いている管理職さんは、「日本側の期待値のレベルをしっかり数値化する」「乖離がある場合、なぜそれではいけないのかをロジカルにわかりやすく説明する」「どのくらいの期間をかけてどのくらいのスピードで改善する必要があるのかを明示する」などの、コミュニケーションを取る必要があると思います。

 

「これではお話にならない」と言われても、相手は何をどうすれば良いのかわからないのです。アジアは、アングロサクロン系と比べれば、コミュニケーションに曖昧な点もありますが、使っている言語が英語ならロジカルで明白でないと通じないので、「表現する」力を培う必要があると思います。

 

英語はローコンテクストな言語で、行間を読んだり、空気を読んだりする必要がない明白さを求めます。相手がアジア人だったとしても、使っている言語はコミュニケーションのスタイルに大きく影響を与えるので、くれぐれも注意してください。

 

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この記事の筆者

鈴木美加子
グローバル人材プロデューサー/(株)AT Globe 代表取締役

日本GEに入社して人事のキャリアをスタートさせ、モルガンスタンレーなどを経て、日本DHL人事本部長を務める。帰国子女でも海外赴任経験者でも無いが、TOEIC960点をマークし外資系でキャリアアップした自身の経験から、「なぜ」を細かく説明出来るところを強みとする。世人塾の他、グローバル・コミュニケーション、異文化マネジメント、リーダーシップ、組織分析など企業研修を行っている。

株式会社AT Globe http://atglobe.jp/

英語でロジカルに発表・主張できるグローバル人材を一人でも増やし母国を元気にすることをミッションとし、世界で活躍する人材を育てる塾(世人塾)を中心に、法人・個人向けのグローバル人材育成事業を行う。

 

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